語彙素と語形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/21 03:30 UTC 版)
詳細は「語彙素」を参照 形態論では、辞書の見出し語のような抽象的な意味での語と実際に発音できる具体的な語の区別が重要であり、それぞれ「語彙素」、「語形」と呼ぶ。 例えば「食べた」と「食べろ」は、それぞれ実際に発音できる具体的な語である。命令するときに使うか、過去の出来事を述べるときに使うかという点で異なるが、どちらも同じ種類の行為を表すことができ、辞書ではふつう同じ見出し語として扱われている。 このように、文法的な意味機能は異なるが、具体的な意味は共有していると考えられるAとBについて、AとBは同じ語彙素(ごいそ、lexeme)であり、AとBは同じ語彙素の二つの語形(ごけい、word-form)である、という。 語彙素は、一つ以上の語形の集合であり、それぞれの語形は語彙素に属する。例えば、「食べる、食べた、食べよう、食べて、食べろ」などは、それぞれ同じ語彙素タベルに属する語形である。「リンゴ」のように、語形が一つしかない語彙素もある。一つの語彙素に属する全ての語形をまとめたもののことを、その語彙素のパラダイム (paradigm) という。 このように、同じ語彙素に属する複数の語形同士の関係を、語形変化(ごけいへんか)または屈折(くっせつ、inflection)という。例えば、「食べる、食べた、食べよう、食べて、食べろ」などの語形は、語形変化の関係にある。 一方、語形同士ではなく、語彙素同士が形式と意味を一部共有している場合、それらは派生(はせい、derivation)の関係にある、という。例えば、英語のinstall「インストールする」とinstaller「インストーラー」は、派生の関係にある。 なお、実際に使われて、見たり聞いたりすることのできる語のことは、語の具現形(ぐげんけい、token)という。
※この「語彙素と語形」の解説は、「形態論」の解説の一部です。
「語彙素と語形」を含む「形態論」の記事については、「形態論」の概要を参照ください。
- 語彙素と語形のページへのリンク