誤説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 01:54 UTC 版)
1990年代頃から、「銀ぶら」は「銀座の老舗コーヒー店カフェーパウリスタでブラジルコーヒーを飲むこと」から発祥したという説がたびたび新聞やテレビで取り上げられたが、提唱者らの願望や宣伝目的のデタラメであるとして、専門家により明確に否定されている。 同店を経営する日東珈琲株式会社の元取締役社長長谷川泰三(1995年就任、2006年退任)による『カフエーパウリスタ物語』(2008年11月発行)では以下のように記す。 「銀ブラ」という言葉は、一般には「東京の繁華街銀座通りをぶらぶら散歩すること」(岩波書店『広辞苑』より)と信じられているが、「銀座のカフエーパウリスタでブラジル珈琲を飲む」ことであるらしい。銀座の銀とブラジルのブラを取って「銀ブラ」とした新語で、語源は慶應の学生たちが造り、流行させた言葉のようだ。 同書では、この後、いくつかの資料を挙げているが、そのいずれにも「銀ぶら」が「銀座でブラジルコーヒーを飲むこと」という記述は見られない。『三省堂国語辞典 第七版』(2014年1月10日発行)の「銀ぶら」の項目では、以下のように、この語源説を「あやまり」と記している。 銀ぶら(中略)〔俗〕東京の銀座通りを ぶらぶら散歩すること。〔大正時代からのことば。「もと、銀座でブラジル コーヒーを飲むことだった」という説は あやまり〕 同辞典の編集委員である飯間浩明も、『厳しいことばを使えば「ガセ」と形容すべき説』と指摘している。なお、飯間はPR目的の作り話には一定の理解を示しており、非難はNHKなどマスコミに対してのみ行っている。 日本のコーヒー文化を研究する星田宏司と岡本秀徳は、『「銀ブラ」の語源を正す―カフエーパウリスタと「銀ブラ」』(2014年3月1日発行)の中で、『カフエーパウリスタ物語』に挙げられた根拠を検証している。その上で、「銀座でブラジルコーヒー」説は「トリックを駆使して創られた平成年製の「『銀ブラ』の語源」」(147ページ)、「語源といえる実態を備えていない、平成の造語」(148ページ)と論じ、これを鵜吞みにする「不勉強なマスコミとマスコミ人」(3ページ)を批判している。 上記のように専門家による研究結果が示された後も、同店は自説を曲げておらず、ブラジルコーヒーを注文した客に対して、「あなたは本日、銀ブラを楽しんだ事を証明します」という「銀ブラ証明書」を発行し続けている(2019年現在)。また、同店をモデルとした店が登場するNHK連続テレビ小説『花子とアン』(2014年7月7日放送分)やTBSテレビのクイズ番組『日立 世界・ふしぎ発見!』(2018年11月10日放送分)で「ブラジルコーヒー」説を取り上げた。
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