「ぷりんす号」乗っ取りへ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 14:23 UTC 版)
「瀬戸内シージャック事件」の記事における「「ぷりんす号」乗っ取りへ」の解説
1人になったXは、午後4時ごろ広島県警察本部と目と鼻の先にある立町の銃砲店から、店員や客を休憩室に押し込めた上でライフル銃など3丁と弾丸80発、散弾250発を強奪し、タクシーで検問を突破し宇品港(広島港)に向かった。Xは待合室で銃を乱射しながら桟橋に向かい、船舶への乗船を阻止しようとした警戒中の警察官に発砲し負傷させ、そして停泊していた愛媛県今治市行きの瀬戸内海汽船所属の定期旅客船「ぷりんす号」に乗り込み、船長を「どこでもいいから大きな街に行け」と脅迫して午後5時15分に出航させた。この時「ぷりんす号」に乗り込んでいた乗員9人と乗客37人が人質となったが、ぷりんす号の乗船券を持っていたのは18人で、残りの15人は見送り客など桟橋に居合わせていて巻き添えで乗客になった[疑問点 – ノート]。 その後ぷりんす号は瀬戸内海で逃走を続けたが、ここでもXは傍若無人な振る舞いを続けた。まず元宇品沖で広島県警の警備艇「こがね」の操舵室を狙撃し、同乗していた警部補の胸に貫通銃創の重傷を負わせた。また、偶然モーターボートで遊んでいた一般人2人を狙撃したほか、地元の中国新聞と中国放送がチャーターしたセスナ機を銃撃し、弾が燃料タンクを貫通して燃料が漏れ出したため同機をあやうく墜落させかけた。なお、この事態に対し、呉をはじめとする広島県沿岸各地に警察官が配置され、広島県警に在籍する警察官3,715人中1,256人が事件に動員されたほか、海上保安庁の巡視艇も警戒に当たった。一連の追跡劇で動員された船舶は、広島県警警備艇5隻、チャーター船1隻、海上保安庁の15隻に上ったほか、海上自衛隊も県警の要請により掃海艇と支援艇を派遣して協力し、4号魚雷艇には警察官が乗船して追尾した。また、近隣県警本部からの応援も含め、ヘリコプターも多数出動した。警察庁は最悪の場合Xの射殺やむなしとして大阪府警察のライフル銃装備の狙撃手5人を海上自衛隊機で現場に派遣したほか、愛媛県警察も強行突入に備え催涙ガスを準備し、福岡県警察もライフル銃装備の狙撃手を待機させた。なお、多くの報道各社の航空機も投入され、現場から生中継するなど報道合戦が繰り広げられたが、これは事件の前月に発生した「よど号ハイジャック事件」に近い規模であった。
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