1972年中華民国立法委員増額選挙
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1972年中華民国立法委員増額選挙(1972ねんちゅうかみんこくりっぽういいんぞうがくせんきょ、繁: 1972年中華民國立法委員選舉)は、1972年(民国61年)12月23日に行われた中華民国(台湾)の立法府である立法院を構成する立法委員を選出する選挙である。
中華民国政府が台湾に移転する前の、1948年に実施された第1回立法委員選挙の後、中国共産党政権(中華人民共和国)の誕生で大陸地区における立法委員の改選が事実上不可能となり、そのまま議員職に留まり続けている資深(古参)議員を除く、増額委員51名(台湾地域で改選される36名と総統により任命される華僑15名)が選出された。
国民大会代表第1次増額選挙も同日に行われた。
概要
前史
蔣介石率いる中華民国政府は、国共内戦敗北による1949年の台湾移転後も「中国大陸を含む領土全体から選出された代表者」という正当性を堅持するため、改選は凍結され万年国会が形成されていた。しかし、20年経過しても大陸奪還の目途は立たず、1948年の立法委員選挙で選出された立法委員は、高齢化による任務遂行の困難や辞職・死去による欠員が目立つようになっていた[1]。
こうした事態を受けて、中華民国政府は1969年3月27日に総統令により「動員戡乱時期における自由地区での中央公職人員増員選挙・補欠選挙法」を制定し[2]、同年12月には台湾省選挙区の欠員補充と「台湾省の人口増加」への対応を理由に立法委員増員選挙を実施した。
1972年の国民大会第1期第5回会議で『動員戡乱時期臨時条款』の改正が行われ、増額選挙の選挙方式が整備された。これ以降、立法委員選挙は憲法上の制約を受けずに中華民国自由地区で3年ごとに実施されることとなった[3]:90。
1972年6月29日、総統令により「動員戡乱時期における自由地区での中央公職人員増員選挙・補欠選挙法」が改正され、「動員戡乱時期における自由地区での中央民意代表増額選挙法」となった[4]。また、1972年7月27日には「動員戡乱時期における在外選挙による立法委員及び監察委員増額選挙法」[5]も制定された。これにより、「民主主義」「立憲主義」の体裁を強化するため、実効支配下にある台湾地区に限り、任期を定め改選される立法委員を選出する定期的な増額選挙を実施することが決定された[6]。
選挙区の区割りと議席配分

「動員戡乱時期における自由地区での中央民意代表増額選挙法」第2章第9条の規定により、各省・直轄市にまず5議席を割り当て、200万人から70万人上回るごとに1議席を加算するとされた。1967年に直轄市に昇格し台湾省から離脱していた台北市の人口は200万人以下であったため、台北市選挙区には5議席が割り当てられた。また、台北市を除く台湾省の人口は約1320万人であったため、台湾省選挙区には21議席が割り当てられた。
台湾省は日本統治時代の行政区分とほぼ同じ区分に分割され、台北市を除く旧台北州には定数3議席の第一選挙区、旧新竹州には定数3議席の第二選挙区、旧台中州には定数5議席の第三選挙区、旧台南州には定数5議席の第四選挙区、旧高雄州・旧澎湖庁には定数4議席の第五選挙区、旧花蓮港庁・旧台東庁には定数1議席の第六選挙区がそれぞれ設置された。福建省には定数1議席の福建省選挙区が設置された。また、職業団体に8議席、華僑に15議席が与えられ、原住民を有権者とする定数1議席の山胞選挙区も設置された[3]。
選出された51人は、1969年選挙で選出された任期無期限の立法委員とは異なり、3年の任期を務める。
選挙データ
投票日
改選数
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- 台北市選挙区:5名
- 山胞選挙区:1名
-
選挙制度
- 有権者:20歳以上の中華民国国籍保有者
- 有権者数:7,608,589人
-
- 区域:6,660,169人
- 原住民:114,479人
- 職業団体:833,941人
選挙結果
- 区域:67.05%
- 原住民:83.85%
- 職業団体:75.30%
党派 | 得票数 | 得票率 | 当選者 |
---|---|---|---|
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3,590,344 | 74.50% | 41 |
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129,115 | 2.68% | 1 |
無所属 | 1,099,564 | 22.82% | 9 |
合計 | 4,819,023 | 100.0% | 51 |
有権者数 | 7,608,589 | ||
投票者数 | 5,187,312 | ||
有効票数 | 4,819,023 | ||
無効票数 | 368,289 | ||
投票率 | 68.18% |
当選者
台北市 | 全市 | 李志鵬 | 康寧祥 | 蔡万財 | 周文璣 | 李東輝 |
---|---|---|---|---|---|---|
台湾省 | 1区 | 鄭水枝 | 邱永聡 | 張淑真 | ||
2区 | 呂学儀 | 邱仕豊 | 邱家湖 | |||
3区 | 張啓仲 | 陳幼石 | 劉松藩 | 洪宣治 | 黄順興 | |
4区 | 許世賢 | 辛文炳 | 蕭天讚 | 張文献 | 陳水亮 | |
5区 | 張瑞妍 | 洪慶麟 | 李長貴 | 黄銅樹 | ||
6区 | 許添枝 | |||||
福建省 | 全省 | 呉金賛 | ||||
山胞 | 華愛 | |||||
職業団体 | 農民 | 黄世英 | 蔡友土 | |||
漁民 | 黄沢青 | |||||
工人 | 謝深山 | 楊登洲 | ||||
工業 | 汪竹一 | |||||
商業 | 黄綿綿 | |||||
教育 | 劉芳遠 | |||||
僑選 | 1区 | 林以文 | ||||
2区 | 徐亨 | 黎晋偉 | 謝伯昌 | |||
3区 | 張亦錚 | 蔡廷碩 | 簡如茂 | 郭武林 | 阮楽化 | |
4区 | 梅友謀 | 司徒政 | 陳錦濤 | ウトク・ ドルジェ・ ユドン |
||
5区 | 孫耀光 | 劉彰徳 |
脚注
- ^ 松本充豊 (12 2019). “総統選挙と台湾(2) -蔣経国総統の選出から李登輝総統の選出まで-”. 交流 945: 36-47 .
- ^ “總統令 動員戡亂時期自由地區中央公職人員增選補選辦法”. 總統府公報 (1969年3月27日). 2025年5月20日閲覧。
- ^ a b 陳彥欣 (2006年). “選區劃分與代表角色之探討”. 2020年9月12日閲覧。
- ^ “制定動員戡亂時期自由地區增加中央民意代表名額選舉辦法”. 中華民國總統府 (中華民國六十一年六月二十九日 エラー: 日付が正しく記入されていません。(説明)). 2020年9月12日閲覧。
- ^ “制定動員戡亂時期僑選增額立法委員及監察委員遴選辦法”. 中華民國總統府 (中華民國六十一年七月二十七日 エラー: 日付が正しく記入されていません。(説明)). 2020年9月12日閲覧。
- ^ “公報查詢 制定動員戡亂時期自由地區增加中央民意代表名額選舉辦法”. 總統府 (1972年6月30日). 2025年5月20日閲覧。
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