姜尚中 政治活動

姜尚中

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政治活動

2016年夏季オリンピックの立候補都市を巡る誘致では、韓国・釜山の共同開催を期待して福岡市の応援活動を行った[23]

政治評論

日韓・日朝関係

  • 日韓両国が新しい時代に対応するために東アジア共同体を構成する必要があると考えている。東アジア共同体の中心はソウルに置くべきだと主張している[24]
  • 日米関係ではなく日韓関係外交の基軸とするべきだと主張している[25]
  • 現在、日本は韓国に追い抜かれるかもしれないという危機感が高まっていると主張し、この現象を「キム・ヨナ症候群」と呼んでいる[26]
  • 2012年(平成24年)8月にソウルで開かれた金大中逝去3周忌祈念式典の講演会で、任期末の李明博の竹島訪問と天皇に対する謝罪要求に対する日本の反発について、「特に日王に対する発言が最も大きかった。独島問題だけでは事態はこれほど大きくならなかっただろう」、「李大統領の独島訪問と日王に対する謝罪要求は、韓国に友好的だった日本国内の左派勢力の反発まで招いている」と語っている[27]。なお、「日王」の呼称は、韓国内における小中華思想の観点から、歴代中華王朝に対する日本の自立性を認めずに、韓国と同様に歴代中華王朝の属国であったとする観点から使用されるものであり、「天皇」が持つ漢語の意味を意図的に格下げさせる呼称である[28]

竹島問題

  • 2010年(平成22年)1月2日、韓国『MBC』の取材を受けて、竹島問題に関して「独島は韓国が実効支配してるじゃないか。だから日本は戦争をしない限り、独島を実効支配することは不可能です。日本が竹島だと主張しても、放っておいてかまいません。私達が我々の領土を実効支配しているからね」と述べている[24]
  • 2010年(平成22年)3月10日、韓国『中央日報』の取材を受けて、「日本から独島問題をめぐる妄言が出てきても、韓国は実効的支配をしているため感情的に対応する必要はない」と述べている[29]

北朝鮮による日本人拉致問題

  • 2006年(平成18年)11月25日の世界海外韓人貿易協会での講演にて、「北朝鮮核問題や拉致問題を取り上げて北朝鮮を批判する日本の世論を変えねばならない。在日同胞たちが過去に日本に連れて来られたことに対しては何も言わず、冷戦時代の拉致ばかり話すというのは矛盾したことだ。私は横に横田夫妻(横田滋横田早紀江)がいても、これを言うことができる」と、日本社会の対北朝鮮世論を批判した[30]
  • 2007年(平成19年)10月1日ソウル大学での統一政策フォーラムにて、北朝鮮による日本人拉致問題に関して、「日本が拉致問題を理由に北朝鮮を支援しない態度でいれば、国際社会から孤立してしまうので経済支援をするべきである」と主張した[31]

朝鮮半島の永世中立化構想

  • 2017年北朝鮮危機以降の軍事衝突の危機を受けて、朝鮮半島の永世中立を主張しており、朝鮮半島が永世中立化すると、中国の勢力圏に南北朝鮮が併呑されるという指摘については、アジアで4番目の経済力かつG20の一国である韓国を過小評価すべきではないとし、「そうした見方の背景にあるのは、韓国は日米の支援なしには存続しえないという、戦前以来の事大主義的な他律性史観」(他律性史観とは、朝鮮の歴史箕子朝鮮衛氏朝鮮漢四郡から始まる有史以来、常に中国によって他律的に動かされ、有史以来常に中国の属国であり続けたという歴史認識)と批判しており、朝鮮半島非核化宣言の趣旨を生かし、休戦協定の平和協定への転換、暫定的な在韓米軍の残留と将来の在韓米軍撤退、北朝鮮の完全な非核化と中立維持に必要なだけの常設的武装力の維持などの周辺大国に対する非同盟中立政策を堅持すれば、「日米中ロの周辺四大国がひしめき合う朝鮮半島の地政学的な条件を考えれば、永世中立化構想は、単なる画餅に終わる幻想ではない」「周辺大国に対する非同盟中立政策を堅持できれば、朝鮮半島は紛争から平和の回廊になりうる」と主張している[32]

日本の嫌韓感情

日本の政治と政治家評

  • 2007年(平成19年)に、日本の政治家に関する発言としては、「田中真紀子さんに日本の首相になってほしい」[39] と発言している。また、吉田茂岸信介池田勇人佐藤栄作田中角栄を指して、日本のリーダーは米国におむつを履かされた存在に過ぎないが、金大中はおむつを履いた似非リーダーたちと戦った真のリーダーであり、日本人は金大中を見習いなさいと主張している[40]

昭和天皇評

著書『在日』(講談社2004年)において、昭和天皇の崩御のことを「昭和の野辺送り」と記述している[41]

人物

50歳で運転免許を取得。

最近の趣味は登山・ドライブ・絵画。また、俳句の鑑賞も好んでおり、2011年(平成23年)には金子兜太が宗匠を務める句会にも参加している[9]で亡くなった友人を悼む気持ちを布団の情景に重ねた句や、諧謔を凝らした句などを披露した[42]

絵画趣味に関連して、2009年(平成21年)4月 - 2011年(平成23年)3月には『日曜美術館』(NHK教育テレビ)の司会を務めた。


注釈

  1. ^ 姜尚中は、『プレジデント』(2006年7月3日号)に登場しているが、略歴欄に「Kan Sanjun」と書いている。呉智英は、「Kan Sanjun」を姜尚中だと理解できる朝鮮人はおらず、日本語朝鮮語では音韻体系が異なるために相互に存在しない音があり、それを無視してローマ字にする事は、サッチャー英首相「Thatcher」を日本人向けに「Sattya」と書いて「国際性の証しだ」と言っているのと同じ愚行であり、姜尚中の日本語読みは「きょうしょうちゅう」であり、「日本人は日本語読みでなんら差し支えない。だって、日本人が外国語を強制される理由はどこにもない」「自分の名前の朝鮮語読みを強制だか誘導だかしている姜尚中にも責任はある。『姜尚中の政治学入門』で、社会を見るには『カンを磨け』と説き、『姜がカンでは洒落にもならないが』と言い訳している。朝鮮音では、姜はKang、勘はKam、確かに洒落にならない」と評している。(『産経新聞』2006年12月7日 )
  2. ^ 最終日2018年3月11日以外の放送日時

出典

  1. ^ “「韓国は日本民主党政権とネットワーク構築を」…姜尚中東大教授(1)” (日本語). 中央日報日本語版 (Joongang Ilbo). (2010年3月10日). http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=127052&servcode=A00&sectcode=A10 2012年10月5日閲覧。 
  2. ^ 株式会社三桂(プロフィール一覧・姜尚中)
  3. ^ 姜(2004a)、27-29頁
  4. ^ 『在日』姜尚中、集英社文庫、p14
  5. ^ 『在日』文庫版、p32
  6. ^ 『在日』文庫版、p59-62
  7. ^ 『在日』文庫版、p39
  8. ^ 姜尚中 政治学者 サンデー毎日、2015年8月23日号
  9. ^ a b 金子兜太F・モレシャン、姜尚中、P・ジローラモ楊逸A・ビナード「吉例新春外国人句会--大型新人姜尚中はじめての俳句の巻--『蒲団上げ世界を描くわが粗相』作者はまさかの……」『文藝春秋』89巻3号、文藝春秋2011年3月1日、160頁。
  10. ^ 『在日』文庫版、p151
  11. ^ 『在日』文庫版、p164-170
  12. ^ 『在日』文庫版、p182
  13. ^ 今、自殺について語る。(第1回) NHKハートネット、自殺と向き合う
  14. ^ 「『悩む力』が100万部の大ベストセラー 姜尚中知られざる「家庭崩壊」 長男の死、妻との「距離」… 本誌記者には「東大を辞め、信仰に身を捧げたい」『週刊文春』2012年10月11日号、文藝春秋、2012年10月。 
  15. ^ 聖学院大学 次期学長選任のお知らせ 姜尚中全学教授を次期学長に選任
  16. ^ 特報首都圏 「我が息子へ~姜尚中“死”と向き合った4年~」、NHK、2013年05月24日放映
  17. ^ 毎日新聞. “聖学院大:学長に清水副学長就任 姜尚中氏辞任で /埼玉”. 2015年4月2日閲覧。
  18. ^ 「諸般の事情」 姜尚中氏、聖学院大学長辞任のわけは、朝日新聞(電子版)、2015年4月9日
  19. ^ 朝日新聞(2015年11月27日)
  20. ^ 現代思想2003年11月臨時増刊号”. www.seidosha.co.jp. www.seidosha.co.jp. 2022年1月3日閲覧。
  21. ^ 「悩む力」姜尚中さん要約”. okuwakionline.net. okuwakionline.net. 2021年1月3日閲覧。
  22. ^ 「マガジン9」が目指すものは、問題を抱える当事者や問題意識を持つ人たちが、専門家、研究者、運動家たちとのコミュニティを形成し、「社会変革へのパワー」となる世論を作り出すプラットホームとなることです。”. okuwakionline.net. okuwakionline.net. 2022年1月3日閲覧。
  23. ^ “市民フォーラム 2016福岡・九州オリンピック計画について考える 招致への期待と懸念”. 西日本新聞 (西日本新聞). (2006年7月11日). http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/fukuoka/fukuokagorin/20060711/20060711_002.shtml 2012年10月6日閲覧。 
  24. ^ a b 韓-日 역사 인식 바꾸자「MBCニュース」2010年1月2日更新、3日閲覧
  25. ^ 民主党ホームページ:民主党日韓議員交流委員会が設立総会を開く[リンク切れ]
  26. ^ “韓国に追い越されるかも...日本で危機感増大”. 朝鮮日報 (Chosun Ilbo). (2010年3月10日). http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2010/03/10/2010031063038.html 2012年10月6日閲覧。 
  27. ^ “韓中日新冷戦:日本の親韓派議員も「韓国たたき」”. 朝鮮日報 (Chosun Ilbo). (2012年8月20日). http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/08/20/2012082000602.html 2012年10月6日閲覧。 
  28. ^ 月刊ベルダ2015年1月号
  29. ^ “「韓国は日本民主党政権とネットワーク構築を」…姜尚中東大教授(2)”. 中央日報. (2010年3月10日). http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=127054&servcode=A00 2010年3月10日閲覧。 
  30. ^ 2006年12月1日オーマイニュース(韓国語)
  31. ^ “姜尚中教授、北朝鮮支援不参加による日本の孤立懸念” (日本語). 聨合ニュース (Yonhap News Agency). (2007年10月1日). http://app.yonhapnews.co.kr/yna/basic/articleJapan/new_search/YIBW_showSearchArticle.aspx?contents_id=AJP20071001002900882 2012年10月6日閲覧。 
  32. ^ “【緊迫する朝鮮半島情勢】 姜 尚中さん”. 西日本新聞. (2017年8月28日). オリジナルの2017年9月19日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170919222749/https://www.nishinippon.co.jp/nnp/teiron/article/354065/ 
  33. ^ 論座』2006年11月号「言論テロと右翼」
  34. ^ “県教組:「文民統制に疑問符」 大分市で教研集会、姜尚中さん招き開会”. 毎日新聞. (2007年11月11日). オリジナルの2007年11月12日時点におけるアーカイブ。. https://megalodon.jp/2007-1112-0115-16/mainichi.jp/area/oita/news/20071111ddlk44040337000c.html 
  35. ^ “「相模原事件にみる差別の裏側」(後編)”. 日経BP. (2016年10月5日). オリジナルの2018年1月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180101170632/http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/yasuda_natsuki/100400010/?P=4 
  36. ^ 新潮45』2010年1月号、小針進「姜尚中教授に政治学者の資格はあるか」
  37. ^ 鄭大均『姜尚中を批判する』飛鳥新社、2011年10月13日。ISBN 978-4864101110 
  38. ^ 中央公論』2015年9月号、アントニー・ベスト「ヨーロッパから見たアジアの歴史認識問題」
  39. ^ 田中眞紀子、姜尚中「異色対談 格差社会の現実、日本外交の弱点、そして眞紀子総理待望論 田中眞紀子(元外相)×姜尚中(東京大学教授) 安倍政権の"不都合な真実"について」『現代』第41巻第4号、講談社、2007年4月、44-53頁。 
  40. ^ 일본은 ‘미국 기저귀’ 벗고 DJ를 배우라 (日本はアメリカ製おむつを脱いで、金大中を見習いなさい)
  41. ^ 諸君!』2004年11月号、古田博司「在日文化人がシャーマンになる時」
  42. ^ 金子兜太F・モレシャン、姜尚中、P・ジローラモ楊逸A・ビナード「吉例新春外国人句会--大型新人姜尚中はじめての俳句の巻--『蒲団上げ世界を描くわが粗相』作者はまさかの……」『文藝春秋』89巻3号、文藝春秋2011年3月1日、169頁。
  43. ^ a b 姜(2008a)
  44. ^ 在日知識人姜尚中氏が見た大震災10年「名称から間違っている」”. 中央日報 (2021年3月11日). 2022年1月17日閲覧。
  45. ^ 総監修 姜尚中. “編集にあたって”. 集英社. 2023年6月14日閲覧。
  46. ^ 日曜美術館”. [NHKクロニクル]. 2011年3月27日閲覧。
  47. ^ 2017年04月17日のラジオ番組表(東京・ラジオ1)”. テレビ番組表の記録. 2018年3月11日閲覧。


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