《悼む》の正しい読み方
「悼む」の正しい読み方
「悼む」の正しい読み方は「いたむ」である。つくりに「卓」という字が使われているため、「たくむ」と誤読されることがある
「悼む」の意味解説
「悼む」には、人の死を嘆き悲しむ、人が亡くなったことを悔やむという意味がある。「悼」のへんは心を表すりっしんべんで、つくりは他よりも高いという意味の卓から成り立っている漢字であるため、心が揺さぶられるという意味で用いられるようになった。「父親の死を悼む」、「級友の死を悼む」など死者に対してのみ用いられる言葉で、病気の人や怪我をした人などに対しては用いない。「病気で療養中の友人を悼む」や、「交通事故に遭った叔父を悼む」というような表現は間違いである。なぜ「悼む」と読むのか・理由
「悼」という漢字は、「いた-む・とう」という読み方をする。そのため、漢字の読み方の通り「いたむ」と読まれる。「悼む」の類語・用例・例文
「悼む」の類語・偲ぶ(しのぶ)
・弔う(とむらう)
・哀悼(あいとう)
・哀惜(あいせき)
「偲ぶ」の用例・例文:故人や別れた人を懐かしく思い出すこと
・紫陽花の季節になると大好きだった祖母が偲ばれる。
・昔通っていた学校が廃校になるニュースを見て級友たちを偲んだ。
・甘いものが好きだった祖父を偲び、お盆には仏壇にお饅頭を供える。
「弔う」の用例・例文:人の死を悲しみ冥福を祈ること
・カリブの国では死者を弔うために夜通しダンスを踊る風習がある。
・戦争で亡くなった人々の魂を弔うために記念碑が建てられた。
・戦国武将の正妻は、夫が戦で亡くなると菩提を弔うために尼になる人が多かった。
「哀悼」の用例・例文:人の死を嘆き悲しむこと
・原爆記念日には亡くなった方への哀悼の意を表して黙祷が行われる。
・長い闘病の末亡くなった恩師に哀悼の意を捧げた。
・会長の死に哀悼の意を表して、盛大な社葬が執り行われた。
「哀惜」の用例・例文:死者や帰らないものを惜しむこと
・この手紙には親友への哀惜の念が込められている。
「悼む」の英語用例・例文
「悼む」は英語で「mourn(悼む・嘆く)」や「grieve(悼む)」、「lament(悼む・嘆く)」と表現される。「mourn(悼む・嘆く)」の用例・例文
・Thousands of people mourned her death.(何千人もの人が彼女の死を悼んだ)
・He is still mourning his wife, who died last year.(彼はまだ去年亡くなった妻の死を悼んでいる)
「grieve(悼む)」の用例・例文
・ I need time to grieve after the death of a family member.(私には家族の死を悼む時間が必要だ)
・They are still grieving the death of their sister.(彼らは妹の死をいまだに悼んでいる)
「lament(悼む・嘆く)」の用例・例文
・He lamented over the loss of his best friend.(彼は親友を失ったことを悼んだ)
《悼む》の正しい読み方
「悼む」の正しい読み方
「悼む」は「いた-む」と読む。たいてい「死を悼む(しをいたむ)」という言い回しで用いられる。
「悼む」の意味解説
「悼む」とは、人の死について悲しむことである。この「死を悲しむ感情」を指す意味合いの他に、「喪に服する」「弔いの儀式を営む」ことを指して「悼む」と表現する場合もある。なぜ「悼む(いたむ)」と読むのか・理由
「悼む」を「いたむ」と読む理由としては、ひとまず「漢字の訓読みだから」という点が挙げられる。なぜ「悼」の字を「いた(む)」と訓読みするのか。これは漢字に和語を対応づけた際の創意工夫による。そもそも「悼」は中国大陸から伝わった漢字であり、「人の死を悲しむ」「喪に服する」といった字義がある。日本語(大和言葉)には、「悼」の字と一意に対応する語彙はなかったが、「いたむ」という語彙には「心に悲痛さを覚える」さまを指す語義がある。これを対応づけて「悼」を「いたむ」と読むようにしたわけである。
日本語の「いたむ」は「痛む」とも「傷む」とも表記できるが、意味が広範で分かりにくい。「悼む」と表記することによって、特に「死を悲しむ」ことを指していることが示せるようになる。
「悼む」の類語・用例・例文
「悼む」の類語としては「悲しむ」「嘆く」「偲ぶ」などが挙げられる。「悲しむ」や「嘆く」は、どちらも心に悲痛さを覚えて落ち込むさまを指す。ただし、何について悲痛さを感じているのかは特定しない。「人の死を悲しむ」ことを特に指す場合には「悼む」が最適といえる。
「偲ぶ」は、遠く離れたり失ったりした人やものにしみじみと思いを馳せる、という意味合いの表現である。「故人を偲ぶ」のような言い方は、場合によっては「悼む」と同様の意味合いで使える。ただし「故人を偲ぶ」という表現が必ずしも「嘆き悲しむ」「悲嘆に暮れる」さまを示すとは限らず、在りし日を思い出して懐かしむような情景を指すことも多い。
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