D環の合成
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「ホルトンのタキソール全合成」の記事における「D環の合成」の解説
このセクションではD環の合成を完成させ、B環を適切な置換基で修飾する(式4)。アリルアルコール 29 をピリジン中四酸化オスミウムで酸化しトリオール 30 とする (a)。3つのアルコール基に、次の5つの反応でそれぞれ修飾を施す。まず1級アルコールをクロロトリメチルシランで TMS エーテル 31 として保護し (b)、2級アルコールを塩化トシルと反応させトシラート基を持つ 32 に変換する (c)。不要になった TMS 基は酢酸で脱保護し、33 とする (d)。次の段階で C20 上のヒドロキシ基を求核剤、トシル基を脱離基とした C5 上での反転を伴う求核置換により、オキセタン 34 を生成させる (e)。残っている3級アルコールは無水酢酸、DMAP、ピリジンでアシル化 (35) しておき (f)、アセトニトリル中、フッ化水素・ピリジン錯体で TES を脱保護して C10 上のヒドロキシ基を元に戻す (36, g)。THF 中、−78 ℃でフェニルリチウムを作用させ、炭酸エステルをヒドロキシベンゾエート 37 とする (h)。これでB環の下半分は完成である。上半分のヒドロキシ基は過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム (TPAP)、N-メチルモルホリンオキシド (NMO) で酸化して ケトン 38 とし、THF中低温でカリウム t-ブトキシドによりエノラートに変換したのち (i)、ベンゼンセレネン酸無水物でさらに酸化してアシロイン 39 とする (j)。これをアシル化してアシルケトン 40 を得る (k)。
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D環の合成
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「ダニシェフスキーのタキソール全合成」の記事における「D環の合成」の解説
下式にウィーランド・ミーシャーケトンから始まるC環・オキセタンD環の合成を示す。まず、ケトン 1 を水素化ホウ素ナトリウムで還元してアルコール 2 とし、これを無水酢酸、ジメチルアミノピリジン、ピリジンでアセチル化して保護する (3)。ケトン基もナフタレンスルホン酸を触媒としたエチレングリコールとの反応でアセタール 4 として保護する。このとき二重結合の異性化が同時に起こる。次にアセチル基をナトリウムエトキシドで脱保護し、tert-ブチルジメチルシリルトリフラートと2,6-ルチジンでTBDMS基として保護しなおす。化合物 4 の二重結合は、ヒドロホウ素化とそれに続く過酸化水素による分解によってヒドロキシ基に変換される (5)。このヒドロキシ基は二クロム酸ピリジニウムで酸化してケトン 6 とする。それから、他の二つの官能基が不活性化された状態にあるうちに、オキセタン環の作成を行う。まず必要とされるメチレン基を、コーリー・チャイコフスキー反応によってカルボニル基をエポキシド 7 とすることで導入する。アルミニウムイソプロポキシドによるエポキシドの開環と、それに続く脱離反応によってアリルアルコール 8 を得る。ここで新たに生成した二重結合に、四酸化オスミウム触媒と再酸化剤 N-メチルモルホリン N-オキシドで、2個のヒドロキシ基を付加する。この反応は立体特異的に進行しないため、望みの立体化学を持つトリオール 9 の収率は高くない。次に、1級アルコールをピリジン中、塩化トリメチルシランでシリルエーテル 10 として保護し、2級アルコールをトリフルオロメタンスルホン酸無水物でトリフラート 11 に変換する。これで、良い求核剤と良い脱離基がアンチ型の立体配置で用意された。最後に 11 をエチレングリコール中で加熱還流して分子内ウィリアムソン反応を起こし、オキセタン 12 を得る。
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