北投石 低鉛含有の北投温泉産北投石

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北投石

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/31 03:29 UTC 版)

低鉛含有の北投温泉産北投石

従来、玉川温泉産と北投温泉産の北投石は、鉛含有量に違いがあり、別グループに属すると考えられていた(玉川温泉産は PbOとして 1.7 - 14%、北投温泉産は 19 - 30%)。しかし、1989年に北投温泉で行われた下水工事の際に従来のものと外観が異なる北投石が見つかり、鉛含有量が PbOとして 5 - 6% であった。このことから、北投温泉でも、沈殿条件によっては低鉛含有の北投石が生成することが判った[2]

逸話

  • 1920年(大正9年)、飯盛がオックスフォード大学に留学した際、指導者教官のフレデリック・ソディ教授はすでに北投石を知っていて「北投石は珍しい鉱物だ、放射性元素の吸着を実証するのに良い例だ、だれが分析したのか」と聞かれて、それは自分であると答えて光栄に感じた、と述べている[7]
  • 1923年(大正12年)4月25日、台湾行啓の折り、北投温泉を訪問した摂政宮皇太子裕仁親王(のちの昭和天皇)は、自身の希望により北投の渓流で「奇石採集」をした[17]

脚注

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関連項目

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注釈

  1. ^ 玉川温泉は古くは渋黒温泉と呼ばれていたが、1935年頃現在の名前に改称された[1]
  2. ^ フレデリック・ソディは、グラスゴー大学在任時 (1904 - 1914) に、多数のウラン鉱物についてウラン・ラジウムの比率を実験的に求め、その値が常に 3.4×10-7になることを見出した[10]。この値を北投石(北投温泉産)のラジウム含有量 1.73×10-7%に当てはめると、含まれているはずのウランの量は (1.73×10-7%)÷(3.4×10-7)=0.51% (UO3換算 0.61%) が得られる。

出典

  1. ^ a b 南英一、「玉川温泉の北投石について」『鉱物学雜誌』 1954年 2巻 1号 p.1-24, doi:10.2465/gkk1952.2.1,
    第2卷第1号 正誤表 『鉱物学雜誌』 1955年 2巻 2号 p.107b,doi:10.2465/gkk1952.2.2_107b,
    第2卷第1号,南 英一:玉川温泉の北投石について,著者よりの訂正 『鉱物学雜誌』 1955年 2巻 2号 p.107a,doi:10.2465/gkk1952.2.2_107a
  2. ^ a b 綿秡邦彦、「北投石-その地球化学」『地球化学』 1991年 24巻 2号 p.79-83, doi:10.14934/chikyukagaku.24.79
  3. ^ a b c d e Suganuma, Ichizo (1928). “On the constituents and genesis of a few minerals produced from hot springs and their vicinities in Japan, I. The Akita Hokutolite”. Bulletin of the chemical society of Japan 3 (3): 69 - 73. https://www.journal.csj.jp/doi/pdf/10.1246/bcsj.3.69 2019年4月26日閲覧。. 
  4. ^ a b c d 菅沼市蔵、1925、『硫黄泉秋田鹿湯に産する秋田北投石の成分及び成因』、ラヂウム鑛石研究所
  5. ^ 堀内公子「温泉の化学」『放射化学50年のあゆみ』日本放射化学会 2007年
  6. ^ 飯盛里安「分析化学その他の昔話」『ぶんせき』No.6、1975年、 71頁。
  7. ^ a b c d 飯盛里安「北投石一夕話(ほくとうせきいっせきわ)」我等の鉱物 Vol.10 No.1 pp.37 - 40 1941年
  8. ^ 斎藤信房「日本における放射化学の黎明と進展 (1907 - 1957)」 『放射化学研究50年のあゆみ』日本放射化学会 2007年, NAID 40016915010
  9. ^ Yoshimura, Jun (1929). “The radioactive constituents of Hokutolites and other minerals in Japan”. Bulletin of the Chemical Society of Japan 4 (4): 91 - 96. https://www.journal.csj.jp/doi/pdf/10.1246/bcsj.4.91 2019年4月24日閲覧。. 
  10. ^ 飯盛里安「SODDYの死を悼む」化学の領域 Vol.1,No1 pp.1 - 2 (1957)
  11. ^ 『飯盛里安博士97年の生涯』中津川市鉱物博物館、p.6 2003年
  12. ^ a b 綿秡邦彦、「一つの石の物語(<特集>化学のふるさと)」『化学教育』 1973年 21巻 5号 p.348-353, doi:10.20665/kagakukyouiku.21.5_348
  13. ^ 特別天然記念物盗む/容疑者逮捕/秋田県警・角館署”. Secure Japan. ウェリカジャパン. 2019年1月10日閲覧。
  14. ^ 百島則幸「北投石」『放射化学研究50年のあゆみ』日本放射化学会 2007年
  15. ^ 佐藤傳蔵、南英一「渋黒北投石」『新潟縣外七縣に於ける天然紀念物及名勝』(天然紀念物調査報告;地質鑛物之部 第2輯)内務省 p.41 1927年、doi:10.11501/1899900
  16. ^ 佐々木信行、流郷忍、堀口昇、「縞状北投石中の放射性核種の分布について」『香川大学教育学部研究報告』2012年 第2部 62(2), pp.95-104
  17. ^ 田健治郎伝記編纂会 編 『田健治郎伝』田健治郎伝記編纂会、1932年、516-517頁。全国書誌番号:53009203 NDLJP:1880388/308






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