同根語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/20 04:39 UTC 版)
見かけの同根語
見かけの同根語(false cognates、「欺瞞的同根語」とも)とは、一般には同根語だと考えられているが、言語学的には無関係とされるケースを指す。例えば、ラテン語のhabēreとドイツ語のhabenはどちらも「持つ」(英語でto have)の意味で、一見すると同根語に見えるが、実際には、異なる語源から派生した語彙であるため、同根語ではない。ドイツ語のhaben(と英語のhaveも)はインド・ヨーロッパ祖語の*kh₂pyé-(「つかむ」、英to grasp)に由来し、ラテン語でこれと同根の言葉はcapere(「つかむ」)になる。他方、ラテン語のhabēreはインド・ヨーロッパ祖語の*gʰabʰ(「与える」、英to give)に由来し、その同根語は英語ではgive、ドイツ語ではgebenとなる。つまり、ラテン語のhabēreとドイツ語のhabenは真の同根語ではなく「見かけの同根語」である。
同様に、英語のmuchとスペイン語のmuchoも語形が似ており、意味も似ているが、同根語ではない。muchはゲルマン祖語の*mikilaz(<インド・ヨーロッパ祖語の*meǵ-)に由来し、スペイン語のmuchoはラテン語のmultum(<インド・ヨーロッパ祖語の*mel-)に由来する。英語muchの真の同根語はスペイン語のmañoである。
注
関連項目
- ^ Cassell's Latin Dictionary
- ^ [1] Dictionary definition of cognate on Answers.com. en:The American Heritage® Dictionary of the English Language, Fourth Edition Copyright © 2004 by Houghton Mifflin Company. Published by Houghton Mifflin Company.
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