誤認逮捕とは? わかりやすく解説

ごにん‐たいほ【誤認逮捕】

読み方:ごにんたいほ

真犯人でない人を誤って逮捕すること。


誤認逮捕

作者夏樹静子

収載図書誤認逮捕
出版社徳間書店
刊行年月1999.6
シリーズ名徳間文庫


誤認逮捕

作者小林久三

収載図書捜査刑事
出版社桃園書房
刊行年月2000.1
シリーズ名桃園新書


誤認逮捕

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/09 16:32 UTC 版)

誤認逮捕(ごにんたいほ)とは、警察などの捜査機関がある人物を被疑者として逮捕したものの、実際にはその人物は無実であったことが判明した場合の逮捕行為を指す俗語である。

概要

捜査機関がある人物を逮捕した場合に、その後の捜査によってその者の無実が判明し、釈放される場合がある。この場合の逮捕を誤認逮捕という。なお、法的用語とはいえず、マスコミ・一般用語である。

誤認逮捕は、下記に述べるように、現行刑事裁判制度においては逮捕制度に内包された起こり得る状態であるため、被疑者の無罪が確定し、なおかつ真犯人を特定できても直ちに違法行為とはならない。

誤認逮捕であっても被疑者解雇実名報道による信用失墜に繋がる可能性が高い。

誤認逮捕の発生原因・違法性

発生原因

逮捕は、ある人物に対して犯罪の嫌疑を持った場合に必要性があればなしうるが、捜査機関は逮捕を行うことで犯人の逃亡防止や証拠隠滅を防止し、逮捕した人物を起訴をして有罪判決を得られるだけの証拠を集めるための捜査を行うため、この「嫌疑」はその時点の証拠関係から判明した相当程度のものでよい、とされる。したがって、必ずしも確実ではないが、その者の逃走や証拠隠滅を防ぐ必要がある場合には逮捕がなしえ、その人物が無実であった場合も含まれうる。

逮捕した者が実は犯罪を犯していなかった、と後から判明することは制度上起こり得る事態で、捜査機関が適切な努力のもとに、適切な確信をもって逮捕行為を行ったとしても、被逮捕者が犯罪行為者ではないことが捜査の結果判明することは有り得る。

「先行して逮捕された者」が「無実の者」を共犯者として罪を着せようとする場合もある。逮捕後の捜査でその供述が嘘であり、無実が判明すれば、誤認逮捕であったことになるが、この場合の捜査機関の行為は適切である。もっとも、捜査機関の完全な怠慢によって、あやふやな証拠を妄信し、事実を確認する捜査を怠ったために誤認逮捕が発生してしまう場合もある。

違法性

一般的には「逮捕された人物」=即座に「犯罪者」と確信されがちであり、被逮捕者が犯罪行為者ではないと判明した場合には、警察発表を信じたマスコミによって「捜査機関の誤り」として報道される場合があるが、逮捕手続き自体は適法である。

逮捕などの捜査機関の行為は、裁判所に対し被疑者被告人が有罪か無罪かの判断を求めるための行為であり、逮捕から捜査が進んでもなお被疑者が無実であると判明せず、そのまま起訴した場合にもそれ自体は国家賠償法上の違法性を有しない(「芦別事件」最高裁判所判決要旨)。

もっとも、明らかに捜査機関が努力を怠るなどして、無実であることが明らかであるのに敢えて逮捕を行った場合には国家賠償法上違法とされる余地がある。

補償

「被疑者補償規定」という法務省訓令があり、検察官は、被疑者として拘束された者(以下、本人)のうち、「嫌疑なし」として不起訴処分とした者(本人が死亡した場合は相続人その他適当と認める者)に対し、補償の申し出があった場合、勾留日数1日につき1,000円以上12,500円以下の補償金を交付することとなっている。補償金の額は、拘束の種類及び期間、本人が受けた財産上の損失、得る筈であった利益の喪失及び精神上の苦痛その他一切の事情を考慮して決められる[1]

但し、以下の場合は補償の一部または全部が行われないことがある[1]

  • 本人の行為が刑法第39条または41条に規定する事由によって罪とならない場合。
  • 本人が捜査または審判を誤らせる目的で、虚偽の自白をし、その他有罪の証拠を作ることにより、勾留されるに至ったと認められる場合。
  • 勾留期間中に捜査(少年法の規定による審判を含む)が行われた他の事実につき犯罪が成立する場合。

起訴され、無罪判決を受けた者に対しては、刑事補償法に基づく補償が行われる。

2000年以降の誤認逮捕の例

※逮捕されたが起訴されなかった事件、あるいは逮捕・起訴されたが有罪判決が出なかった事件で大きく取り上げられた事件。
監視カメラの映像が原因の誤認逮捕の例は「監視カメラ#誤認逮捕」を参照。

  • 2002年6月8日、『ウルトラマンコスモス』第49話放送後、主演の杉浦太陽が本作放映開始前の2000年に起こった傷害・恐喝事件の容疑者として逮捕された。被害者が事件の一部を虚偽と認める陳述書を提出したため不起訴処分となった。
  • 2004年2月17日、三重県四日市市の商業施設で、財布を盗んだとされた68歳の男性が、周囲の店員や警察官に長時間取り押さえられ、心臓発作で死亡するという事件が起きた。後に誤認逮捕と判明した。

関連項目

脚注


誤認逮捕

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 17:36 UTC 版)

流山女性殺害事件」の記事における「誤認逮捕」の解説

Aがパジャマ姿で、争った形跡見られなかったことから、千葉県警顔見知りによる犯行として捜査その後捜査過程外部犯の可能性示唆する証拠複数出てきたが、「家族による犯行」との見立て修正することはなく、誤認逮捕に至った被害者A同居していた祖母B(当時80歳)が隣室いながら、Aの遺体発見するまでに1日半以上を要していたことから、県警はBに嫌疑掛け、約2週間にわたり任意の事情聴取繰り返した一方現場(Aの部屋)と隣室クローゼット開けられ衣服散乱するなど、著し物色の跡があったことから、当時から外部犯による物取り目的説も捜査本部内部にあり、被疑者が3人に絞り込まれ時点でも、物証噛み合わなかったことから、捜査仕切り直し求める声も上がったが、捜査指揮を執った当時捜査幹部はワンマンタイプで、現場の状況は、その幹部見立てた通りストーリーに合うように解釈されていったその結果、Bは犯行認め、Aの姉夫婦(姉C+夫D)との共謀や、役割分担自白したまた、現場残され遺留物血液型がDと一致していたことから、県警捜査一課および流山警察署)の捜査本部同年6月24日祖母B(当時80歳)・姉C(当時28歳)とCの夫D(当時27歳)の3人を、本事件被疑者として殺人容疑逮捕した当時銀行防犯カメラ映っていた男は、Dより身長の高い男だったが、県警は「第三者関与考えられる」として、3人の逮捕踏み切っていた。しかし、C夫婦一貫して容疑否認し、Bも弁護士がついてからは否認転じた。さらに、先述遺留物(Aの遺体から検出され体液)のDNA型は、Dとは別人のものであることも判明した結局、3人の関与を示す客観的証拠はなく、逮捕から21日目の同年7月15日千葉地検拘置期限切れに伴い、3人を処分保留のまま、証拠不十分として釈放した同年12月、ないし翌1998年平成10年1月に、3人を不起訴処分にしていた。 真犯人であるXが逮捕され2012年平成24年1月18日千葉県警察捜査一課長宮内博文と、流山警察署長の横田正夫逮捕会見冒頭で、3人を逮捕したことを誤認逮捕と認め謝罪したまた、警察庁長官片桐裕同月19日国家公安委員会後の記者会見謝罪している。しかし、事件当時80歳だった祖母Bは、2010年平成22年)に死去していた(93歳没)。また、千葉地検はXが起訴され2012年2月9日付で、「3人が嫌疑不十分のままでは好ましくない」として、既に死去していた祖母Bは被疑者死亡理由に、存命C・D夫婦嫌疑なしとして、改め不起訴処分にした。 なお、遺族ら3人(姉夫婦祖母法定相続人であるAの母親)は、千葉県警から嫌疑掛けられ逮捕されるなどしたことによって精神的苦痛受けたとして、2013年8月21日付で、国と千葉県相手取り損害賠償計1,650万円慰謝料など)の支払い求め国家賠償請求訴訟起こした千葉地裁鹿子木康裁判長)で審理が行われ、国側が請求棄却求めていたが、2016年平成28年4月27日被告である県側が責任認め原告側和解金支払うことで和解成立した

※この「誤認逮捕」の解説は、「流山女性殺害事件」の解説の一部です。
「誤認逮捕」を含む「流山女性殺害事件」の記事については、「流山女性殺害事件」の概要を参照ください。


誤認逮捕

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 02:44 UTC 版)

監視カメラ」の記事における「誤認逮捕」の解説

決定的証拠」となる筈の監視カメラ映像が、誤認逮捕・冤罪事件引き起こしている。背景について、ある現役警察官は「我々が捜査報告書100枚作るよりも、防犯カメラ映像1つの方が証拠として断然に強い。防犯カメラ押収したから安心、ちょっと慢心しすぎる」「(防犯カメラ映像を)全部見れば言うことは何もないですが、早回し見たとしても人の力の限界失敗犯してしまうということは無きにしもあらずだと思います」と証言している。 以下は、監視カメラ映像引き起こした誤認逮捕の例。 2012年平成24年) - 深夜コンビニエンスストア現金強盗事件発生監視カメラ犯行様子捉えており、犯人マスク着用していた他、自動ドア触れていた。警察は、この映像および被害店舗従業員の「目元似ている」との証言をもとに大阪府泉大津市男性逮捕したまた、被害店舗ドア外側からこの男性指紋見つかった男性は「犯行時刻とほぼ同じ頃、自宅友人一緒にいた」と主張しその時撮った写真警察見せた取り合ってもらえず、その後起訴された。検察裁判専門家映像鑑定依頼し、「(男性犯人の)類似度が高い」と判定された。しかしその後弁護士監視カメラ映像入手し事件当日から1週間遡って確認したところ、事件5日前の映像に、男性指紋検出された場所を買い物の際に触っている様子映っており、裁判では「自動ドア指紋事件当日についたとは断定できない」という結論出され男性無罪判決受けた男性勾留日数300日に及んだ2012年平成24年10月11日 - 元・中放送アナウンサー煙石博が、広島市南区内の銀行監視カメラ映像をもとに、同年9月24日に同銀行記載台に女性会社員置き忘れた66,600円入りの封筒盗んだ疑い広島県警察広島南警察署逮捕された。煙石はその後起訴され一審二審有罪判決受けたが、最高裁判所逆転無罪判決受けた詳細は「煙石博#冤罪事件」を参照 2014年平成26年3月 - 山口県パチンコ店男性客が台の上置き忘れた財布盗まれる事件発生し翌日男性のすぐ後に座った女性窃盗容疑山口県警察逮捕された。監視カメラには女性着席すると台の上の方を触り、1分後に別の台に移る様子映っており、山口県警察女性財布を盗って立ち去った判断した。しかしその後、店の隅にあるゴミ箱から盗まれ財布が見つかり、そこにある監視カメラ別の人物財布捨て様子映っており、誤認逮捕が発覚女性逮捕から7日目の朝に釈放された。また、警察事件現場監視カメラ改め確認すると、女性離席し1時間20分後に、財布捨てた人物財布盗んでいた。 2017年平成29年9月 - 埼玉県深谷市アパート現金1,000円などが盗まれ帰宅した30代女性怪我を負わされるなどの事件発生埼玉県警察深谷警察署監視カメラ映像をもとに30代男性犯行断定し、この男性11月強盗致傷強制わいせつなどの容疑逮捕20日勾留したが(男性容疑否認しその後処分保留釈放)、2018年平成30年5月別の強盗事件逮捕され20代の男が、この事件への関与認め犯人しか知り得ない情報含まれていたため、深谷署は8月27日に男を再逮捕し、男性謝罪した

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