その後の公表資料
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 10:17 UTC 版)
この臨床試験は幾つかの学術出版物に取り上げられた: 2007年、血清製剤・ワクチンを統括するドイツ規制当局(Paul Ehrlich Institute)の免疫学者は、TGN1412試験の余波でドイツの規制要件を検討した。そこでは前臨床動物モデルの予測値には再評価が必要で、用量決定には改良・再設計が必要であり、高リスク抗体の投与基準を確立する必要がある事が示唆された。加えて、前臨床段階では副作用が観察されない投与量(無毒性量:NOAEL)を検討するのではなく、前臨床的に“無効果”な投与量(無影響量:NOEL)を検討すべきであると示唆された。 2009年、イギリスの国立生物製品基準規制機構(National Institute for Biological Standards and Control)は、第I相臨床試験の投与量が“非反応性の動物種(カニクイザル)での前臨床安全性試験の結果に基づいて”計算された為、ほぼ最大の免疫刺激用量がヒトに投与されたと記述した。これにより、生物学的製剤のfirst-in-man第I相臨床試験の欧州ガイドラインが改訂された。 2010年、ヒトの重篤なサイトカイン放出症候群は予測出来ないことが説明された。In vitro データは、TGN1412の前臨床試験で用いられたカニクイザルでは、CD4+ エフェクターメモリーT細胞にCD28が発現していない事を明らかにした。CD28はTGN1412の標的であるので、当然カニクイザルのエフェクターT細胞は刺激を受けない。 2013年、標準的な炎症誘発性マーカーであるTNFαとIL-8は、TGN1412の異常な炎症誘発性反応を予測出来ないと説明され、偽陰性の結果を齎した。IL-2放出とリンパ球増殖は、より有用な反応予測因子である。 2016年、ヒト化マウスで免疫系に対するTGN1412の効果を評価した研究では、サイトカイン放出症候群や白血球の壊滅、その他first-in-man試験中に観察された他の有害事象を引き起こす可能性が有る事が確認された。
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