語彙音韻論的原則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 08:19 UTC 版)
チャールズ・ホケット(1966年)はヒトの言語を記述する上で本質的だとされる特性のリストを詳述した。語彙音韻論的領域では、このリストのうち二つの特性が最も重要である: 生産性:言語使用者は全く新しいメッセージを作ったり理解したりできる。新しいメッセージは古いものを混ぜたり、古いものから類推したり、古いものを変化させたりすることで自由に作れる。 新しい要素も古い要素も状況・文脈に応じて自由に新しい意味論的債務にあてがわれる。つまり、あらゆる言語において新しい語法が作られ続けているのである。 (パターン形成の)二重性:数多くの有意味な要素が、都合のいいことに数の少ない、独立して意味を持つことはないがメッセージを差異化する要素によって作られている。 言語の音韻体系は有限個の単純な音素からなる。各言語の特有の音素配列論的規則の下でこういった音素が再結合・連結させられ、形態論的体系と際限ない語彙が生まれる。言語のカギとなる特性は、簡素で有限な音韻論的要素によって、規則がその中の各要素を決定しているような無限の語彙体系が生まれることと、意味がその形式に密接に結びついていることである。音韻論的統語論は先立って存在する音韻論的要素の単純な結合である。ヒトの言語のもう一つの本質的な特性もこれに関連している。先立って存在する要素を結びつける語彙統語論によって意味論的に新しく互いに異なる語彙論的要素が生まれる。 ある語彙音韻論的要素がヒトの外部に存在することで知られている。自然世界に存在するものは全て(もしくはほとんど全て)何らかの形式で記述されてきたが、ごく僅かなものが同一種内に共存している。鳥の歌、歌う類人猿、クジラの歌、これら全てが音韻論的統語論を示しているが、音的な要素を組み合わせて拡張された新しい意味を欠く大きな構造を作り上げている。ある種の霊長類は各要素が世界に存在するなんらかのものを指示するような単純な音韻体系を有している。しかし、ヒトの体系とは対照的に、こういった霊長類の体系の要素は通常個々独立して生じ、語彙統語論の欠如を示す。キャンベルモンキー(英語版)が語彙統語論を持ち、二種の鳴き声を組み合わせたりする(捕食者が来たことを示す「ブーム」という鳴き声と危険の兆しが去ったことを示す鳴き声が組み合わせられるなど)が、これが語彙論的、もしくは形態論的な現象なのかは不明確である。
※この「語彙音韻論的原則」の解説は、「言語の起源」の解説の一部です。
「語彙音韻論的原則」を含む「言語の起源」の記事については、「言語の起源」の概要を参照ください。
- 語彙音韻論的原則のページへのリンク