機動戦士ガンダムUC 機動戦士ガンダムUCの概要

機動戦士ガンダムUC

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/12 03:02 UTC 版)

機動戦士ガンダムUC
ジャンル ロボットSFガンダムシリーズ
小説
著者 福井晴敏
イラスト 安彦良和(表紙/人物、挿絵)
虎哉孝征(挿絵)
カトキハジメ(表紙/メカニック)
美樹本晴彦(表紙)
大森倖三(挿絵)
出版社 角川グループパブリッシング
掲載誌 ガンダムエース
レーベル 角川コミックス・エース
角川文庫
角川スニーカー文庫
刊行期間 2007年2月号 - 2009年8月号
巻数 全10巻(+ 短編集1巻)
その他 原案矢立肇富野由悠季
設定考証小倉信也
キャラクターデザイン:安彦良和
メカニックデザイン:カトキハジメ
OVA
原作 矢立肇、富野由悠季
監督 古橋一浩
シリーズ構成 福井晴敏(ストーリー)
脚本 むとうやすゆき
キャラクターデザイン 安彦良和(原案)
高橋久美子
メカニックデザイン カトキハジメ、佐山善則
石垣純哉、玄馬宣彦
明貴美加小倉信也
音楽 澤野弘之
アニメーション制作 サンライズ
製作 サンライズ
発表期間 2010年3月12日 - 2014年6月6日
話数 全7章(+ episode EX)
アニメ:機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096[注 1]
製作 サンライズ、メ〜テレ
放送局 メ〜テレ・テレビ朝日系列
放送期間 2016年4月3日 - 9月11日
話数 全22話
その他 OVAの編集版
漫画:機動戦士ガンダムUC バンデシネ
原作・原案など 矢立肇、富野由悠季
福井晴敏
作画 大森倖三
出版社 角川グループパブリッシング
その他の出版社
台湾国際角川書店
広州天聞角川動漫
Japonica Polonica Fantastica
JBC出版社
AK Comics
掲載誌 ガンダムエース
レーベル 角川コミックス・エース
発表号 2010年3月号 - 2017年2月号
巻数 全17巻
テンプレート - ノート
ポータル 文学アニメ漫画

概要

機動戦士ガンダム』(以下『1st』)に連なる「宇宙世紀」シリーズ作品の一つで、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(以下『CCA』)から3年後の宇宙世紀0096年が主な舞台となっている。

物語は宇宙世紀元年から始まり、宇宙世紀への改暦や一年戦争の発端にも関わるラプラス事件が物語の中核となっている。時系列的に『CCA』に近い年代にあたるため、登場人物やメカニックの設定にもその内容が多く反映されているほか、『機動戦士Ζガンダム』や『機動戦士ガンダムΖΖ』などから発展させた設定も多い。

キャラクターデザインと表紙のキャラクターイラストは安彦良和が担当。第1巻から第3巻までは挿絵も担当していたが、第4巻以降の挿絵は虎哉孝征が担当した。メカニックデザインと表紙のモビルスーツのイラストはカトキハジメ。福井はプロデューサー“的”立場も兼任した。カバーイラストは加藤直之、カバーデザインは樋口真嗣が担当。カトキによるメカニック解説、設定考証担当の小倉信也による解説なども同時に掲載された。

角川スニーカー文庫版は、これまでに同レーベルで発売されたガンダムシリーズのノベライズ作品と同様の装丁と解説が収録。表紙イラストは美樹本晴彦、口絵および挿絵はコミカライズ版『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』の著者も務める大森倖三が担当。キャラクター紹介のイラストとメカニック紹介の設定画は、安彦と虎哉とカトキが連載時に描いたものを使用している。

後述のコミカライズやゲーム、外伝作品を初出とするMSは『UC-MSV』に分類されている[1]

作品の沿革

本作はまず本編となる小説単行本が角川コミックス・エースより出版[2]、後に文庫版が角川文庫角川スニーカー文庫より出版された。

小説8巻の発売時にOVAシリーズとしてのアニメ化を発表、2009年4月25日に公式プレサイトを開設した[3]

OVA版はTVフォーマットに再構成され、『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096[注 1]』と題し、2016年4月3日から同年9月11日までテレビ朝日系列のTVアニメシリーズとして地上波全国放送された[4]

『月刊ガンダムエース』では、2010年3月号(No.091)から2017年2月号(No.174)まで、本作の漫画化作品『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』が連載された。著者は大森倖三。基本的にはアニメ版をベースとしつつも、アニメ版ではカットされた小説版のエピソードや設定も組み込まれており、原作小説とアニメ版の両方を折衷した作品となっている。また、カトキハジメが新規にデザインしたオリジナルMSや、既存MSの新バリエーションなども登場している。

2010年10月26日に『ガンダムエース』増刊号として『ガンダムユニコーンエース Vol.1』が発売され、Vol.6まで刊行された[注 2]

2012年3月8日には、首相官邸ラプラス跡でのシナンジュとの対決までをアクションゲーム化したPlayStation 3 (PS3) 用ゲームソフト『機動戦士ガンダムUC』が発売。ゲームの特装版には、「袖付き」によるシナンジュ強奪事件を福井が書き下ろした外伝小説『戦後の戦争』が付属した。

2013年8月3日からは「ガンダムフロント東京」内のドーム型映像施設「DOME-G」にて映像作品『機動戦士ガンダムUC One of Seventy Two』が公開。

2016年3月26日には、関連商品の同梱特典である福井の書き下ろし小説2作品『機動戦士ガンダムUC 戦後の戦争』と『機動戦士ガンダムUC 不死鳥狩り』をまとめた短編集が、小説版第11巻として発売された。

制作背景

『ガンダムエース』元編集長の古林英明によると、この企画が開始されたのは2002年とのこと[要出典]。雑誌『活字倶楽部』2005年夏号の福井晴敏インタビューでは、2006年頃を目処に新しいガンダムの準備をしていると語られた[要ページ番号]。2007年夏には、書店公開用のプロモーションフィルムが作成されている。

本作品は小説作品ながらコミックス流通で単行本が刊行されており、福井は「本好きの方たちだけではなく、その外側に広がる“世間”へ仕掛けてゆく」ための実験といった趣旨の発言をしている[5]。2010年1月から角川文庫角川スニーカー文庫の2種類の文庫版を同時期に刊行するという異例の体制で発売された[注 3]。角川文庫版は、ガンダムシリーズ作品であることを極力前面に出さず[注 4]、各種の広告でもあくまで福井の小説作品であることを前面に押し出している。

本作品のタイトルを決定した時点で福井は、アムロ・レイのトレードマークとしてたびたびユニコーンのモチーフが使用されていることを知らなかったため、構想段階では本作品との特別な関連性は考慮していない。ファン層としては、特に『1st』世代に人気だという[6]

小説の時点でガンプラとの連動も行われ、2007年12月には「ユニコーンガンダム」、2008年12月には「シナンジュ」がマスターグレードで発売された。単行本の第4巻と第8巻の各特装版には、ガンプラに装着可能なオプション装備のキットを同梱するなど、小説作品として類を見ない試みも実施された。

アニメ版では、物語の核心を握る人物サイアム・ビストの声優に『1st』のナレーションを務めた永井一郎を起用することで、同作品のナレーションはサイアムによるモノローグであるという意味を持たせる[7][8]など、『機動戦士ガンダム』から続く地球連邦とジオンとの一連の抗争に一応の決着を付ける総括的作品でありながらも、本作品より後年の宇宙世紀を舞台にした『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』や『機動戦士ガンダムF91』、加えて小説版ではそのはるか未来を描く『∀ガンダム』とのつながりを示唆する描写[9]も見られる。

福井は本作で宇宙世紀の「ガンダム」に一度「句読点」を打ち、そこから改めて『F91』から先を考えていくべきだと思ったと述べている[10]


  1. ^ a b c d テレビシリーズ版のオフィシャル表記は全角カタカナ表記の「ユニコーン」になっている(EPGでも同様の表記)。
  2. ^ Vol.3からVol.5は『月刊ニュータイプ』の増刊号として発売。
  3. ^ 角川文庫版の方が設定されている発売日の関係上、1週間ほど早く店頭に並んだ。
  4. ^ カバー表紙面および背表紙、扉の書名の下には、小さい文字で『機動戦士ガンダムUC ○○』と明記されている(○○には巻数が入る)。また、カバー表紙面でもデザイン処理によって目立たない形ではあるが『MOBILE SUIT GUNDAM UNICORN』の文字が入り、『機動戦士ガンダムUC-○○』(○○は巻数表記)の文字も帯に隠れる形で配されている。
  5. ^ 「獅子の帰還」に関連する日付は、ドラマCDのチャプター・タイトルによる[21]
  6. ^ 脚本では「バナージらしきパイロットスーツの人影」と表現されるが、単に「バナージ」と表記している箇所もあり、リディもバナージであると認識している。
  7. ^ 小説版ではバンクロフトの生死は言及がないものの、該当場面の爆発は核爆発と表現されており[23]マリーダが「よりにもよって」と不運を嘆くが、それでも反応炉炉心保護のためのIフィールドによって、放射線が漏れることだけは防がれたという描写となっている[23]。アニメ版では爆光が他と描き分けられているのみで、特に言及はない。
  8. ^ 原作小説では、物語序盤でビスト財団の館に飾られた「まっすぐな瞳」を向ける羊飼いを描いた油絵を見たオードリー(ミネバ)が、バナージと少し面影が似ているという印象を受ける描写があり[35]、油絵に描かれた羊飼いがサイアム自身であるとは明言されないものの、サイアムは過去に羊飼いであったと言及されている[32]。また物語の終盤、サイアムから見せられた映像に登場するラプラス事件当時の彼に対し、バナージがその横顔を「自分とよく似た」と形容する場面がある[36]。アニメ版でもサイアムの過去(ラプラス事件前後)の姿はバナージと似た容姿で描かれている。
  9. ^ 名前は不明。カーディアスとマーサの実父であり、アルベルトとバナージの祖父。サイアムの跡目候補筆頭であり、生真面目な男であったとされる。連邦政府の議員や官僚に焚き付けられ、クーデターまがいの財団の乗っ取りを計画していた。
  10. ^ 名前については、小説版4巻でのマーサとアルベルトとの会話中にのみ登場。
  11. ^ 小説版9巻において、マーサの思考の中に肩書きと名前のみ登場。父方か母方かは語られない。
  12. ^ フル・フロンタルの声がシャア・アズナブルと酷似しているという原作小説での設定から、アニメ版ではシャアの担当声優である池田秀一がフロンタル役に起用された。
  13. ^ アニメではストーリーを担当した福井は、フロンタルに宿っていた残留思念についてシャアの「納得できずにそのまま滞留した“怨念”のような一部分」で、シャアそのものではなく、アニメ版でのフロンタルの最期にシャア本人の魂が現れたのは「“落とし物”を回収しに来た」と述べている。
  14. ^ 実際にタイムトラベルした訳ではなく、“宇宙の記憶”を精神的イメージとしてフラッシュして垣間見たとの事。
  15. ^ シャアがジンネマンを選んだ理由と、当時ジンネマンがシャアの周辺にいた理由は描写されていない。
  16. ^ 『機動戦士ガンダムUC パーフェクトガイド』97頁より。小説版では「ヤス」とのみ記載。名前の由来は漫画家の徳光康之から。
  17. ^ どちらも『ガンダムユニコーンエース Vol.3』に掲載された。
  18. ^ 『ガンダムユニコーンエース Vol.3』までは『E.F.S.F. 星月の欠片』表記。
  19. ^ オアシスのブリッジでは中央情報局やエコーズも絡んだきな臭さも感じる状況に、ネェル・アーガマ行く末を憂慮する会話がされていた。
  20. ^ スタッフロールでは役名は表記されずノンクレジット扱い。だが、テレビシリーズ『RE:0096』本放送の際の字幕放送では、台詞に三者の役名が表記されており、また各所インタビューの際にも演者三人や制作者らが、上記三人のキャラクター名を挙げている。
  21. ^ 同年6月7日付の週間ランキングで、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.0 YOU CAN (NOT) ADVANCE.』が35.7万枚で、アニメ・BD総合の最高記録を更新。
  22. ^ 同一アニメ作品のダブル1位獲得は『コードギアス 反逆のルルーシュ R2 volume01』(2008/9/1付)、『サマーウォーズ』(2010/3/15付)に続く3作目。
  23. ^ 上映期間中の2011年3月11日に東日本大震災が発生し、それに伴う計画停電により、一部劇場では3月10日までの上映となった。
  24. ^ 配信、劇場での公開日。
  25. ^ Blu-ray / DVDの発売日。
  26. ^ メ〜テレは3週連続放送ではなかったため、「地上波初!『機動戦士ガンダムUC』完結記念スペシャル」と題して放送した。
  27. ^ DVDではドルビーデジタルの5.1チャンネルサラウンドである。
  28. ^ 第1話で例を挙げると、ユニコーン初搭乗時のバナージの掌の作画の修正、工専講義中のカメラの回転方向が左回転から右回転へ変更、などがある。
  29. ^ ANNフルネット局が存在しない山梨県富山県福井県鳥取県島根県徳島県高知県佐賀県宮崎県を除く。
  30. ^ プラモデル「MGユニコーンガンダム専用ビーム・ガトリングガン2丁セット」が付属する。
  31. ^ プラモデル「MGシナンジュ専用バズーカ」が付属する。
  32. ^ プラモデル「MGユニコーンガンダム専用シールド増加ユニット【アームド・アーマーDE】」が付属する。
  33. ^ プラモデル「MG フルアーマー・ユニコーンガンダム専用シールド増加ユニット【アームド・アーマーDE(発動仕様)】」が付属する。
  34. ^ プラモデル「HGUC ガンダムユニコーン2号機バンシィ・ノルン(デストロイ・モード)専用【ハイパー・ビーム・ジャベリン】」が付属する。






固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「機動戦士ガンダムUC」の関連用語

機動戦士ガンダムUCのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



機動戦士ガンダムUCのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの機動戦士ガンダムUC (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS