古英語の同根語と語義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 07:03 UTC 版)
「ワルキューレ」の記事における「古英語の同根語と語義」の解説
wælcyrgeないしwælcyrieという単語が古英語の写本に現れることがある。これは、古ノルド語のvalkyrjaの同根語と考えられるが、古英語では基本的に外来の概念を翻訳するような場合に用いられている。例えば、アルドヘルム『処女賛美』の11世紀初頭の写本では、ウェヌス(ueneris)の語のところにwælcyrgeないしgydene(女神)という注釈が付けられている。2つの写本(クレオパトラ語彙集とコーパス語彙集)では、Wælcyrgeはギリシアのエリーニュスたちの名前の訳語として用いられている。クレオパトラ語彙集では、ローマの女神ベローナを指して用いられている箇所もある。 ウルフスタンによる『イングランド人への説教(Sermo Lupi ad Anglos)』にはwælcyrieの語があり、これは「魔女」を示す単語として使われていると考えられている。エジプト軍の上を飛ぶワタリガラスを「死者を選ぶ黒きもの(wonn wælceaseg)」と書いている箇所もある。 リチャード・ノースは、『イングランド人への説教』での表現は明らかに北欧の影響を受けており、古ノルド語からの借用ないし翻訳と考えられる一方で、クレオパトラ語彙集とコーパス語彙集の例は「スカンディナヴィアの影響とは独立したアングロ・サクソンの観念であろう」と述べている。
※この「古英語の同根語と語義」の解説は、「ワルキューレ」の解説の一部です。
「古英語の同根語と語義」を含む「ワルキューレ」の記事については、「ワルキューレ」の概要を参照ください。
- 古英語の同根語と語義のページへのリンク