A60型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 06:59 UTC 版)
それまでのRA63のグループ4カーを代替する競技車両として、前年に発売された200台生産のGT-TSから高度な競技専用の改造を施した20台のエボリューション・モデルが西ドイツのケルンを本拠地とするトヨタ・チーム・ヨーロッパ (TTE) で1984年に製造されグループBの公認を取得することになった。エンジンの開発とテストは日本で行い、車両の開発はドイツのTTEで行った。 エンジンは、ベースの排気量1,791 ccの4T-GTEU型をボアφ89×ストローク84 mmとして規定いっぱいの2,090 cc(換算値2,926 cc)まで拡大した360英馬力/8,000 rpm、35.0 mkg/5,200 rpmの4T-GT改となった。ターボチャージャーはそれまで他のセリカのレースカーで使用していたエアリサーチ社の物からラリー競技での実績やサービス性を考慮してTTEと同じドイツのKKK製K27型を採用した。吸気側のインタークーラーに備えたリリーフバルブと高度調整装置付きウェイストゲートバルブにより如何なる気圧環境下でも0.8 kg/cm2の過給圧を保つことができた。燃料供給方式はトヨタグループの日本電装(現デンソー)製のEFI、点火方式も日本電装製の電子制御ESAを採用した。 ターボチャージャー以外にもレース用部品を多用しており、変速機はトヨタとヒューランドが共同開発したドグクラッチ式5速マニュアルトランスミッション、クラッチはボーグ&ベック(現ボルグワーナー)製、デファレンシャルと後輪車軸はソールズベリー製、ブレーキは4ピストンキャリパーのAPロッキード製を使用していた。タイヤはピレリ製の前165-16、後195-15という大径細身のものを採用し、ホイールは当初マグライト製を使用していたが、後にスピードライン製に変更した。 ボディ側では、前後重量配分を改善すべくエンジン、変速機の位置を後方へ100 mm移動させ、トランクリッド上にはトランク内に設置されたドライサンプ式オイルタンク用のオイルクーラーが搭載していた。市販車ではライズアップ式であったヘッドライトが重量と信頼性を重視した固定式となり、大きく張り出した前後のフェンダーを含む多くの外板が軽量な樹脂製に交換されていた。 後輪駆動のTA64はアフリカのラリーで真価を発揮し、1984 - 1986年のサファリラリー、1983・1985・1986年のアイボリーコースト・ラリー、1986年のコートジボワール・ラリーで優勝を飾っている。 また日本初のグループCカーとして、トムスと童夢が共同開発したマシンのイメージ車両もセリカであった(トムス童夢・セリカC)。
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