首都移転の提案
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 06:02 UTC 版)
「インドネシアの首都」の記事における「首都移転の提案」の解説
首都をジャカルタから移転する提案は、初代のスカルノ大統領の時代から議論されてきた。過剰な人口、公共交通機関などの都市インフラの不足、交通渋滞、森林を伐採しての都市の拡大、スラム街の拡大、排水システムの不備などにより、ジャカルタの環境は悪化している。地下水の過剰採取からの枯渇に伴い、地盤沈下が進んでおり、ジャカルタ北部には海面下となる土地がある。2007年と2013年には大規模な洪水があった。2010年、新しい首都を作るという議論が継続して行われた。スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領は、ジャカルタの環境問題や人口過密を理由に、首都移転を支持した。 首都移転の方法として、2つの方式が提案されている。第一の案は、1960年にブラジルの首都がリオデジャネイロからブラジリアに移転したときのように、全く新しい計画都市を作って、そこに首都を完全に移転するというものである。第二の案は、マレーシアが行政の中心をプトラジャヤに移したように、ジャカルタを公式の首都として維持しつつ、行政機能のみを別の場所に移転するというものである。 第一の案では、以下のような場所が提案されている。 パランカラヤ(中部カリマンタン州) - 1957年に中央カリマンタン州の州都として整備されたが、初代大統領スカルノは、この都市を将来の首都として開発する計画を立てていた。パランカラヤは、開発のための土地がジャカルタよりも遥かに広大であり、カリマンタン島は地震や火山の危険性の高いジャワ島よりも安全である。 バンジャルマシン(南カリマンタン州) - パランカラヤよりも国土の中央に近く、ジャワ海に容易にアクセスでき、インフラも整備されている。 コタ・ムルデカ(中央カリマンタン州) - 西コタワリンギン県(英語版)パンカランブーン(英語版)の北に位置する計画都市。パランカラヤよりもジャワ海に近く、海へのアクセスが良い。 ポンティアナック(西カリマンタン州) - 赤道直下で、カリマタ海峡と南シナ海に面しており、シンガポール、クアラルンプール、バンダルスリブガワンといった他のASEAN諸国の首都と同じ地域にある。 パレンバン(南スマトラ州) - かつてのシュリーヴィジャヤ王国の首都である。また、国際的に重要な海路であるマラッカ海峡の近くに位置し、シンガポールやクアラルンプールにも近い。 第二の案における行政機能の移転先として、ジャカルタ近郊の以下の場所が提案されている。 ジョンゴル(西ジャワ州) - ジャカルタの南東約40キロメートルに位置し、スハルトの新秩序体制以降、首都移転先として提案された。 カラワン(西ジャワ州) - ジャカルタの東約60キロメートルに位置する。 ケルタジャティ(西ジャワ州マジャレンカ県(英語版)) - ジャカルタの東約200キロメートル、チルボンの西約40キロメートルに位置する計画都市。西ジャワ空港、ジャワ鉄道、ジャワ島縦断有料道路(英語版)に接続される。西ジャワ空港は2018年に開港したが、利用率が低く、2019年の大統領選挙で「白い巨象」と揶揄された。 マジャ(バンテン州レバック県(英語版))- ジャカルタの西約60キロメートルに位置する。開発予定地のほとんどは、インドネシア銀行再建機構(英語版)によって取得済みである。 ジャカルタ湾(英語版)(ジャカルタ首都特別州北ジャカルタ市(英語版)) - 2013年、当時ジャカルタ知事だったジョコ・ウィドドは、ジャカルタ湾に埋立てで造成した島に国家の行政機能を移転することを提案した。
※この「首都移転の提案」の解説は、「インドネシアの首都」の解説の一部です。
「首都移転の提案」を含む「インドネシアの首都」の記事については、「インドネシアの首都」の概要を参照ください。
- 首都移転の提案のページへのリンク