『春秋』の作者と成書年代とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 『春秋』の作者と成書年代の意味・解説 

『春秋』の作者と成書年代

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/17 14:42 UTC 版)

春秋」の記事における「『春秋』の作者と成書年代」の解説

伝統儒学では『春秋』の成立孔子が関わったとされる。ただし、歴史的にその解釈一様ではない。 最初に孔子の『春秋制作唱えたのは孟子である。孟子は堯から現在に至るまで治乱歴史述べ周王朝衰微による乱世治めるために孔子が『春秋』を作り、その文は歴史であるけれども、そこに孔子理想である義を示したという(ただし、この孟子の「作春秋」にもいろいろな解釈があり、「『春秋』を講説した」とする立場もある)。 前漢司馬遷史記』にも似たような記述があり、孔子が「史記」(原「春秋」)を筆削して『春秋』を作ったという。このように前漢春秋学ではもっぱら春秋』から孔子微言大義微妙な言葉遣い中に隠され大義)を探ろうとする『春秋公羊伝』に基づく公羊学隆盛した。 しかし、後漢になると、孔子周公祖述者とする古文学隆盛し、『春秋』には『春秋左氏伝』による解釈学起こった。『春秋』を周公伝統受け継いだ史官書いた史記そのものと見、孔子は「述べて作らず」でそれを祖述たとする見方一般的になった。 唐代になると劉知幾の『史通』惑経を始めとして、『春秋』を経とすることを疑う主張現れはじめた北宋王安石至っては『春秋』を「断爛朝報」(ばらばらの官報)とし、その欠文孔子の義が示されているようなものではなく単なる不備だと見るようになった一方で春秋胡氏伝のように孔子の義を見いだそうとする立場続けられた。 清代になると常州学派がふたたび漢代公羊学取りあげ、『春秋』を含めた六経を改制者としての孔子創作したものとした。 中華民国初期になると、雑誌古史弁』を主宰する顧頡剛疑古派現れ孔子と『春秋』との関係を完全に否定した。現在では著作という強い主張はないものの何らかの関係を認めるもの、まったく関係ないとするもの両者がある。 近代になると、歴史学天文考古学方法取り入れた中国学者によって議論展開される1925年飯島忠夫は『春秋』に記載される日食紀元前300年前後西洋から入ったサロス周期によって遡って組み込まれたものだと主張した。これに対して新城新蔵は『春秋』に記載される日食は、必ずしもサロス周期によっておらず西洋からの暦法影響はないと飯島説を批判した現代になると、斉藤国治小沢賢二は『春秋』に記載される日食数理的検証し歴代中国史書日食推算的中率70パーセントと低いのに対して暦法実際の観測記録に基づく日食であるため、日食総数37例のうち的中率95パーセント37例)であるとした。 張培瑜も斉藤国治小沢賢二同様の見解で『春秋』に記載される日食観測実録であると断定している。 ちなみに小嶋政雄は、中国の暦法が『毛詩』『尚書』などでは日月惑星観察して日付決め素朴な暦法しか見られないのに対し、『春秋』になると突然、高度な四分暦使われているという点を指摘し、『春秋』は紀元前300年前後西欧から入ったカリポス暦法によって遡って改装されたものだと述べた。だが、この見解飯島説と本質的に同じで真新しさはない。加えて小嶋は高度な四分暦使われていると述べているが具体的な論拠はなく、また『毛詩』『尚書』には惑星に関する記述もない。 また近年では新説提出されているが、諸説紛々として定論をみないのが現状である。

※この「『春秋』の作者と成書年代」の解説は、「春秋」の解説の一部です。
「『春秋』の作者と成書年代」を含む「春秋」の記事については、「春秋」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「『春秋』の作者と成書年代」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「『春秋』の作者と成書年代」の関連用語

1
10% |||||

『春秋』の作者と成書年代のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



『春秋』の作者と成書年代のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの春秋 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS