1926・1927年製造車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/04 07:05 UTC 版)
「ロンドン地下鉄スタンダード形電車」の記事における「1926・1927年製造車」の解説
スタンダード形電車の成功により、手動ドアで残っていた大量のゲート形電車に自動ドアを搭載する計画は白紙に戻され、ゲート形をスタンダード形に置き換えていくこととなった。1926年に112両が、1927年に170両がメトロポリタン客貨車金融会社(Metropolitan Carriage, Wagon and Finance Company, MCWF)に発注され、全車がGEC製の機器を搭載した。この増備により7両編成に増結されるとともに列車の増発が行われた。 1926年製造車では運転席と反対側(正面向かって右側)の正面窓の天地寸法が低くなり、窓下部に路線名、行先を示す板を差し込むスペースが設けられた。機器室の進行方向向かって右側の空気取り入れ用のグリルが塞がれるなどの変更が行われている。 1927年にはさらに136両がMCWFに発注されたが、機器はBTH製とされた。BTH製の機器はGEC製より信頼性で勝ることがわかり、スタンダード形電車のGEC製機器は徐々にBTH製のものに置き換えられた。このあと35年にわたり、BTHはロンドン地下鉄用機器の主要製造者となる。メトロポリタン=ヴィッカース製の車両は独自の主電動機を使用したが、他のスタンダード形電車はGEC製主電動機を使用した。三社の装置は互換性があり、これが「スタンダード形」の名の由来とも言われている。 1927年製の車両では車輪径が36インチ (910 mm)から40インチ (1,000 mm)に変更され、台車形式がY形からZ形に、主電動機形式がWT54からWT54Aに変更されている。歯車比を変更することで、1926年以前のスタンダード形電車と共通に運用できるようになっていた。ラウダフォンと呼ばれる通話装置が運転士と車両の連絡のため試用され、好調だったことから以前の車両に遡って設置されている。 この間に、セントラル線で運用されていたゲート形電車に空気式自動ドアを装備する改造工事がフェルタムで行われていたが、途中でゲート形電車をベーカールー線及びピカデリー線に転用するよう計画が変更された。この転用中、スタンダード形電車を製造する費用はゲート形電車に自動ドアを装備する改造費用をわずかに上回る程度であるとの試算が出され、ゲート形の転用が中止されるともに182両の新車が発注された。この182両は1927年フェルタム形電車とも呼ばれ、製造銘板には1928年製と表記されていたが、実際の納車は1929年、1930年にずれ込んだ。このときの車両には軽量設計が採用され、比較的短期間で座席蹴上と枕梁の破損に悩まされることになった。この182両はMCWF製の車体にBTH製の機器を備え、この182両の投入でピカデリー線のゲート形は1929年6月に、ベーカールー線のゲート形は1930年1月1日に退役した。
※この「1926・1927年製造車」の解説は、「ロンドン地下鉄スタンダード形電車」の解説の一部です。
「1926・1927年製造車」を含む「ロンドン地下鉄スタンダード形電車」の記事については、「ロンドン地下鉄スタンダード形電車」の概要を参照ください。
- 1926・1927年製造車のページへのリンク