北投石(玉川温泉産)の生成と成因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 07:11 UTC 版)
「北投石」の記事における「北投石(玉川温泉産)の生成と成因」の解説
北投石の成因について最初に言及したのは菅沼市蔵であった。菅沼は以下のような経過をたどって北投石が生成すると推定した。玉川温泉の特徴である高温、強酸性 (96度、pH1 - 2) の源泉水が川を流下して、藍藻 の生育に最適な40度くらいに低下した地点に達すると、川底の岩石(安山岩)の表面に藍藻が付着する。藍藻中に含まれるゼラチン様物質と水中のアルミニウムイオンが、ケイ酸ゾルを凝固させてケイ酸ゲルに変化させ、岩石の表面に吸着したケイ酸ゲルが媒介して、温泉水中の硫酸バリウムや硫酸鉛などの種々の鉱物成分を岩石表面に吸着させる。季節によって変化する水温のために藍藻が死滅したり生育して、その影響によって縞状構造ができる(冬季には積雪のため川に流れ込む水量が減少して水温は高くなり、春には融雪で流入する水量が増加して水温が下がり、藍藻は死滅する)。 これに対して南英一は、玉川温泉における北投石の産状を詳細に調べたところ、藍藻の生育していないところにも北投石が生成しているので、藍藻は必ずしも必要ではない、としているが、岩石表面に鉱物成分が吸着するにはコロイドケイ酸、ケイ酸アルミニウムが岩石表面に生成することが必要であると推定した。また、水温が高くpHが低いときには白色層が、水温が低くpHが高いときはかっ色層が生成すると、推定した。
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