OneSpace Designer Modeling
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/17 21:51 UTC 版)
「OneSpace Designer」の記事における「OneSpace Designer Modeling」の解説
OneSpace Designer Modelingはコクリエイト・ソフトウェア社の前身であったHewlett-Packard社のMechanical Design Divisionが1992年に当初SolidDesingerという名称でリリース、特徴は現在の3次元CADの多くが採用するヒストリーやフィーチャーによる間接的な形状モデルの操作でなく、ダイナミックモデリングと呼称する直接的な操作性が特徴。 OneSpaceが踏襲しているのは3次元形状モデリングの古典とも言える立体のブール集合演算である。「立体から立体を引く」や「立体を足す」などを繰り返すこの手法の問題は、設計の後期では立体構造が複雑になるほど計算に時間がかかり、場合によっては立体計算ができなくなる問題であった。これには初期のハードウエアの性能の処理能力の限界も起因した。 この問題を解決したのは1984年に現れたPTCのPro/ENGINEERであり、Pro/ENGINEER以後のCAD多くがフィーチャベース、パラメトリックドリブンを踏襲するが、OneSpaceはフィーチャーベースに依存することなく、伝統的な手法をソフトウエアとして精度を高めることにより、ソリッド・データの破綻を回避した。「削ったり、捻ったり、加工に近い感覚で」「粘土でモデリングするように」と表現される「ダイナミック・モデリング」(直感的なモデリング)の起源である。 「ダイナミック」はフィーチャーベースが、形状の変更にはフィーチャーとその依存関係の把握という、ソフトウエアのプログラミングのようなわずらわしいモデリング手法の反語としてCoCreateにより表現された。 伝統的なモデリング手法を精錬で高めることで、製品が複雑化した現在の設計に適用まで具現化した数少ないの3次元CADであり、PTCを含め、以後の製造業を起源としないソフトウエアハウス製のフィチャーベース3次元CADの「理論と実務のギャップ」を感じた利用企業のエンジニアが、設計のあり方へ回帰するかたちでOneSpace Modeling の採用を行ってきた。 その手法の正当性は、多くのフィーチャーベースのCADが後付で「直感的」「ダイナミック」という形状変更の機能を跡付けで追加することにあらわされている。 反証の対象はPTCのPro/ENGINEERであり、そのPTCに買収されたことは、業界やユーザにおいて驚愕を与えた。 カスタマイズはKyoto Common Lisp(詳しくはLISPの項を参照)をベースとしたLisp言語を用いて行う。LispはMEマクロに代わり採用されたが、プログラマが日本では少ないのが難点とも言える。同様の理由でサードパーティ製のプラグインの専門モジュールが少ない。 2D同様、開発期間が短いなど、緊急性の高い速いモデリングを必要とする企業利用者に評価が高い。 2007年12月の米PTCによる買収以降、モデリング手法の名称が「ダイナミックモデリング」から「エクスプリシット モデリング」に変更された。
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