2000年代後半の金融危機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 21:12 UTC 版)
「効率的市場仮説」の記事における「2000年代後半の金融危機」の解説
2007~2008年の金融危機は、効率的市場仮説を新たな詮索と批判に晒すことになった。マーケットストラテジストのジェレミー・グランサム(英語版)は、仮説を信じることでフィナンシャルリーダーたちに「株式バブル崩壊の危険性を長期にわたっての低い見積もり」を持たせたと主張し、この金融危機は効率的市場仮説に責任があると断言した 。著名なジャーナリストのロジャー・ロウェンスタイン(英語版)は理論を激しく非難し、「現在の大いなる後退の良い面は、効率的市場仮説として知られる学術的なノストラムの心臓に杭を打てたことだ」と断言した。元連邦準備議長のポール・ボルカーは同意して「近年の金融危機の原因の中でも合理的期待と市場効率性への正当化されない確信は明らかに」責があるとし あるフィナンシャルアナリストは「2007~2009年までは、効率的経済仮説をありのままの真実として信じ込んだ狂信者でなければならなかった」と言及している。 証券監督者国際機構の2009年6月開催の年次会議では、効率的市場仮説が中心的な話題となった。フィナンシャルタイムズのチーフ経済コメンテーターのマーティン・ウルフ(英語版)は、実際の市場の活動を検査するのに使えない方法ということで効率的市場仮説を捨てた。PIMCO代表取締役の批判はそれほど急進的ではなく、仮説は失敗してはいないが、人の摂理を無視しているという点で「重大な欠点を抱えている」と述べた。 金融危機は、著名な判事でシカゴ大学の法学教授であり、法学と経済学の革新者であるリチャード・アレン・ポズナーを仮説から離れてある程度のケインズ経済学への信用に回帰させた。ポズナーは一部のシカゴ大学の一部の同僚たちを「分岐点で寝ている」と非難し、「金融業の規制改革のムーブメントは、レッセフェール資本主義の弾性、あるいは自己治癒力を誇張てあまりにもいきすぎている」と述べた。ファーマやほかの学者たちは、仮説は危機の間はよく保たれ、市場は後退の犠牲になったのであり、原因ではないと述べた。しかしファーマは「情報を持たない投資家が市場の道を違えた」ために株価が「ある程度不合理に」なったと述べた。これは内輪の情報を作って従来の開示方法の精度を下げ、市場参加者の評価と正しい値付けを困難にさせる新しい複雑な商品を開発することにより、証券会社が市場の効率性を減らすということができてしまったという批評家の示唆を認めたことになる。
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