中国海警局
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/20 11:50 UTC 版)
武警系列時代
上記のように、「国家海洋局が法執行任務を行う場合の名義としての中国海警局」という状態は、組織管理の複雑さや権限の曖昧さなど、多くの弊害があった[1]。そしてまた、習近平党総書記は、安定性と抑制を犠牲にして、中国の海洋権益主張を擁護する能力の構築と行使を優先してきたこともあって、海洋石油981を巡る事案の際に(中国海警局のなかでも)辺防海警が主導的な役割を果たしたように[注 1]、対外的な海洋権益確保の際には、文民組織よりは、軍人による法執行機関のほうが有利であると考えられるようになっていった[4]。
2018年3月に開催された中国共産党第19期中央委員会第3回全体会議において「党と国家機構の改革深化方案」が採択されて、武装警察部隊の再編制が行われることになった[11]。そしてその一環として、中国海警局は、国務院組織の管理下から離れて武警系列に組み込まれることになった。同年6月22日には、第13期全人代常務委員会第3回会議において「中国海警局の海上法執行権限行使に関する決定」が採択されて、武警系列下での中国海警局の任務や職責の概要が提示された[12]。またこれと前後して、武警部隊が中央軍事委員会の一元的指揮下に置かれることも決定された[1]。
なおこの改革に伴って、国家海洋局そのものも発展的に解体され、国土資源部や国家測量地理情報局などと統合されて自然資源部が設置され、「国家海洋局」の名義はこちらが引き継ぐことになった[1]。
組織
機関
- 参謀部
- 政治業務部
- 執行部
- 保障部
- 規律検査委員会
部隊
※括弧内は対外呼称です。また各支隊の正式な名称は「中国人民武装警察部隊海警総隊○○支隊」です。
- 中国人民武装警察部隊海警総隊東海海区指揮部(中国海警局東海分局)
- 江蘇支隊(江蘇海警局)
- 上海支隊(上海海警局)
- 浙江支隊(浙江海警局)
- 福建支隊(福建海警局)
- 第一支隊(直属第一局)、上海
- 第二支隊(直属第二局)、寧波
- 第一航空大隊
- 中国人民武装警察部隊海警総隊南海海区指揮部(中国海警局南海分局)
- 広東支隊(広東海警局)
- 広西支隊(広西海警局)
- 海南支隊(海南海警局)
- 第三支隊(直属第三局)、広州
- 第四支隊(直属第四局)、文昌
- 第五支隊(直属第五局)、三亜
- 第二航空大隊
- 中国人民武装警察部隊海警総隊北海海区指揮部(中国海警局北海分局)
- 遼寧支隊(遼寧海警局)
- 天津支隊(天津海警局)
- 河北支隊(河北海警局)
- 山東支隊(山東海警局)
- 第六支隊(直属第六局)、青島
- 第三航空大隊
病院
- 中国人民武装警察部隊海警総隊病院
役職
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注釈
出典
- ^ a b c d e f 越智 2019.
- ^ a b c d 越智 & 四元 2014.
- ^ a b c d e f モリス 2020.
- ^ a b c マーティンソン 2020.
- ^ “中共中央が中国人民武装警察部隊指導指揮体制の調整を決定”. 人民網日本語版 (2017年12月28日). 2018年3月22日閲覧。
- ^ “中共中央决定调整武警部队领导指挥体制”. 中国政府网 (2017年12月27日). 2018年3月22日閲覧。
- ^ Goldstein 2010.
- ^ 陸 2011.
- ^ a b c 越智 & 四元 2015.
- ^ a b c d e f 佐藤 2016.
- ^ “中共中央印发《深化党和国家机构改革方案》”. 新华网. p. 6 (2018年3月21日). 2018年3月22日閲覧。
- ^ “全国人民代表大会常务委员会关于中国海警局行使海上维权执法职权的决定”. 中国人大网 (2018年6月22日). 2018年7月1日閲覧。
- ^ “CHINA PEOPLE’S LIBERATION ARMY NAVY (PLA(N)) AND MARITIME LAW ENFORCEMENT (MLE) 2015 RECOGNITION AND IDENTIFICATION GUIDE”. OFFICE OF NAVAL INTELLIGENCE, US. NAVY (2015年8月24日). 2016年8月12日閲覧。
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