職務質問
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職務質問(しょくむしつもん、英語:Police Questioning)とは、警察官職務執行法第2条に基づき、日本の警察官が異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問する行為。第二次世界大戦前の日本では不審尋問と称されていた[1]。
注釈
- ^ 警察官の活動は司法警察作用と行政警察作用の2つに分類されている。司法警察作用とは、既に生じた犯罪を摘発し刑法を執行することである[3]。一方、行政警察作用とは、犯罪の予防鎮圧、安全確保などを目的に警察が行う活動のことである[3]。
- ^ 警察法第二条 警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする
- ^ この行為は推定有罪としての職務質問行為に当たり、本来はこのようなやり方は違法であり、かつ人権上の観点からも好ましくないものである。
出典
- ^ 日本大百科全書. “不審尋問”. コトバンク. 小学館. 2019年1月13日閲覧。
- ^ 『職務質問』 - コトバンク
- ^ a b c d e 後藤昭・白取祐司 編『新・コンメンタール 刑事訴訟法』日本評論社、2010年、443頁。ISBN 978-4-535-00190-9。
- ^ 2002年(平成14年)度から2006年(平成18年)度の各年度における職務質問による刑法犯の検挙件数は、それぞれ、11万7,012件、14万2,947件、15万9,862件、15万5,446件、15万6,189件である(国家公安委員会・警察庁『実績評価書』(平成19年7月)参照)。
- ^ a b “「職質プロ」の女性警官 靴の汚さや汗だくが声かけの基準に”. NEWSポストセブン. (2016年2月4日) 2017年7月10日閲覧。
- ^ a b “警察の「職務質問」は一体どこまで正当なのか | 災害・事件・裁判”. 東洋経済オンライン (2016年12月6日). 2021年12月15日閲覧。
- ^ 第2条の職務質問、第3条の身体拘束、第6条の進入強行、第7条の発砲。
- ^ 第1条第1項つまり警察官の任務遂行。
- ^ a b c 原田宏二『警察崩壊 つくられた"正義"の真実』旬報社、2013年、29頁。ISBN 978-4-8451-1289-0。
- ^ a b c 後藤・白取『新・コンメンタール 刑事訴訟法』(2010)p.417.
- ^ 藤田宙靖『行政法I』56頁以下
- ^ a b 原田『警察崩壊』p.30.
- ^ “覚せい剤事件「違法な職務質問」 京都の男性に無罪判決”. asahi.com (朝日新聞社). (2010年3月24日). オリジナルの2010年3月27日時点におけるアーカイブ。
- ^ 加藤美香保、南川麻由子、高橋麻理、和田はる子、越川芙紗子、弁護士法人リバーシティ法律事務所『図解入門ビギナーズ最新刑事訴訟法の基本と仕組みがよーくわかる本』秀和システム、2011年、48-51頁。ISBN 978-4798029078。
- ^ 後藤・白取『新・コンメンタール』(2010)pp.417-418.
- ^ 最高裁判所第一小法廷決定 2003年5月26日 、平成11(あ)1164、『覚せい剤取締法違反被告事件』。
- ^ 最高裁判所第三小法廷決定 1994年9月16日 、平成6(あ)187、『覚せい剤取締法違反、公文書毀棄』。、最高裁判所第一小法廷決定 1978年9月22日 、昭和52(あ)1846、『公務執行妨害、傷害』。
- ^ 最高裁判所第一小法廷決定 1954年7月15日 、昭和29(あ)101、『公務執行妨害』。
- ^ a b 後藤・白取『新・コンメンタール』(2010)p.418.
- ^ a b c 原田宏二『警察捜査の正体』講談社現代新書、2016年、106頁。ISBN 978-4-06-288352-8。
- ^ 「警察官が、猟銃及び登山用のナイフを使用しての銀行強盗の容疑が濃厚な者を深夜に検問の現場から警察署に同行して職務質問中、その者が職務質問に対し黙秘し再三にわたる所持品の開披要求を拒否するなどの不審な挙動をとり続けたため、容疑を確かめる緊急の必要上、承諾がないままその者の所持品であるバツグの施錠されていないチヤツクを開披し内部を一べつしたにすぎない行為(判文参照)は、職務質問に附随して行う所持品検査において許容される限度内の行為である。」松江相銀米子支店強奪事件の最高裁判所第三小法廷決定 1978年6月20日 、昭和52(あ)1435、『爆発物取締罰則違反、殺人未遂、強盗』。
- ^ 原田『正体』p.103.
- ^ a b c d e 原田『正体』p.104.
- ^ 酒巻匡「行政警察活動と捜査(1)」法学教室285号47頁以下
- ^ 忍び寄る警察国家の影 2004年11月、白川勝彦Web No.284 またまた職務質問に! 、2006年12月22日、白川勝彦Web
- ^ a b “覚醒剤事件で一部無罪 東京地裁「重大な違法捜査」”. 日本経済新聞. (2013年2月7日) 2014年8月17日閲覧。
- ^ a b c “覚醒剤所持の被告に無罪 令状なしに捜索 「無理解が甚だしい」と東京地裁”. msn産経ニュース. (2014年8月1日) 2014年8月17日閲覧。
- ^ 「誤認逮捕事件裁判」通信 荻野昌弘(関西学院大学社会学部)のホームページ(archive.org)
- ^ “就活中なのに浮浪犯?「覚せい剤」の男性に無罪”. 47NEWS (共同通信社). (2009年3月3日) 2014年12月13日閲覧。
- ^ “東京地裁、職務質問は違法と認定 都に5万円賠償命令”. 47NEWS (共同通信). (2013年5月28日) 2013年8月22日閲覧。
- ^ 『警視庁万世橋署の警察官の職務質問は違法!!!』(プレスリリース)明るい警察を実現する全国ネットワーク、2013年6月11日 。2015年8月27日閲覧。
- ^ 訴訟 職務質問に違法性 神戸地裁認定、50代男性勝訴 毎日新聞 2017年1月13日
- ^ “「違法検査で正当防衛」警官暴行のイラン人無罪”. 読売ONLINE (読売新聞社). (2015年3月6日) 2015年3月6日閲覧。
- ^ 京都府警の職務質問に「重大な違法行為」 大津地裁、男性に無罪判決 毎日新聞 2022年5月23日
- ^ “「ドレッドヘアーは薬物持つ人多い」ミックスの男性への職質、「差別的で違法」と波紋”. ハフポスト (2021年2月14日). 2021年12月15日閲覧。
品詞の分類
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