核変換とは? わかりやすく解説

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かく‐へんかん〔‐ヘンクワン〕【核変換】


核変換

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/22 08:49 UTC 版)

核変換(かくへんかん、: nuclear transmutation核種変換ともよばれる)とは、原子核放射性崩壊や人工的な核反応によって他の種類の原子核に変わることを言う[1]。元素変換(: transmutation of elements)、原子核変換とも呼ばれる。




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核変換

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 04:23 UTC 版)

核分裂の発見」の記事における「核変換」の解説

1925年パトリック・ブラケット窒素アルファ粒子衝突させることで酸素への核変換を実現した核種現代的な記号表せば次のような反応だった。 147N + 42He → 178O + p 核反応、すなわち、ある原子核崩壊によって放出され粒子別の原子核変換させる反応確認されたのはこれが初めてだった。完全に人工的な核反応と核変換は1932年4月アーネスト・ウォルトンジョン・コッククロフトによって実現した二人人工的に加速させた陽子によってリチウム二つアルファ粒子分かれさせた。この偉業一般に原子分割」として知られたが、内部的放射性崩壊過程誘発したわけではないので核分裂反応とは異なる。コッククロフトウォルトン偉業よりほんの数週間早くキャヴェンディッシュ研究所所属するもう一人科学者ジェームズ・チャドウィックが、封蝋作られ精巧な器具用いてベリリウムアルファ粒子の間の以下のような反応通じて中性子発見した。 94Be + 42He → 126C + n イレーヌ・キュリーフレデリック・ジョリオアルミ箔アルファ粒子照射し半減期3分ほどの短命なリン放射性同位体生成することを発見した。 2713Al + 42He → 3015P + n 生成物さらなる崩壊によってケイ素安定同位体になる。 3015P → 3014Si + e+ キュリーらは中性子放出止んでからも放射能残っていることに気づいていた。二人陽電子放出という新しい形放射性崩壊発見しただけでなく、ある元素を別元素それまで知られていなかった放射性同位体変換し、それによって元の元素が持たなかった放射能発現させたことになる。核変換の発見により、特定の重元素限定されていた放射化学周期表全体拡張された。 チャドウィックは、電気的に中性である中性子陽子アルファ粒子よりも容易に原子核貫通するだろうと述べたローマエンリコ・フェルミとその同僚たちエドアルド・アマルディ、オスカー・ディアゴスティーノ(イタリア語版)、フランコ・ラゼッティエミリオ・セグレら)はこのアイディア取り入れた。ラゼッティは1931年マイトナー研究室訪ねたことがあり、中性子発見後1932年再訪してポロニウムベリリウム中性子線源の作成法教わったローマ戻ったラゼッティはガイガー計数管マイトナー霧箱複製作成したフェルミ当初チャドウィックキュリーそうしたようにポロニウムアルファ線源として中性子源構成するつもりだった。アルファ線源としてはラドンの方が強力だったが、同時にベータ線ガンマ線発生するため室内検出機器大きく誤作動させる恐れがあった。しかし、ラゼッティがポロニウムベリリウム線源作成する前にイースター休暇行ってしまい、残されフェルミはあることに気が付いた興味があるのは反応終わった後の物質なのだから、中性子線照射とは別の階で放射線検出行えばいいのである。この種の中性子源ベリリウム粉末カプセル封入するだけですぐ作れた。さらにラドン入手容易だった。ジュリオ・チェーザレ・トラバッチは1グラム上のラジウム所有しており、それが生成するラドン快くフェルミ提供してくれた。ラドンラジウムから絶え間なく生成するうえ、半減期が3.82日しかないので取っておいても無駄になってしまう。 フェルミらはまずに対して次に周期表の軽い側からリチウムベリリウムホウ素炭素流れ作業のように中性子線照射試していったが、いずれも放射能を示さなかった。アルミニウム続いてフッ素最初の成功訪れた最終的に22種の元素中性子線照射による誘導放射能示したフェルミ論文の前刷り送付した一握り物理学者中にマイトナーがおり、すぐにアルミニウムケイ素リン亜鉛追試行って報告したフェルミ論文掲載されLa Ricerca Scientifica 誌がコペンハーゲン大学にあるニールス・ボーア理論物理研究所に届くと、そこの物理学者唯一イタリア語読めたオットー・フリッシュマイトナーの甥)は同僚から翻訳せがまれることになったローマグループ希土類金属試料持っていなかったが、ボーア研究所ではゲオルク・ド・ヘヴェシーがアウエルゲゼルシャフト(英語版)社から提供され希土類金属酸化物一そろい所有しており、それを使ってド・へヴェシーとヒルデ・レヴィ(英語版)が実験行った当時知られていた一番重元素であるウラン陽子92)にさしかかったところでローマグループ困難に直面したウランは自然の状態でも彼らの中性子線源と同じくらい放射能強かったのである生成物には複数半減期複雑に共在していた。ソディ=ファヤンスの法則頼りに(化学的性質未知元素飛ばして)鉛、ビスマスラジウムアクチニウムトリウムプロトアクチニウム有無確かめていったが、いずれも検出されなかった(それは正しかった)。フェルミ中性子線照射によって三種類の核反応引き起こされと書いている。アルファ粒子放出 (n, α) 、陽子放出 (n, p) 、ガンマ線放出 (n, γ) である。いずれの反応でも新しく生成した同位体ベータ崩壊起こし周期表一つ上昇した生成物のうち、半減期13分のベータ放出体はレニウム似た化学的性質持っていた。フェルミ当時周期表基づいて93番目の元素がエカレニウム(周期表レニウムの下に位置する元素)であり、マンガンレニウム似ている信じていた。フェルミ中性子捕獲したウラン一つ重い陽子93元素転換した考え1934年6月に『ネイチャー』誌で発表した論文ではそのような重元素存在疑問余地なく立証できたとは書かれなかったが、「人工的な新元素の合成」は一般に大きく報じられた。フェルミ陽子93942種類新元素をそれぞれオーソニウムとへスペリウムと名付けた現在の目からみると、フェルミらが検出した93元素」は当時未発見だったテクネチウム間違いない。この元素原子番号43で、周期表ではマンガンレニウムの間に位置している。 レオ・シラードトマス・A・チャルマーズは、ガンマ線照射ベリリウムから発生した中性子ヨウ素捕獲されることを報告した。この反応フェルミ指摘していた。マイトナーはこの実験追試する中で、ガンマベリリウム線源からの中性子ヨウ素、銀、金のような重い元素捕獲されるナトリウムアルミニウムシリコンのような軽い元素には捕獲されないことを見出したマイトナー遅い中性子の方が速い中性子より捕獲されやすいと結論付け1934年10月に Naturwissenschaften 誌で発表したそれまで誰もが中性子高エネルギーの方が反応しやすいと考えていたのだが、その必要があるのはアルファ粒子陽子のように原子核クーロン障壁打ち勝たなければならない場合けだった電気的に中性である中性子の場合動き遅く原子核近辺にとどまる時間長いほど捕獲される可能性高くなるのである。その数日後フェルミ同僚見つけた奇妙な現象について考察していた。ウラン実験室のどこに置くかによって異な反応見られるというのだ。木製実験台の上中性子照射を行うと、同じ部屋にある大理石製の実験台で行うよりも強く放射能誘発された。フェルミ一考の上中性子線源とウランの間に一片の石ロウ置いてみた。放射能はこれによって劇的に強まったフェルミ中性子が石ロウ木に含まれる水素原子衝突したせいで遅くなったと考えた。そのころローマグループから唯一の化学者だったダゴスティーノが、次いでラゼッティとセグレ離脱し、ただ二人残されフェルミとアマルディは核変換の研究あきらめて遅い中性子注力することにした。 1934年当時最先端だった原子核モデルジョージ・ガモフ1930年初め提唱した液滴模型である。ガモフの単純でエレガントなモデルカール・フリードリヒ・フォン・ヴァイツゼッカーによって、中性子の発見挟んで1935年にはヴェルナー・ハイゼンベルクによって、さらに1936年ニールス・ボーアによって洗練されていき、実験事実と非常によく一致した。このモデルでは強い核力核子互いに結びつけ、最小体積形状(球)を作らせる核力陽子間に長距離ではたらく静電的クーロン反発力を上回るだけの強さがある。このモデルエネルギー的な競合のもとでのパターン形成理論として21世紀においても使われ続けている。1934年時点でこの理論は、物理学者がすでに知っている思っていたことを追認する役割果たしていた。それは、原子核静的なものであり、衝突によってからアルファ粒子より大きい粒子弾き出される見込み実質的にゼロということである。

※この「核変換」の解説は、「核分裂の発見」の解説の一部です。
「核変換」を含む「核分裂の発見」の記事については、「核分裂の発見」の概要を参照ください。

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核変換

出典:『Wiktionary』 (2021/08/16 01:34 UTC 版)

名詞

   (かくへんかん)

  1. 原子核放射性崩壊人工的な核反応別の種類原子核に変わること。原子核変換

「核変換」の例文・使い方・用例・文例

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