M・ウィットマーク&サンズ・デモ
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「ザ・ウィットマーク・デモ」の記事における「M・ウィットマーク&サンズ・デモ」の解説
1962年春、フォーク・ミュージックのマネージャーであったアルバート・グロスマン(Albert Grossman)が本格的にディランに興味を示し始めた。1959年の最初のニューポート・フォーク・フェスティバルを組織した1人であり数名のフォークシンガーを抱えるマネージャーでもあったグロスマンは、当時自ら選んだ3人のミュージシャンで構成したピーター・ポール&マリーという新しいグループをスタートさせたばかりだった。グロスマンはそれまでにもディランをそばから見ていて、コロムビアとの契約につながる出来事にも周辺で関わっていた。ワーナー・ブラザースとピーター・ポール&マリーの契約を交渉する中、ワーナー所有の業界随一の音楽出版社であったMPHC(Music Publisher's Holding Company)社とグロスマンはある独自の協定を結ぶ。この春に取り決められたこの取引は、グロスマンの紹介によりMPHCと出版契約を交わしたアーティストの楽曲使用料の半分を彼が受け取るものだった。グロスマン期待のその最初のアーティストが、ディランであった。 グロスマンは大手の出版社M・ウィットマーク&サンズ社と契約するようディランに勧めた。ウィットマークはMPHC8社の子会社のうちの1社だった。ディランはウィットマークの重役アーチー・モーガルの前で演奏したのだが、後になってすでにリーズ/ダッチェスとの契約下にある事情を伝えた。契約を買い戻すためにディランは1,000ドルを与えられリーズと交渉。リーズも金を受け取り、契約は解消された。1962年7月、ディランはウィットマークとの契約にサインをし、後に大きくブレイクすることになる「風に吹かれて」のデモを録音した。 1962年7月録音 風に吹かれて - Blowin' in the Wind 1962年11月録音 ロング・アゴー、ファー・アウェイ - Long Ago, Far Away 1962年12月中旬録音 はげしい雨が降る - A Hard Rain's a-Gonna Fall 明日は遠く - Tomorrow Is a Long Time ザ・デス・オブ・エメット・ティル - The Death of Emmett Till レット・ミー・ダイ・イン・マイ・フットステップス - Let Me Die in My Footsteps ホリス・ブラウンのバラッド - Ballad of Hollis Brown なさけないことはやめてくれ - Quit Your Low Down Ways ベイビー、アイム・イン・ザ・ムード・フォー・ユー - Baby, I'm in the Mood for You 1963年冬録音 バウンド・トゥ・ルーズ・バウンド・トゥ・ウィン - Bound to Lose, Bound to Win オール・オーヴァー・ユー - All Over You アイド・ヘイト・トゥ・ビー・ユー・オン・ザット・デッドフル・デイ - I'd Hate to Be You on That Dreadful Day 1963年冬録音 ロング・タイム・ゴーン - Long Time Gone ジョン・バーチ・パラノイド・ブルース - Talkin' John Birch Paranoid Blues 1963年3月録音 戦争の親玉 - Masters of War オックスフォード・タウン - Oxford Town フェアウェル - Farewell くよくよするなよ - Don't Think Twice, It's All Right その道をくだって - Walkin' Down the Line 1963年4月録音 アイ・シャル・ビー・フリー - I Shall Be Free ボブ・ディランのブルース - Bob Dylan's Blues ボブ・ディランの夢 - Bob Dylan's Dream スペイン革のブーツ - Boots of Spanish Leather 1963年5月録音 北国の少女 - Girl from the North Country 七つののろい - Seven Curses ヒーロー・ブルース - Hero Blues 1963年8月録音 ワッチャ・ゴナ・ドゥ? - Whatcha Gonna Do? ジプシー・ルー - Gypsy Lou 1963年8月録音 エイント・ゴナ・グリーヴ - Ain't Gonna Grieve ジョン・ブラウン - John Brown オンリー・ア・ホーボー - Only a Hobo 1963年9月中旬録音 船が入ってくるとき - When the Ship Comes In 時代は変る - The Times They Are a-Changin' 1963年12月録音 パス・オブ・ビクトリー - Paths of Victory 1964年1月録音 ゲス・アイム・ドゥーイング・ファイン - Guess I'm Doing Fine 連れてってよ - Baby, Let Me Follow You Down 1964年6月中下旬録音 このころに録音された3曲のレコーディングがウィットマークに残されているが、このデモは別の場所で録音されたもの。 ママ、ユー・ビーン・オン・マイ・マインド - Mama, You Been on My Mind ミスター・タンブリン・マン - Mr. Tambourine Man アイル・キープ・イット・ウィズ・マイン - I'll Keep It with Mine これらのデモの時期はアルバム『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』(1963年)、『時代は変る』(1964年)、『アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン』(1964年)が録音された時期にあたる。アルバムにはレコーディング年月日を特定した情報や未発表曲は記載されていないため、諸説あり。
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