ウグイス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/12 03:41 UTC 版)
ウグイス | |||||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Horornis diphone (Kittlitz, 1830) | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
Cettia diphone | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ウグイス(鶯) | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Japanese Bush Warbler Japanese Nightingale | |||||||||||||||||||||||||||
亜種 | |||||||||||||||||||||||||||
「ホーホケキョ」と大きな声でさえずる。日本三鳴鳥の1つ。山梨県と福岡県の県鳥であり、日本の多数の市町村などの自治体指定の鳥である。
特徴
分布
種の範囲の定義により、分布域は多少変化するが、大まかにいって東アジアに生息する。
現代的な分類でのウグイス(マンシュウウグイスを含みチョウセンウグイスを含まない)は、日本(南西諸島を含む)、サハリン、東部・中部中国で繁殖し、南部・東南部中国、台湾、東南アジアで越冬する[4]。
伝統的な(2000年代までの)分類に基づく場合、「広義の (sensu lato) ウグイス」(チョウセンウグイスも含む)の繁殖地には南東シベリア、中国東北部、朝鮮半島が加わる。「狭義の (sensu stricto) ウグイス」(マンシュウウグイスも含まない)は、日本(南西諸島を含む)とサハリンのみで繁殖し、南部・東南部中国、台湾で越冬する[5]。
ハワイ諸島にも分布するが、これは日本から移入されたものである。
日本ではほぼ全国に分布する。一部地域では夏に山地で過ごし冬季に平地へ移動する漂鳥であるのに対し、移動を伴わない地域では留鳥となる。平地から高山帯のハイマツ帯に至るまで生息するように、環境適応能力は広い。笹の多い林下や藪を好むが[6]、さえずりの最中に開けた場所に姿を現すこともある[7]。英名の「Bush Warbler」は藪でさえずる鳥を意味している。警戒心が強く、声が聞こえても姿が見えないことが多い[8][9][10]。
形態
体長はオスが16 cm、メスが14 cmで、スズメとほぼ同じ大きさ[7][11]。翼開長はオスが21 cm、メスが18 cm[7]。体色は、背中がオリーブ褐色で、腹面は白色、全体的に地味である。雌雄同色[11][12]。
ウグイスの卵の長径は1.8 cm、ホトトギスの卵の長径は2.2 cmで、色はほぼ同じで、ホトトギスの托卵対象となる[12][13]。
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生態
食性は雑食だが、夏場は主に小型の昆虫、幼虫、クモ類などを捕食し、冬場は植物の種子や木の実なども食べる[11]。繁殖期は初夏で、オスは縄張りをつくり「ホーホケキョ」と1日に1000回ほど鳴くことがある[8]。横穴式の壺形の巣をつくり、4–6個の卵を産み、メスが雛を育てる[7][14]。亜種のハシナガウグイスは、2-3個の卵を産み、オスも雛への給餌を行う[15]。
鳴き声
さえずりは「ホーホケキョ、ホーホケキキョ、ケキョケキョケキョ……」、地鳴きは「チャッチャッ」。
さえずるのは縄張り内を見張っているオスで、「ホーホケキョ」が他の鳥に対する縄張り宣言であり、巣にエサを運ぶメスに対する「縄張り内に危険なし」の合図でもある。「ケキョケキョケキョ」が侵入した者や外敵への威嚇であるとされており、これを合図に、メスは自身の安全のためと、外敵に巣の位置を知られないようにするためにエサの運搬を中断して身をひそめる。
平地にて鳴き始める季節が早春であることから
藤原敏行は古今和歌集で「うぐいす鳴く」と詠っている。古くは鳴き声を「ウー、グイス」または「ウー、グイ」と聴いていて[13]、和名の由来であるとする説がある[16]。また、『出雲風土記』には「法吉鳥」(ほほきどり)とある[18]。近世になってから鳴き声が「法法華経」「宝法華経」などと表記されるようになった[18]。
東京都台東区鶯谷の地名の由来は、元禄年間に京都の皇族の出である公弁法親王が「江戸のウグイスは訛っている」として、尾形乾山に命じて京都から3,500羽のウグイスを取り寄せて放鳥し、以後鳴きが良くなりウグイスの名所となったという逸話に由来する。
日本から持ち込まれたハワイに生息している種の鳴き声(さえずり)は日本に生息しているものと比較して単純化されていると国立科学博物館の筑波研究施設が発表した[19]。これはハワイでは縄張り争いや繁殖の争いが日本に比べて激しくないためと推測されている[20][21][22]。
音声データ
- 前鳴きから、ケキョ、ケキョ、ホーホケキョ、まで(背景にカラスの声入り)。 : 再生時間: 00:01:34、ファイルサイズ: 380KB
- ホーホケキョ、ホーホケキョ(2羽分の鳴き声を1ファイルに合成)。 : 再生時間: 00:00:03、ファイルサイズ: 60KB
- ホーホケキョ : 再生時間: 00:00:01、ファイルサイズ: 8KB
- ホーホケキョ : 再生時間: 00:00:01、ファイルサイズ: 8KB
- ホーホケキョ : 再生時間: 00:00:02、ファイルサイズ: 10KB
分類と系統
系統樹
系統樹は Alström et al. (2011)[23]より。
Horornis |
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ウグイス(マンシュウウグイスを含む)+チョウセンウグイス+フィリピンウグイス H. seebohmi は単系統をなす。ただし、この3種間の系統関係は不確実である。
ここではウグイスの亜種のうち2亜種しか解析されていないが、マンシュウウグイス H. borealis は亜種 H. diphone cantans の系統に内包されており、系統的な亜種分類にはなっていない。
上位分類
ウグイスやチョウセンウグイスはかつて、Horeites 属に分類されていた。その後、Horeites 属など数属が、それまではヨーロッパウグイスの単型属だった Cettia 属に統合された。
しかし、ウグイスとヨーロッパウグイスは別系統と判明し[24][25][23]、ウグイスなど大半の種は、タイワンコウグイス Horornis fortipes を模式種とする Horornis 属として分離された[23][26]。
亜種
ウグイスの種の範囲には伝統的に、狭義 (sensu stricto) と広義 (sensu lato) があった。
狭義のウグイスは、島嶼(日本・南西諸島・サハリン)で繁殖する亜種のみを含んだ。広義のウグイスには、大陸で繁殖するチョウセンウグイス Horornis borealis とマンシュウウグイス Horornis diphone canturians が亜種として含められた。ウグイスを狭義にとる場合、チョウセンウグイスとマンシュウウグイスは1種マンシュウウグイスの亜種とされた。
実際の系統では、マンシュウウグイスは狭義のウグイスの系統内に位置し、ウグイスに含められた。一方、チョウセンウグイスは系統的にやや離れており、別種となった[23][26]。
かつては、フィリピンウグイス Horornis seebohmi を広義のウグイスに含める説もあった[23]。
現在の亜種
日本に生息する種には○をつける。
- Horornis diphone cantans, ウグイス ○ - 北海道から九州まで広く分布する普通種。
- Horornis diphone diphone, ハシナガウグイス[27] ○ - 普通種と比較して、やや小型で嘴が長く、さえずりは活発ではなく、縄張りは狭い[15][28]。
- Horornis diphone restrictus, ダイトウウグイス ○ - 南大東島で 1922年(大正11年)に 2羽が発見・採集されたが、その後に記録がなく絶滅 (EX) したものと考えられていた[29]。しかし2001年以降、沖縄本島と喜界島に生息していることが確認された。
- Horornis diphone riukiuensis, リュウキュウウグイス ○ - 越冬のため冬に沖縄に飛来する[28]。
- Horornis diphone sakhalinenis, カラフトウグイス - 灰色味が強い[28]。
- Horornis diphone canturians, マンシュウウグイス(タイワンウグイスとも言うが、この名はタイワンコウグイス H. fortipes を意味することもある) - かつての広義のウグイスに含まれたが狭義のウグイスには含まれなかった亜種。
かつて亜種とされた種
- Horornis borealis, チョウセンウグイス - マンシュウウグイスと共に広義のウグイスに含められた。
- Horornis seebohmi, フィリピンウグイス - 広義のウグイスに含める説があった。
- ^ a b “IUCN 2011. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.2. (Cettia diphone)” (英語). IUCN. 2012年3月30日閲覧。
- ^ “Cettia diphone Kittlitz, 1830” (英語). ITIS. 2012年3月30日閲覧。
- ^ 山形則男・吉野俊幸・五百澤日丸=写真、五百澤日丸・山形則男=解説『新訂 日本の鳥550 山野の鳥』文一総合出版、2014年、188頁。ISBN 978-4829984000。
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- ^ a b c d ひと目でわかる野鳥 (2010)、192頁
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- ^ a b c 野山の鳥 (2000)、88–89頁
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- ^ ウグイス 一夫多妻の鳥 (1997)、34-35頁
- ^ a b ウグイス 一夫多妻の鳥 (1997)、58–59頁
- ^ a b 庭で楽しむ野鳥の本 (2007)、32-33頁
- ^ お知らせ「季節観測の種目・現象の変更について(pdf)」(2020年11月10日) - 気象庁:大気海洋部(2021年1月13日閲覧)
- ^ a b ほう ほけきょ 生活の中の仏教用語 大谷大学
- ^ ハワイに持ち込まれた日本のウグイスは、短期間にさえずりの進化を起こした
- ^ ハワイのウグイスは「ホーホピッ」 国立科学博物館・筑波研究施設
- ^ ハワイのウグイス、さえずり「日本より単純」
- ^ ウグイスが「ホーホピッ」 競争ないとさえずり手抜き?
- ^ a b c d e Alström, P.; Höhna, S.; Gelang, M.; Ericson, P.G.P.; Olsson, U. (2011), “Non-monophyly and intricate morphological evolution within the avian family Cettiidae revealed by multilocus analysis of a taxonomically densely sampled dataset”, BMC Evol. Biol. 11 (353), doi:10.1186/1471-2148-11-352
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- ^ 『これは重宝漢字に強くなる本』光文書院昭和54年6月15日発行622頁
- ^ 懐風藻
- ^ 『信州の民間薬』全212頁中47頁 81頁 医療タイムス社昭和46年12月10日発行信濃生薬研究会林兼道編集
- ^ “鶯宿温泉観光協会 公式サイト”. 2019年3月24日閲覧。
- 1 ウグイスとは
- 2 ウグイスの概要
- 3 種の保全状況評価
- 4 参考文献
- 5 関連項目
ウグイスと同じ種類の言葉
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