2. 北部訓練場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 14:34 UTC 版)
「SACO最終報告」の記事における「2. 北部訓練場」の解説
北部訓練場 提供水域 部分返還 代替施設等 詳細は「北部訓練場」を参照 対象区域 沖縄県最大の米軍区域・施設である、北部訓練場の過半 (約3,987ヘクタール)を返還。 特定の貯水池(約159ヘクタール)についての共同使用を解除。 条件 北部訓練場から海への出入のための土地(約38ヘクタール)及び水域(約121ヘクタール)を新たに米軍へ提供(1997年度末までを目処)。 ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)を、返還される区域から北部訓練場の残余の部分に移設。 沿革 1996年12月2日:SACO最終報告で、共同使用解除の目処が2002年度末までとされる。 1998年12月17日:返還の条件とされていた、宇嘉川河口の土地(381,845m2)と水域(約121ヘクタール)を追加提供。 2002年6月:日本国政府が環境影響評価条例に準拠した環境影響評価の手続きを開始。 2007年10月31日:道路用地として、約9ヘクタールが返還。 2016年12月22日:SACO最終報告の対象区域が返還される。沖縄県内の米軍専用施設面積の約2割に相当し、沖縄の本土復帰後の返還としては最大規模となった。 2017年12月25日:土壌汚染調査や廃棄物処分などの支障除去措置を実施のうえで、日本国政府から地権者に対し跡地が引き渡される。 課題 高江ヘリパッド問題:旧ヘリパッド7個の代替施設として、V-22(オスプレイ)対応の新ヘリパッド6個が計画され、北部訓練場に隣接する東村高江の集落の周辺に配置されることとなった。新ヘリパッドの運用による高江住民の生活への影響が懸念されるとともに、活動家らによる抗議活動や私的検問なども行われた。 返還地の原状回復問題:跡地は返還後に日本国政府による支障除去措置が実施されたものの、地権者への引き渡し後も米軍由来と見られる廃棄物の検出が報告されている。 世界自然遺産登録問題:返還地に隣接していたやんばる国立公園は、奄美・琉球の一部として世界自然遺産登録の推薦区域とされていた。しかし、2008年に国際自然保護連合(IUCN)は「資産の分断等において、生態学的な持続可能性に重大な懸念がある」ことなどを理由に記載延期が適当とし、沖縄島の北部訓練場返還地を推薦地に統合する等の調整を必要に応じて行うことを勧告した。地元の東村及び国頭村は、国立公園の指定や世界自然遺産への登録による返還跡地の有効活用を目指すとして、北部訓練場の早期返還を要望し、返還後の2018年6月29日に返還地を含む約3,700ヘクタールがやんばる国立公園区域に編入された。国内法に基づく規制の及ばない訓練場が遺産推薦区域に隣り合う状態が続いていることへの懸念の声もあったものの、環境省の担当者は現地調査の感触を「IUCN側は隣接する返還地の取り扱いに関心が高かった。将来的な保護担保措置が具体的になったのは登録の後押しになる」とした。2021年、第44回世界遺産委員会拡大会合において、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界遺産一覧表への記載が決定。世界自然遺産登録の悲願は成就した。 #土地の返還TOPに戻る
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