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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 10:12 UTC 版)
社会学やカルチュラル・スタディーズにおいてもまた民族誌が作られる。都市社会学とシカゴ学派は特に民族誌的調査と関係が深い。しかし、最もよく知られている例(ウィリアム・フート・ホワイトの『ストリート・コーナー・ソサイエティ』や、クレア・ドレイクの『Black Metropolis』など)は、偶然シカゴ大学の社会学部にいた人類学者のロイド・ワーナーの影響を受けている。 シンボリック相互作用論は同じ伝統から発展し、ファンタジーロールプレイングゲームの初期の歴史を記したグレイ・アラン・ファインの『Shared Fantasy』などいくつかの優れた社会学的民族誌を世に出した。 しかし、社会学内部の多くの下位分野や理論上の展望が民族誌的方法を用いたとしても、民族誌はこの学問分野にとっては、文化人類学のような必須条件ではない。 教育学、民族音楽学、パフォーマンス研究、民俗学は、民族誌を広範に用いている他分野である。アメリカの人類学者のジョージ・スピンドラー(スタンフォード大学)は、民族誌的な方法論を教育の場に適用した先駆者であった。ジェームズ・スプラッドレイは、特に1979年に発行された著作『The Ethnographic Interview』でよく知られたもう一人の民族誌家である。 民族誌的な方法は、ビジネスセッティングを調査するのに用いられている。労働者、管理者などのグループは、一般の社会制度に参加している異なる社会カテゴリーである。各々のグループは、異なる特徴的な態度、行動パターンと価値を示す。 イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のように、大学において、人文科学の学部生の研究を奨励する技術として徐々に民族誌の方法を用いるようになってきている。例えば、大学における民族学(EOTU)プログラムは、UIUCの学部生の研究を後援して、UIUCのコミュニティに向けて、ウェブでアクセスできるようにアーカイブ化している。EOUTは、研究機関としての大学が調査を実施することにどのような意味があるのかに関心のある学生、スタッフ、および教授たちにとっての学習グループとしても機能している。 ダニエル・ミラーやメアリー・ダグラスのような人類学者は、民族誌的なデータを用いて消費者と消費に関する学問的な疑問に答えた。消費者と消費について理解するために民族誌的手法の利用が増加していることで示されるように、企業もまた、民族誌家が人々がどのように製品とサービスを使うのかを理解するため、あるいは新製品の開発のために有効であると気付いている。新製品の開発に関しては、時として「デザイン民族誌」と呼ばれる。インテルとマイクロソフトが共催している最近の「工業における民族誌的実践会議」 (Ethnographic Praxis in Industry = EPIC) は、その証拠である。現実の経験に対する、民族誌のシステマティックで包括的なアプローチは、言明されない欲求や製品を取り巻く文化的実践を理解するためにその方法を用いている製品開発者によって評価されている。人々が本当は何をするのかについて、フォーカスグループがマーケッターに情報を伝えられない場合、民族誌は、自己申告のフォーカスグループのデータだけに頼ることから来る落とし穴を避けて、人々が言うことと実際にやることとを結びつける。
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