音素配列論とは? わかりやすく解説

音素配列論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/28 06:26 UTC 版)

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音素配列論(おんそはいれつろん、: Phonotactics)とは、音韻論の一分野。自然言語では、音の並べ方に規則性があり、その規則性を記述、分析するのが音素配列論である。

日本語では、例えば以下のような制限がある。

  • 語頭に子音を二つ並べることができない(例:*sta, *tra)。
  • 語中でも、子音を二つ並べる場合、一つ目は二つ目の子音と調音点が同じ鼻音か促音である(例:anna, ammoku, atta, akka, *arka, *amda)。
  • 大和言葉では、同じ形態素のなかに濁音が二つ入ることは許されない(ライマンの法則)。
  • 促音は無声阻害音と、鼻音に限られる。
  • 母音連続は一般的に回避される。
  • 一部の子音と母音の連続は避けられる(例:ɕi「し」、tsu「つ」はあるが*si、*tuはない)

英語で有名な例。

  • 語頭で三つ子音が並ぶ場合、一つ目は必ず [s] である(例:str, skr, spr)。
  • 子音が二つ語頭に並ぶ場合、聞こえ度が低いものが前にくる。
  • 子音が二つ語頭に並ぶ場合、一つ目はかならず阻害音である。
  • [tl, dl] は語頭にこられない。
  • 語末に子音が二つ並ぶ場合、聞こえ度が高いものが前にくる。

聞こえ度による一般化

上の英語の例で見られるように、自然言語では、音節聞こえ度母音を頂点する山をなすように音が並べられることが多い。ただし、英語では[s]がこの法則の例外として振る舞う(stのような連鎖では、[s]のほうが[t]より聞こえ度が高い)。また、ロシア語のようにこの法則に従わない言語も存在する。

音韻変化との関連

一般に、音素配列制約を違反するような形が出る場合、音韻変化によってこれが回避される場合がある。



音素配列論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 15:27 UTC 版)

上代日本語」の記事における「音素配列論」の解説

音節表 和歌字余り傾向からヤ行イワ行ウ存在したとする説がある。ホ甲乙認め研究者もあるが、これに関して詳しく上代特殊仮名遣参照中古音からア行オは乙類相当として再構音を当てられるので便宜上乙類においた。 ア段イ段ウ段エ段オ段甲類乙類甲類乙類甲類乙類ア行a i u e o カ行ka kiki₂ ku kekekoko₂ クヮkwaし なし なし なし サ行sa si su se so₁ so₂ タ行ta ti tu te totoナ行na ni nu ne no₁ no₂ ハ行pa pipipu pepe₂ po(₁) po(₂) マ行ma mimi₂ mu meme₂ momoヤ行ya (yi) yu ye yoyoラ行ra ri ru re roroワ行wa wi (wu) we wo 濁音ア段イ段ウ段エ段オ段甲類乙類甲類乙類甲類乙類ガ行ga gigigu ge₁ gego₁ go₂ ザ行za zi zu ze zozoダ行da di du de do₁ do₂ バ行ba bibibu be₁ be₂ bo(₁) bo(₂) 音節構造基本的に(C)Vであり、母音語頭でのみ単独出現することができた。漢字音影響受けて音便呼ばれる一連の音韻変化生じるよりも前の時代であり、撥音(ン)・促音(ッ)は存在せず拗音(ャ・ュ・ョで表されるような音)や二重母音ai, au, eu など)も基本的に存在しなかった。また、借用語除けば濁音およびラ行音は語頭には立ち得なかったとされる

※この「音素配列論」の解説は、「上代日本語」の解説の一部です。
「音素配列論」を含む「上代日本語」の記事については、「上代日本語」の概要を参照ください。

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