《海鼠》の正しい読み方
「海鼠」の正しい読み方
「海鼠」は「なまこ」と読む。漢字の音読みで「かいそ」と読むこともある。「海鼠」の意味解説
「海鼠」は世界中の海に分布する無脊椎動物の一種で、ウニやヒトデと同じ棘皮動物に属している。体の大きさは品種や個体ごとに多少の違いはあるものの、約30センチから40センチほどが主である。細長い楕円形で口に該当する器官が水平に向いているのが特徴だ。海水にのみ生息するがその分布は広大で、浅瀬から深海まで多岐にわたる。寿命は5年から10年ほどで、雌雄異体だが外見からは区別がつかない。動きは鈍く、ほとんどの品種は海底を這いずって移動する。一部の品種は海中を浮遊して移動するが魚類のように積極的に泳ぐことはない。食性は雑食で、海底に堆積した魚介類の糞や死骸、海藻などを食べる。世界に約1500種、日本近海には約200種が分布するが、日本における食用の海鼠は約30種である。日本を含むアジア圏では古くから食材や医薬品の原料として珍重されていた。特に海鼠を干して作ったいりこは高級珍味として扱われている。
なぜ「海鼠」と読むのか・理由
「海鼠」を「なまこ」と読むのは習性や形状に由来している。海鼠は夜行性で、暗い海の底を這いまわって移動する。その様が建物の隅を走り回る鼠に似ていることから「海の鼠」の当て字が使われるようになった。また、楕円形の姿が鼠の後ろ姿に似ていることが名前の由来とも言われている。「なまこ」の名称は日本の古語で生きていることを「なま」、固い物を「こ」と称していたことが由来とされている。海の底に転がっている、生きた固い物なので「なまこ」と呼ぶようになった。食べるために干した海鼠を「いりこ」と呼び、その対義語として生の状態の海鼠を「なまこ」と呼ぶようになったという説もある。「海鼠」の類語・用例・例文
「海鼠」の類語は「海鼠子」「海鼠腸」などがある。それぞれ「このこ」「このわた」と読み、「このこ」は海鼠の卵巣の干物、「このわた」は海鼠の腸管で作った塩辛である。「近海産の海鼠」「旅行土産に海鼠子を買った」「海鼠腸は酒のつまみにぴったり」などの例文がある。古語では「海鼠」と書いて「こ」と読む。古事記で「故 、今に海鼠の口裂くるなり」とあり、現代文に直すと「だから、今でも海鼠の口は裂けている」となる。「海鼠」の英語用例・例文
「海鼠」を英語で書くと「sea cucumber」になる。「cucumber」は野菜の一種であるキュウリの英語表記であり、直訳すると「海のキュウリ」である。細長い形状がキュウリに似ていることからこの名称になった。例文として「海鼠の群れ」を英訳すると「sea cucumber herd」になる。- 《海鼠》の正しい読み方のページへのリンク