調査報道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/08 04:16 UTC 版)
事例
海外
- アイダ・ターベルによるen:The History of the Standard Oil Company
- ソンミ村虐殺事件 - フリージャーナリストシーモア・ハーシュがザ・ニューヨーカー紙に出稿。ピューリッツァー賞受賞。
- ウォーターゲート事件 - ワシントン・ポストの記者2人が調査報道を積み重ね、その結果第37代アメリカ大統領リチャード・ニクソンを辞任に追い込んだ。詳細は「ウォーターゲート事件#ワシントン・ポストと「ディープ・スロート」」および「ボブ・ウッドワード#プロフィール」を参照
- ボストン・グローブによるカトリック教会の性的虐待事件
- PRISMの存在の暴露 - 英国大手大衆紙ガーディアンとワシントン・ポスト両紙による合同取材。
日本
新聞社・テレビ局による調査報道は日本新聞協会賞・日本記者クラブ賞特別賞や国際ニュースではボーン・上田賞を受けることが多いためそちらも参照されたい。本項では、新聞協会賞の選考から漏れた、または選考対象にならない雑誌媒体による調査報道のうち、特に秀逸とされた案件を紹介する。
- 菅生事件 - 共同通信社・大分合同新聞社など各社の取材により公安警察の自作自演による冤罪事件であることが判明。潜入捜査を行った警察官は事件後に庇護を受けていた事も明らかになった。
- 田中金脈問題 - 文藝春秋社OB立花隆が月刊『文藝春秋』に出稿。時の内閣を退陣に追い込んだ[2]。詳細は「立花隆#田中角栄研究」および「田中金脈問題#概要」を参照
- 生活保護問題 - 札幌テレビディレクター水島宏明が北海道札幌市白石区で起こったシングルマザー餓死事件に着目し、日テレに提案して『NNNドキュメント』で放送。生活保護制度、特に「123号通知」と「水際作戦」の存在に陽の目を当てた[3]。その後、水島は日テレに移籍して『Nドキュ』チーフディレクター、解説委員に出世した。詳細は「生活保護問題#事例」を参照
- リクルート事件 - 朝日新聞社横浜・川崎両支局が第一報を報道したが、新聞協会賞受賞に至らなかった。
- NHK会長島桂次の偽証問題 - 朝日新聞の第一報に東京スポーツが追随したが、新聞協会賞受賞に至らなかった。
- 山一證券の損失補填疑惑 - 東洋経済新報社『週刊東洋経済』が第一報。その後、山一證券は自主廃業した。雑誌ジャーナリズム賞受賞。詳細は「山一證券#三木淳夫時代」および「野澤正平#山一最後の社長」を参照
- 則定衛の女性問題 - 雑誌『噂の眞相』が第一報を報じ、朝日新聞が追随。則定は法務大臣に指揮権発動を検討される手前まで行き、辞職に追い込まれた。詳細は「則定衛#疑惑報道」および「三井環事件#事件一覧」を参照
- 松本サリン事件 - TBSテレビ『スペースJ』で下村健一が冤罪だといち早く指摘。テレビ信州も別ルートで調査報道を蓄積し河野義行の冤罪確定に貢献した。詳細は「松本サリン事件#冤罪・報道被害」を参照
- 桶川ストーカー殺人事件 - 新潮社の写真週刊誌『フォーカス』が第一報を報じ、全国朝日放送(現・テレビ朝日)が『ザ・スクープ』で追随した。詳細は「桶川ストーカー殺人事件#FOCUSの犯人追跡報道」を参照
- 北海道警裏金事件 - 北海道新聞が報じ、テレ朝『ザ・スクープSPECIAL』が追随。同時期に道警を取材していた作家佐々木譲の道警シリーズを執筆する際のたたき台となる。
- 足利事件 - FOCUS廃刊後に日テレに移籍した清水潔が、『ACTION 日本を動かすプロジェクト』で冤罪だと指摘。被告人は再審の結果無罪判決を獲得したが、清水と日テレは新聞協会賞を受賞しなかった。詳細は「足利事件#冤罪事件として」および「清水潔 (ジャーナリスト)#経歴」を参照
- オリンパス事件 - ファクタ出版『月刊FACTA』が第一報を報じ、日本経済新聞が追随。
- 偽装請負問題 - 日本共産党『しんぶん赤旗』が第一報を報じ、朝日新聞が追随した。
- 精神医療を問う - 東洋経済新報社『東洋経済オンライン』で連載された[4]
- かんぽ生命保険の不正契約問題 - NHK G『クローズアップ現代+』が第一報を報じたものの、かんぽの親会社日本郵政の圧力で続編を放送出来なくなったところへ西日本新聞『あなたの特命取材班』が追随。早稲田ジャーナリズム大賞受賞[5]。詳細は「あなたの特命取材班#かんぽ生命保険をめぐる不正契約問題」および「かんぽ生命保険#不正契約問題」を参照
- 富山市議会政務活動費私的流用問題 - 北日本新聞が第一報を報じ、チューリップテレビ(TBS系列)が追随。定数38人のうち14人が辞職する異常事態となる。北日本新聞が新聞協会賞、チューリップテレビは菊池寛賞をそれぞれ受賞した。
- お笑い芸人による闇営業問題 - 講談社『FRIDAY』が第一報を報じ、スポーツ新聞各紙が追随。
- アサリ産地偽装問題 - CBCテレビが第一報を報じ、キー局であるTBSテレビでも『報道特集』などにて報道[6]。その結果、熊本県が同県産のアサリ出荷を一時停止する事態となった[7]。
- 湖東記念病院事件 - 中日新聞本社特別取材班が創出版『月刊創』で連載[8][9]。司法の実態を告発した。早稲田ジャーナリズム大賞草の根民主主義部門受賞。
- キッズラインをめぐる一連の不祥事 - メディアジーン『Business Insider日本版』が第一報を報じ、複数の媒体が追随[10]。
- 東京オリンピックにおける食品ロス問題 - TBSテレビ『news23』『報道特集』が明らかにした。
- 自由民主党の政治資金パーティー収入の裏金問題 - しんぶん赤旗が第一報を報じ、その後神戸学院大学教授の上脇博之による告発を経て、読売新聞が追随[11][12]。自由民主党の派閥が一部を除き解散に追い込まれる事態になった[13]。
- ジャニー喜多川による性加害問題 - イギリス・BBCニュースがドキュメンタリー番組を制作し、イギリスや日本を始めとする世界各国で放映・配信され、同番組に制作協力した週刊文春も追随した[14]。
注釈
- ^ 取材源の秘匿はジャーナリズムの大原則であるが、それに反しない形でテーブルに出すことになる。
- ^ 一説にはジョージ・オーウェルの言葉だとされている。
出典
- ^ 調査報道とは何か―日本ジャーナリスト会議の勉強会から 本人ブログ「ニュースの現場で考えること」
- ^ 「調査報道」の社会史 小俣一平、2017年5月20日閲覧。
- ^ 水島宏明「母さんが死んだ ―しあわせ幻想の時代に―」、ひとなる書房
- ^ 精神医療を問う 東洋経済オンライン
- ^ コーナーページ
- ^ “輸入アサリが国産に アサリ産地偽装の実態は”. 報道特集. TBSテレビ (2022年1月22日). 2024年2月8日閲覧。
- ^ 石田剛、古川努 (2022年2月9日). “熊本産アサリ、今後2カ月出荷停止 知事「産地偽装を根絶」”. 西日本新聞. 2024年2月8日閲覧。
- ^ 浅野健一「冤罪逮捕をメディアはどう報じたのか-再審・滋賀湖東記念病院事件の報道検証」『創』第50巻第1号、創出版、2020年1月、98頁。
- ^ “2019年第19回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」授賞作品”. 石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞. 早稲田大学 (2019年12月20日). 2020年11月11日閲覧。。
- ^ 【調査報道】シッター逮捕のキッズライン、レビューに浮上する深刻な疑惑
- ^ ““増税メガネ”岸田総理に降りかかる「政治資金パーティー」過少申告問題 告発者は「裏金作りの温床になっている」”. 週刊新潮. p. 1 (2023年11月8日). 2024年2月8日閲覧。
- ^ “政治資金パーティー、告発の裏金「氷山の一角」 調査した神院大・上脇教授 資料見て「法律違反確信」”. 神戸新聞 (2023年12月17日). 2024年2月8日閲覧。
- ^ 日本放送協会 (2024年1月25日). “自民 森山派が解散を決定 党内6派閥のうち4つが解散へ”. NHKニュース. 2024年2月8日閲覧。
- ^ “【独占インタビュー】英BBC「ジャニー喜多川氏告発番組」取材記者が語る「4年間の戦い」”. FRIDAY. p. 1 (2023年3月18日). 2023年9月7日閲覧。
- ^ “SNSでつながる、取材力でこたえる 西日本新聞の調査報道「あなたの特命取材班」の挑戦”. news HACK by Yahoo!ニュース (2018年4月13日). 2022年4月29日閲覧。
- ^ 日本放送協会 (2020年2月25日). “あなたのニュースで社会が変わる 〜信頼のジャーナリズム〜”. NHK クローズアップ現代. 2022年4月29日閲覧。
- ^ NHK放送センター(東京都渋谷区)、さいたま局、千葉局、横浜局の総称。
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