語彙統計学と言語年代学における用法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/28 09:47 UTC 版)
「スワデシュ・リスト」の記事における「語彙統計学と言語年代学における用法」の解説
スワデシュ・リストは、語彙統計学や言語年代学において、一般に同族の言語が分岐したおおよその年代を決定するのに用いられるが、他の語彙リストが用いられることもある。言語同士の関係の近さは、現代語の語彙のリストにおける同根語の数におおまかには比例する。任意の語彙のリストではなく決まった概念の集合が用いられる理由は、幼年期の初期に学習されるような基礎的な単語は、時間の経過に対して非常にゆっくりとしか変化しないからである。注意しなければならないのは、リストの中に含まれる同根語の数を数えることは決して取るに足らない容易な問題ではなく、それどころか論争の主題であるということである。なぜなら、同根語は必ずしも見た目が似ているとは限らないからであり、異なる言語の単語同士を同根語だと認めるためには、それぞれの言語での音変化の法則についての知識を持っていることが前提とされるからである。例えば、英語の 「wheel」と、ヒンディー語の「cakra」は同根語だが、これらを同根語だと認識するためには、両方の言語の歴史についての知識が不可欠である。また、たとえ同根語の数に論争の余地がない場合でも、スワデシュ・リストを用いた年代推定に対しては議論がある。基礎的な単語が置き換わっていく割合が非常に長期間に渡って一定であるという仮定が根本にあるからである。スワデシュ・リストは、おおよその見当をつけるためには非常に有用な手段だが、歴史言語学の主流派は、専らスワデシュ・リストにのみ基づいて言語の近縁度を見積もる主張には多くの場合非常に懐疑的である。
※この「語彙統計学と言語年代学における用法」の解説は、「スワデシュ・リスト」の解説の一部です。
「語彙統計学と言語年代学における用法」を含む「スワデシュ・リスト」の記事については、「スワデシュ・リスト」の概要を参照ください。
- 語彙統計学と言語年代学における用法のページへのリンク