《相談に乗る》の敬語
「相談に乗る」の敬語表現
「相談に乗る」の敬語表現は、目上の人が相談に乗る場合と、自らが相談に乗る場合の2通りに分かれます。目上の人が相談に乗る場合は、「相談に乗られる」「相談に乗ってくださる」といった表現が適しています。それぞれ尊敬を意味する助動詞「れる」、尊敬語の「くださる」を使用し、相手を持ち上げている形です。目上の相手が相談に乗っている様子を、客観的に表現する場合は「相談に乗られる」、自らの相談に乗ってもらう場合は、「相談に乗ってくださる」を使用すると良いでしょう。また、「相談に乗ってくださる」は、「相談に乗っていただく」と表現することも可能です。「くださる」が尊敬語、「いただく」が謙譲語という違いがあり、「相談に乗ってくださる」は「相談に乗ってくれる」、「相談に乗っていただく」は「相談に乗ってもらう」という風に、意味合いも若干異なります。自らが目上の相手の相談に乗る場合は、「相談に乗らせていただく」という表現になります。ただ単純に相談に乗るという形ではなく、「相談に乗らせてもらう」というへりくだった表現が元となっています。そこに、謙譲語である「いただく」を使用することで、よりへりくだった形になります。
「相談に乗る」の敬語の最上級の表現
「相談に乗る」の最上級の敬語表現は、相手が相談に乗る場合であれば、「相談に乗られる」あるいは「相談に乗ってくださる」「相談に乗っていただく」を使用する形で問題ありません。それ以上強い敬意を示す表現にすることは不可能です。そして、自らが目上の相手の相談に乗る場合は、「ご相談に乗らせていただく」という形にすると良いでしょう。接頭語「ご」を付けることで、より丁寧な表現となります。「相談に乗る」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「相談に乗る」の敬語表現をビジネスメールや手紙で使用する場合、目上の相手が相談に乗り、それを客観的に表現するのであれば、「今日は退社する際に部長を見かけましたが、電話でどなたかの相談に乗られていたようです」「高橋さんの異動願いについては、課長が相談にのられるとおっしゃっていました」といった形になります。自らの相談に乗ってもらう場合の使い方は、「先日は相談に乗ってくださり、ありがとうございました」「資格取得について悩んでいるのですが、相談に乗っていただけませんでしょうか」という風な形です。自らが相談に乗る場合は、「本日はお顔の色が優れなかったようですが、私でよろしければいつでもご相談に乗らせていただきます」「先日はお住まい探しのご相談に乗らせていただき、誠にありがとうございます」というように使用します。
「相談に乗る」を上司に伝える際の敬語表現
「相談に乗る」を上司相手の敬語表現にする場合、上司が相談に乗る側であれば、「相談に乗られる」「相談に乗ってくださる」「相談に乗っていただく」のどれかを使用します。いずれも尊敬あるいは謙譲の要素が含まれているので、立場が離れている上司に対して使用しても、失礼にはなりません。身近な上司が相手の場合も、特に形を変える必要はないです。「れる」「くださる」「いただく」はいずれも、親しい間柄であっても使用されることが多い敬語表現です。かしこまった表現ですが、特に堅苦しい印象を与えることはないでしょう。自らが相談に乗る側の場合も、「相談に乗らせていただく」で問題はありません。ただ、「させていただく」という表現が、身近な相手に対しては、くどいと受け取られる恐れがあります。したがって、上司との関係性や状況によっては、「相談に乗ります」という風に丁寧な表現に留めることも考えましょう。
「相談に乗る」の敬語での誤用表現・注意事項
「相談に乗る」の敬語表現でよくある誤用は、接頭語「ご」の付け間違いです。「相談に乗る」を丁寧な形にする場合は、「ご相談に乗る」という表現が望ましいです。ただ、接頭語「ご」は、相手側の相談にのみ付けることが可能です。「相談に乗ってくださる」や「相談に乗っていただく」といった表現で、より強い敬意を示したいと考え、「相談」に「ご」を付けることを考える人もいるでしょう。しかし、その場合の相談は、自身のものです。そのため、「ご相談」を使用すると、自らを持ち上げる形になってしまいます。したがって、自らの相談では、「相談に乗ってくださる」や「相談に乗っていただく」というように、「ご」は付けないようにしましょう。相手の相談に乗る場合に、「ご相談」が使用できます。また、目上の相手が、相手と対等、あるいはより高い立場の人の相談に乗っている様子を、客観的に表現する場合は、「ご相談に乗っておられる」という形にしても問題はありません。
「相談に乗る」の敬語での言い換え表現
「相談に乗る」の敬語で、目上の相手が相談に乗る側だった場合、「ご意見を伺う」という表現が使用できることがあります。「意見を聞く」という言葉の敬語表現です。相手に意見を求める相談をする場合は、「ご意見を伺う」と表現しても良いでしょう。ただ、あくまでも自身が意見を聞く側なので、「~様がご意見を伺う」という風に使用しないように注意しましょう。自らが相談に乗る場合は、「お話を伺う」「お話を聞かせていただく」といった表現が代表的です。「伺う」「いただく」がそれぞれ謙譲語となっていて、へりくだった表現として使えます。「相談に乗る」という表現は、場合によっては上から目線だと捉えられる恐れがあります。そのため、自らが相談に乗ってあげるという構図であっても、相手が目上であれば、話を聞かせてもらうというという表現にした方が無難です。
- 《相談に乗る》の敬語のページへのリンク