AppleによるNeXT買収
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 03:47 UTC 版)
「スティーブ・ジョブズ」の記事における「AppleによるNeXT買収」の解説
NeXTは、ソフト事業に特化したあと、世界初のウェブアプリケーション開発・運用環境であるWebObjectsを出荷、NEXTSTEPも自社内開発を行う金融機関などに受け入れられ、まずまず安定した経営をしていた。しかし、ゴールドマン・サックスを頼って株式公開を目指していたが、Appleによる買収に変更している。 1995年末、ジョブズは、友人でオラクル創業者のラリー・エリソンと、共同で経営の傾いたAppleの買収を画策する。エリソンは、Windowsを打倒すべく、シンクライアントのネットワークコンピューティングを提唱しており、ジョブズとともに、これをAppleによって実現しようと考えていた。しかしこの考えはジョブズと合わず、最終的には買収提案がなされる前に話自体が流れてしまった。 ジョブズは、1996年の11月ごろ、Appleが自社内でのOS開発が暗礁に乗り上げ、次期OSの基本技術を外部に求めているという話を聞く。AppleにNEXTSTEPを売り込むべく、当時AppleのCEOだったギル・アメリオに電話をかけた。12月上旬に入ってから、1985年の退社以来久しぶりにAppleを訪れ、アメリオやマークラたちと話し合いを持ち、簡単なプレゼンテーションを行った。アメリオはのちに、このときのジョブズの対応を愛想の非常に良い、好感の持てるものだったと言っている。 アメリオとApple CTOのエレン・ハンコックは、次世代Mac OSの候補として、Be社のBeOS、サン・マイクロシステムズ社のSolaris(ソラリス)、マイクロソフト社のWindows NT、そして、NEXTSTEPの4つを挙げていた。もともとアメリオは、ハンコックの助言によりワークステーションやサーバで用いられ堅実に動作するUNIXの中でも、特にカーネギーメロン大学で開発されたMachに目を奪われていた。そして、そのMachについて調べていくうちに行き着いたのがNEXTSTEPであった。NEXTSTEPの高い信頼性、先進的な機能もさることながら、特にWebObjectsの出来に感動し、ジョブズからの売り込みがなくても交渉は行うつもりでいたのだった。 ジョブズ同様、話を聞きつけてやって来たBeのジャン=ルイ・ガセーも、アメリオに対してBeOSの簡単なデモを行った。アメリオは、BeOSの良さ(軽く動作し、扱いやすい)を認識していたが、Be設立から数年経ってもBeOSには未完成部分が多く、製品版OSが発表される見込みが一向に立たない状態であった。BeOSを出荷できるようになるまで膨大な作業が予想されることが明らかであったにもかかわらず、ガセーが法外とも言える金額を吹っかけてきたことも懸念材料となり、その時点でアメリオは決心していた。 同年12月10日、ガセー率いるBeとジョブズ率いるNeXTのOSを比較するプレゼンテーションが行われた。ジョブズは、NEXTSTEPのいい面も悪い面もすべてさらけ出し、自分の不得意な分野は同行させたエンジニアで副社長のアビー・テバニアンと2人で進行し、完璧なプレゼンテーションを終えた。一方Be(ガセー)のプレゼンテーションは、時間をずらし午後から行われた。ガセーは、1人でAppleにやってきた。ガセーはすでに「Beに決まった」と確信しており、「(プレゼンテーションはすでに行っているので)BeOSは以前にご覧頂いた通りです」と述べたのみであった。
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