NK-32-2の開発と生産再開
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「クズネツォフ NK-32」の記事における「NK-32-2の開発と生産再開」の解説
NK-32は1993年に生産を終了したが、この生産終了によってエンジンの異常振動問題に加えて予備部品の不足に悩まされることとなった。特に予備部品の不足については問題となり2011年にはロシア空軍におけるTu-160の保守が失敗したと報告されている。そのため製造元であるクズネツォフでは問題点の改良を行ったNK-32シリーズ2のベンチテストを2006年に終え、2008年には、既存のNK-32シリーズ1をNK-32シリーズ2に改造するための文書を開発、信頼性と経済性を向上させるためにこれらの改良を2009年から実施する予定とした。改良はエンジンのコアに関連しており、NK-37ガスタービンに適用されるいくつかの構造的および技術的要素を適応すべきであるとしていた。 2010年10月、クズネツォフは生産体制の近代化によって2013年よりNK-32の納入を開始する計画を明かした。 2012年5月、クズネツォフはCIAMの温度チャンバにおいて改造されたガス発生器の試験が行われているとし、38基のNK-32エンジンが第2段階の国家試験のため製造されたと発表した。作業はサマーラ国立航空宇宙大学(英語版)と共同で行われ、空力的な改善により、ブレードユニットのガス動特性が大幅に向上したという。またタービン入り口温度は1,750Kに向上した(NK-32の国家試験の第1段階では1,635K)。 2014年3月、当初の予定より3年遅れ2016年に5基(試験用のエンジン1基と量産エンジン4基)の試験を行うことが発表された。同年7月には重ねて2016年には生産を再開できる目処が立っているとした上でGPV-2020より80億ルーブルが支出されることが決まっており、2014年中に新たなエンジン試運転台その他の設備が導入されると発表された。 2016年2月にはユーリ・ボリソフ副国防相はクズネツォフを訪問し5基(試作1基と量産型4基)のエンジンが納入されるべきであると発言し、同年7月、最初のエンジンが2016年末までにデリバリーされると報じられた。 2017年7月18日、クズネツォフのプレスサービスは最初のバッジのエンジンを組み立てていると述べ、年末までに5基のエンジンを受け取ることが報告された。9月にはNK-32の新しいテストスタンドにおいて最初のエンジンの試験が行われた。このテストスタンドは自動化技術を導入しており、サイクルタイムを短縮しかつ製品の品質を向上させることができる。同テストスタンドは2015年末に改築が始まり、2016年12月には完成した。10月にはベンチテストが開始され、セルゲイ・パヴリニッチ氏は量産準備が整っていると説明した。 2018年6月2日、統一エンジン製造会社は最初のバッチのロシア国防省への配備の準備が整っており、今年顧客に移管される予定と報じた。現在企業の準備状況を決定するためにベンチテストを受けており、製品の一部は、テストの完了後に顧客に出荷する準備ができているという。同社の代表はNK-32-02の生産再開により新製品の製造だけでなく、将来のメンテナンスまで幅広い展望を開くとができると強調しリソースは数十年と推定されると述べた。同社によるとNK-32-02の生産は徐々に増加して2020年までにクズネツォフの主要製品となり、将来エンジンの全ラインを作り出すための基礎として役立つと述べている。 2018年10月16日、クズネツォフは4基のNK-32-02エンジンの供給契約が完了し、新たに22基の供給契約を結んだ。
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