2009年ノーベル平和賞受賞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 22:24 UTC 版)
「バラク・オバマ」の記事における「2009年ノーベル平和賞受賞」の解説
2009年10月9日にノルウェー・ノーベル委員会はオバマの「核無き世界」に向けた国際社会への働きかけを評価して2009年度のノーベル平和賞を彼に受賞させることを決定したと発表した。ノルウェー・ノーベル委員会はオバマの受賞に関して冷戦終結を促した政治活動をしたヴィリー・ブラント、ミハイル・ゴルバチョフと比較してオバマは受賞するに値する活動をしたと判断したと述べている。就任してから1年も経っていない首脳の受賞は極めて異例である。ノーベル平和賞受賞者には賞金1000万スウェーデン・クローナが授与されるが、オバマは全額を複数の慈善団体に寄付することを表明した。 現職のアメリカ合衆国大統領にノーベル平和賞が授けられるのは、1906年のセオドア・ルーズベルト、1919年のウッドロー・ウィルソンに続いて3人目である。また大統領経験者の受賞は2002年のジミー・カーター以来である。 セオドア・ルーズベルトは日露戦争の講和、ウィルソンは第一次世界大戦の講和における努力の成果を評価されての受賞であったが、オバマは未だはっきりした成果をあげておらず、受賞に関して「時期尚早」との意見が強く世論は内外で賛否が分かれた。日本の鳩山首相や秋葉忠利広島市長は受賞を評価した。一方でロシアは奇異と評し、アフガニスタンではターリバーンが「2万人以上の増派を行い、戦火を拡大させたオバマが平和賞を受賞するのは馬鹿げている」と批判した。また、ベネズエラのウゴ・チャベス大統領は「オバマはこの賞に値する何をしたのか」と述べ、キューバのフィデル・カストロは「(ノーベル)委員会の姿勢にいつも賛同できるわけではないが、今回については前向きな決定だ。今回の決定は、米国の大統領への賞というよりも、かの国の少なからぬ大統領が続けてきた大量虐殺政策への批判だと受け止めたい」と賞賛している。イスラエルは自国への支援の削減を危惧した。 オバマ支持層の民主党系やリベラル派からも批判や当惑が噴出している。リベラル派の女性コラムニスト、ルース・マーカス(英語版)は「この受賞はバカげている、オバマはまだなにも達成していない」と書き、民主党系外交コラムニスト、ジム・ホーグランド(英語版)もオバマが中国の機嫌を損ねないようにダライ・ラマ14世との会談を避けたことも、平和賞にそぐわないと批判し、トーマス・フリードマンは「ノーベル委員会は早まって平和賞を与えることでオバマ大統領に害を及ぼした」と書き、「世界で最も重要な賞が、このように価値を落とすことには落胆した」と述べた。イギリスのニュースサイトであるポリティックス・ホームの調査によると、イギリス人の62%、アメリカ人の52%がオバマは受賞に値しないと答えている。 オバマはこれらの批判にも配慮してか、受賞に対して「歴史を通じて、ノーベル平和賞は特定の業績を顕彰するためだけではなく、一連の目的に弾みを付ける手段として用いられることもあるということも承知している。故に私は、この賞を行動への呼び声として――21世紀の共通課題に対処せよと全国家に求める声として――お受けする所存である」との声明を出した。
※この「2009年ノーベル平和賞受賞」の解説は、「バラク・オバマ」の解説の一部です。
「2009年ノーベル平和賞受賞」を含む「バラク・オバマ」の記事については、「バラク・オバマ」の概要を参照ください。
- 2009年ノーベル平和賞受賞のページへのリンク