U-864撃沈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/17 14:40 UTC 版)
「ヴェンチャラー (潜水艦)」の記事における「U-864撃沈」の解説
詳細は「1945年2月9日の戦闘(英語版)」を参照 1945年2月6日、U-864は発見されることなくフェイエ海域を通過した。しかし2月9日にヴェンチャラーはU-864のスクリュー音を探知することに成功する。ラウンダース艦長は存在を知られないようにASDICを使用せず、聴音のみでU-864を追い詰めることに決めた。約20分後、ヴェンチャラーはU-864の艦長が友軍の護衛艦を探すため海面上に出した潜望鏡を発見した。 双方の乗員たちが訓練したことのないこの稀な状況での交戦において、ラウンダース艦長はU-864が浮上し絶好の標的になる瞬間を待つべく、U-864の発見から戦闘配置を命じるまで45分間にわたって追跡を続けた。やがてU-864も自らがイギリス海軍の潜水艦に追跡されていることに気づき、ジグザグ航行で逃れようと試みた。U-864の護衛艦はいまだ到着しておらず、双方は危険を冒しつつ時折潜望鏡で相手を確認しながら行動を続けた。 U-864が22本の魚雷を搭載可能であるのに対して、小型潜水艦であるヴェンチャラーはわずか8本の魚雷しか装備していなかった。3時間後、ラウンダース艦長はU-864のジグザグ航行のパターンを予測して攻撃を決め、水深40フィート(約12m)に調定した魚雷を予想された針路に向かって扇状に発射した。三次元で動く標的に対して行われた人の手による前例のないこの手法は、現代のコンピュータ管制による雷撃照準システムの基礎となった。この攻撃以前には、三次元で動く標的の絶えず変動する位置や深度を予想して魚雷を放ち、敵艦を沈めた例はなかった。この魚雷管制は、敵艦の喫水の深さを完全に想定できる水上艦艇に対する二次元での戦闘を前提としたアナログコンピュータ式魚雷管制装置とは根本的に異なるものであった。 魚雷は12時12分から17秒間隔で発射され、4分後には全ての魚雷がU-864の推定位置に到達した。魚雷を発射後、ラウンダース艦長は反撃を避けるためにヴェンチャラーを急速潜航させた。U-864は魚雷の接近音を探知し、回避すべく進路変更と潜航を試みた。U-864は最初に到達した3本の魚雷を回避したが、ヴェンチャラーがU-864の回避行動を予想して放った4本目の魚雷がそこへ向かってきていることに気づいていなかった。4本目の魚雷はU-864に直撃して爆発し、艦体を真っ二つに引き裂いた。U-864は日本人科学者を含む73名とともに水深150m(約490フィート)の海底へと沈んでいった。 ラウンダース艦長はこの戦闘における功績によって殊功勲章(DSO)を受章した。 1945年3月19日には、ヴェンチャラーはナムソス沖でドイツ船シリウス(Sirius)を雷撃して沈めた。5月24日に艦長がアンドリュー・トーマス・チャルマース(Andrew Thomas Chalmers)大尉に交代し、以降1946年1月30日までその任に就いた。 ヴェンチャラーは現役期間で潜水艦2隻と商船4隻を撃沈した。
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