追試
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 02:16 UTC 版)
1886年にアルバート・マイケルソンとエドワード・モーリーはフィゾーの実験をより良い精度で再実施した。彼等の実験ではフィゾーの元々の実験にあった問題について対策がたてられていた。問題とは以下のものである。 フィゾーの装置では、二つの光路(光の伝わる経路)が厳密に一致しない場合、光学系(optical component、実験装置で光が通る部分)に歪みや温度差、圧力差が生じると干渉縞が本来観測したい効果によらないずれを示してしまう。 観測にかけられる時間が短い。圧力をかけて作られた水流が長時間は保たないからである。 フィゾーの用いた管は細く、管の中の層流の配位(水流の速度が管の中心からの距離に依存してしまうこと)を考慮に入れると、実験で使えるのは管の中心部分のみである。そのため干渉縞は薄いものになってしまう。 フィゾーは管の中心部分での流れの速度を管全体を通る水の流束から見積っているが、その評価には不定性がある。 マイケルソンはフィゾーの装置を設計しなおし、より太い管を使うようにし、より大きい水の貯蔵器を使って一定の速度の水流が3分間も保つようにした。またマイケルソンは装置を共通光路干渉計(英語版)として設計したため、光学系の歪みや圧力、温度の揺らぎなどで光路の長さがかわっても干渉縞には影響せず、光学系のアラインメントがとれた瞬間(すなわち種々の装置の向きを正しく合わせられた瞬間)に白色の干渉縞が見えるようになっていた。装置の配置から言うと光路はサニャック干渉計と同じであり、各々の光路上で光は偶数回反射される。結果として得られる干渉縞は極めて安定しており、光学系の一部を移動させても一次近似では干渉縞に変化は起きない。実際にhにガラス板を挿入させたり、光路に火のついたマッチをかざしたりしてさえも干渉縞の中心がずれない程であった。この装置による追試によりマイケルソンとモーリーはフィゾーの結果を完全に確認することに成功した。 1914年から1915年にかけてはピーター・ゼーマンによる一連の実験が行なわれた。マイケルソンの装置をスケール・アップさせた(形状、機能などはそのままにサイズを大きくさせた)実験装置はアムステルダムの主水道管に直接つながれていた。ゼーマンは紫(波長4358 Å)から赤(6870 Å)の単色光をつかって観測を行いローレンツによる補正項まで検証することに成功した。1910年にはen:Franz Harressは「回転する」装置を用いた。実験結果は全体としてはフレネルの引きずり係数の存在を確認したのであるが、しかし、データには「系統的な偏り(systematic bias)」があったと報告されている。後年この偏りはサニャック効果として理解できることが判明した。 それ以降、(多くの場合はサニャック効果も含めて)引きずり係数の測定のため多くの実験が行われた。例えばリングレーザー(英語版)と回転円板を用いたものや中性子干渉計(英語版)によるものがある。また媒体が光と直行方向に移動する場合の(transverseな)引きずり効果も観測されている。
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