CMYK、あるいは四色印刷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 13:27 UTC 版)
詳細は「CMYK」を参照 印刷産業では、様々な色を表現するために減法混合の原色であるシアン、マゼンタ、イエロー(黄色)の三色が用いられる。「シアン」や「マゼンタ」という色名が標準的に使われる以前は、印刷の三原色は「青緑(水色に近い)」や「赤紫」、あるいは「青」や「赤」などとも呼ばれていた。また日本ではそれぞれ「藍」や「紅」とも呼んだ。正確な三原色は長年の間に、新たな顔料や技術の開発とともに何度も変えられている。 イエローとシアンを混ぜると緑が、イエローとマゼンタを混ぜると赤が、マゼンタとシアンを混ぜると青(紫みの青)が生まれる。理論上は三色すべてを均等に混ぜると灰色になり、三色に充分な光学濃度(光学密度、optical density)があれば黒が生まれるはずである。実際には、暗色になりきれいな黒は作れない。美しい黒を印刷するため、また三原色のインキを節約し消費量と乾燥時間を減らすため、この三色に加えて黒のインキがカラー印刷に使われる。 これはCMYKモデルとよばれるもので、シアン (Cyan)、マゼンタ (Magenta)、イエロー (Yellow)、キー (Key) の略語である。キーとは印刷する画像の細部(輪郭や濃淡)を表現するために用いられるキープレートという版の略称で、通常は黒インキが使われる。 実際には、絵具など実際の物質からできた着色料を混ぜることはより複雑な色の反応を起こす。顔料やバインダーといった物質が有する自然科学的な性質は色の成立過程に影響する。たとえば黄と青(紫青)の塗料やインクなどの着色材を混ぜると、黒い緑ないし黒いマゼンタ(赤紫)ができる。これは実際の絵具の混合 が理想的な減法混合と異なることを示している。印刷の場合は、三原色の顔料は実際にはあまり混ぜられることなく、網点(ハーフトーン)の状態で印刷され、一定のパターンで配置された各色の微小の網点を見ることにより、混ぜられた色が知覚されることになる。 減法混合では、白色顔料を加えることで一定の効果を挙げられる。顕色材の量を減らすか二酸化チタンなど反射率の高い白色顔料を混ぜることで着色材の色相をあまり変えずに彩度を下げることができる。また減法混合の印刷は、印刷面や紙面の色が白かまたはそれに近い場合、もっとも効果を発揮する。 減法混合のシステムは、RGBのカラートライアングルのように、色度図上で色域を簡単にあらわす方法はなく、色域は三次元のモデルで表現する必要がある。また二次元の色度図や三次元の色空間でCMYKの色域を表現する試みは非常に多くある。 実際の印刷では、CMYKに加えて蛍光色などの特色インクを用いて色彩表現の幅を広げる事が良く行われる。またパソコン用のカラープリンタでは、以前は低価格機ではコストダウンのためにCMYのみのモデルも存在したが、現在ではCMYKにやはり中間色のインク(ライトシアン・ライトマジェンタ・グレーなど)を加えて色再現性を高めるのが主流となっている。
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