Debian Free Software Guideline
略称:DFSG
Debian Projectのメンバー達が、プロジェクトの社会に対する「誓約文書」として1997年5月に策定した「Debian社会契約」の中で、Debianの考えるフリーソフトウェアとは何かを示したガイドライン。
2004年4月に更新/批准されたDebian社会契約のバージョン1.1では、次の10項目が掲げられている。
- ソフトウェアの自由な再配布
- ソースコード配布の許可
- 修正および派生ソフトウェアの作成と配布の自由
- 原作者によるソースコードの整合性維持
- 個人または団体の平等
- 目的ごとによる使用制限の禁止
- すべての配布物への同一ライセンスの適用
- プログラムに付随する権利とDebianとの独立性
- ライセンスによるほかのソフトウェアへの制約行為の禁止
- フリーなライセンス例(GPL、New BSD License、Artistic License)
なお、Open Source Initiativeが提唱している「Open Source Definition」(オープンソースの定義)は、このDFSGからDebian固有の記述を削除して作成されたものである。
関連見出し
Open Source Definition
GNU General Public License
New BSD License
Artistic License
関連URL
Debian Free Software Guideline(原文)(http://www.jp.debian.org/social_contract.en.html)
Debian Free Software Guideline(日本語訳)(http://www.jp.debian.org/social_contract.ja.html)

Debianフリーソフトウェアガイドライン
(DFSG から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/20 00:38 UTC 版)
Debianフリーソフトウェアガイドライン (Debian Free Software Guideline、DFSG) は、ソフトウェアライセンスが、Debianの一部として含めることが可能な自由ソフトウェアライセンスであるかどうか判定するためにDebianプロジェクトが使用しているガイドラインの集合である。DFSGはDebian社会契約の一部である。
ガイドライン
- 自由な再頒布が可能であること。
- ソースコードを入手可能であること。
- 改変や派生作品の作成が認められていること。
- 差分が提供される場合はソースコードの同一性を要求してもかまわない (TeXなどのための妥協案)。
- 人や団体を差別しないこと。
- 適用領域による差別 (商用利用の禁止など) をしないこと。
- プログラムの再配布時に追加ライセンスを必要としないこと。
- ライセンスはDebianだけに限られてはならない。基本的に前項の繰り返し。
- ライセンスは同梱される他のソフトウェアの邪魔をしないこと。
- GPL、BSD、Artisticライセンスなどがフリーと考えられるライセンスの例である。
歴史
最初のDFSGは、最初のバージョンのDebian社会契約ともに1997年7月に発行された[1]。主要な著者はブルース・ペレンズと当時の他のDebian開発者数人であった。
1998年11月、イアン・ジャクソンらは草案のバージョン1.4でいくつかの変更を提案したが、変更は決して公式にはならなかった。ジャクソンは「あいまいな言い回し」とパッチ条項に問題があったと述べてる[2]。
2007年現在、文書は一度も改訂されていない。とは言うものの、DFSGに影響を与える社会契約の変更はなされたことがある。
"Editorial amendments to the social contract"と題されたDebian一般決議 2004-003[3]は、社会契約を変更した。提案者のアンドリュー・サフィールドは、変更されたのは文面だけであって意味は変更されていないと述べた[4]。
しかしながら、文We promise to keep the Debian GNU/Linux Distribution entirely free softwareをWe promise that the Debian system and all its components will be freeと変更した結果として、リリースマネージャのアンソニー・タウンズはDebianがDFSG適合を要求するのはソフトウェアに限られなくなったと解釈し、実際上の変更を行った[5]。
これがもう一つの一般決議である2004-004を促した[6]。開発者たちはその動議に圧倒的な反対票を投じ、それらの変更を次期リリース (その開発が1年後の2005年6月に始まった) まで先延ばしにすることを決議した。
適用
ソフトウェア
DFSGに関するほとんどの議論はdebian-legalメーリングリスト上で起きている。Debian開発者が最初にDebianへ含めるためのパッケージをアップロードするとき、ftpmasterチームがソフトウェアライセンスを調べ、社会契約に合致しているかどうかを判定する。難しいケースでは、チームはdebian-legalメーリングリストと協議することもある。
ソフトウェア以外の内容
DFSGはソフトウェアに焦点を当てているが、2004年6月、Debianプロジェクトは同じ原則をソフトウェア文書、マルチメディアデータおよび他の内容にも適用し始めると決定した。Debianのソフトウェア以外の内容はDebian 4.0 (2007年4月にリリース) およびそれ以降のリリースから、より厳格にDFSGへ適合し始める。
GFDL
GNUプロジェクト、Linux Documentation Project、その他によって書かれ、GNU Free Documentation Licenseの下にライセンスされている多くの文書は不可変更部分を含んでおり、そのためDFSGに適合しない。この表明は長い議論の最終結果であり、一般決議 2006-001となった[7]。
GFDLの不可変更部分のために、Debianの内容のごく一部はDFSGに適合していないとみられている。
マルチメディアファイル
マルチメディアファイルのソースとは何から構成されるのか、たとえば圧縮する前の画像ファイルは圧縮画像のソースなのか、レイトレーシング前の3Dモデルはそのレンダリング結果のソースなのか、などに関しては議論がある。
debian-legalによるDFSG適合テスト
debian-legalメーリングリストの参加者はライセンスがDFSGに適合するかどうかチェックするため、いくつかのテストを作成した。テストの内容については#外部リンクのDFSG FAQ草案を参照されたい。
派生
オープンソースの定義(The Open Source Definition (Annotated))は、Bruce PerensによってDFSGからDebian固有の部分を除いて作られた。[8]
脚注
- ^ Bruce Perens. “Debian's "Social Contract" with the Free Software Community”. debian-announce mailing list. 2008年3月21日閲覧。
- ^ Ian Jackson: Draft new DFSG、debian-develメーリングリスト
- ^ General Resolution: Editorial amendments to the social contract
- ^ Andrew Suffield: Re: Candidate social contract amendments (part 1: editorial) (3rd draft)、debian-voteメーリングリスト
- ^ Anthony Towns: Social Contract GR's Affect on sarge, debian-devel mailing list
- ^ General Resolution: Sarge Release Schedule in view of GR 2004-003
- ^ 一般決議: 何故 GNU Free Documentation License は Debian main に不適切なのか
- ^ “Debian 社会契約”. www.debian.org. 2020年4月26日閲覧。
関連項目
外部リンク
- Debian 社会契約とDebian フリーソフトウェアガイドライン
- debian-legalメーリングリスト、過去の議論のアーカイブを含む
- DFSG FAQ草案 (英語)
- Section A.1.3 of Why OSS/FS? Look at the Numbers! debian-legalメーリングリストで議論された主要な問題のいくつか (英語)
- 現在Debianに見られるソフトウェアライセンスの一覧
- DFSGのページへのリンク