飯島耕一とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 飯島耕一の意味・解説 

いいじま‐こういち〔いひじまカウイチ〕【飯島耕一】


飯島耕一

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/11 00:10 UTC 版)

飯島 耕一(いいじま こういち、1930年2月25日 - 2013年10月14日)は、日本詩人小説家翻訳家日本芸術院会員、元明治大学法学部教授。長男は建築評論家の飯島洋一

略歴

岡山市生まれ。旧制第六高等学校時代、シュペルヴィエルに傾倒。1946年、初めて買った詩集は村上菊一郎訳の『惡の華』だった。翌1947年12月に初めて日本の詩人の書いた詩集、朔太郎の『青猫』を買った。1948年10月、創元選書の大岡昇平編『中原中也詩集』を買ったが、ここにはソネットや、四行四連の「定型詩」が多かった。

1949年に東京大学文学部仏文学科入学、1952年同大学を卒業[1]。在学中、栗田勇らと『カイエ』を創刊する一方、1950 - 51年と鈴木信太郎の講義に出て、ヴィヨンの『大遺言詩』、マラルメのソネット、ヴァレリーの『若きパルク』の演習を受ける。1953年、第一詩集『他人の空』を刊行する[1]。1955年、大岡信らとシュルレアリスム研究会を作り[1]、極端な反・定型詩であるトリスタン・ツァラフーゴ・バルのダダの詩を知った。詩誌『鰐』、『櫂』などに参加。

1956年國學院大學講師、1969年同大学教授、1973年から2000年明治大学法学部フランス語教授を務めた。この間、翻訳、評論、小説も手がけ、1980年頃からシュールレアリスムを離れ、近世の俳諧、江戸文芸などに関心を持ち始めた。

1974年、『ゴヤのファースト・ネームは』で高見順賞[1]、1978年、『飯島耕一詩集』で藤村記念歴程賞、1983年、『夜を夢想する小太陽の独言』で現代詩人賞[1]、1996年、小説『暗殺百美人』でBunkamuraドゥマゴ文学賞(選考委員・中村真一郎[1]、2005年、『アメリカ』で読売文学賞詩歌文学館賞を受賞[1]。2008年芸術院会員。

2013年10月14日、吸収不良症候群のため死去[2]。83歳没。

人物

  • 安東次男の詩集『からんどりえ』(1960年)をめぐって、篠田一士と小論争をした。振り返って、金子兜太との往復書簡で「篠田氏が季感などを重視したのに対して、当時のわたしは言わば反俳句、反日本の風土性、反季感派でした。それが萩原朔太郎論を書きはじめた、いまから十五、六年ほど前から、短歌、俳句にも少しずつ近づいたのでした」と書いている。[3]
  • 田村隆一とふたりで北軽井沢の牧場に行ったことがある。赤牛に追いかけられて、われさきにと一目散に逃げ出した。タムラさんの足があんなに早いとは知らなかったナ、と後日うらめしげに述懐している[4]

著書

  • 『他人の空』(書肆ユリイカ) 1953
  • 『わが母音』(ユリイカ) 1955
  • 『悪魔祓いの芸術論 日本の詩・フランスの詩』(弘文堂) 1959
  • 『飯島耕一詩集』(ユリイカ、今日の詩人双書) 1960
  • 『シュルレアリスム詩論』(思潮社) 1961
  • 『日本のシュールレアリスム』(思潮社) 1963
  • アポリネール』(美術出版社) 1966
  • 『詩集 夜あけ一時間前の五つの詩・他』(昭森社) 1967
  • 『日は過ぎ去って』(思潮社) 1967
  • 『飯島耕一詩集』(思潮社、現代詩文庫) 1968
  • 『詩について』(思潮社) 1968
  • 『シュルレアリスムの彼方へ 昭和五年生れの一詩人の胸のうち』(イザラ書房) 1970
  • 『私有制にかんするエスキス 付・ランボー論』(思潮社) 1970
  • 『干拓地の思念』(青地社) 1971
  • 『空想と探索』(青地社) 1972
  • 『ゴヤのファースト・ネームは』(青土社) 1974
  • 萩原朔太郎』(角川書店) 1975
  • ランボー以後』(小沢書店) 1975
  • 『日本雑居録』(北洋社) 1976
  • 『バルセロナ 飯島耕一詩集』(思潮社) 1976
  • ウイリアム・ブレイクを憶い出す詩』(書肆山田) 1976
  • 『新選 飯島耕一詩集』(思潮社、現代詩文庫) 1977
  • 『海への時間 小説集』(読売新聞社) 1977
  • 『塔と蒼空』(昭森社) 1977
  • 『Next 詩集』(河出書房) 1977
  • 『飯島耕一詩集』1 - 2 (小沢書店) 1978
  • 『島の幻をめぐって』(思潮社) 1978
  • 北原白秋ノート』(小沢書店) 1978
  • 『別れた友』(中央公論社) 1978
  • 『田園に異神あり 西脇順三郎の詩』(集英社) 1979
  • 『宮古 飯島耕一詩集』(青土社) 1979
  • 『詩人の笑い』(角川書店) 1980
  • 『上野をさまよって奥羽を透視する 飯島耕一詩集』(集英社) 1980
  • 『シュルレアリスムよ、さらば』(小沢書店) 1980
  • 『飯島耕一詩集 続』(思潮社、現代詩文庫) 1981
  • 『港町 魂の皮膚の破れるところ』(白水社) 1981
  • 『夜を夢想する小太陽の独言』(思潮社) 1982
  • 『「青猫」「荒地」超現実 詩人たちの円環』(青土社) 1982
  • 永井荷風論』(中央公論社) 1982
  • 『冬の幻』(文藝春秋) 1982
  • 『女と男のいる映画』(福武書店) 1982
  • 『現代の詩人10 飯島耕一』(中央公論社) 1983
  • 『ラテン・アメリカの小太陽 飯島耕一詩集』(青土社) 1984
  • 『夢の過客』(福武書店) 1985
  • 『鳩の薄闇 日本の詩』(オクタビオ・パス、写真、みすず書房) 1986
  • 『四旬節なきカルナヴァル』(書肆山田) 1987
  • 『俳句の国徘徊記』(書肆山田) 1988
  • 『虹の喜劇』(思潮社) 1988
  • 『虹橋』(福武書店) 1989
  • 『定型論争』(風媒社) 1991
  • 『シュルレアリスムという伝説』(みすず書房) 1992
  • 『現代詩が若かったころ シュルレアリスムの詩人たち』(みすず書房) 1994
  • 『さえずりきこう 飯島耕一定型詩集』(角川書店) 1994
  • バルザックを読む漱石』(青土社) 1996
  • 『暗殺百美人』(学習研究社) 1996
  • 『日本のベル・エポック』(立風書房) 1997
  • 『猫と桃 飯島耕一詩集』(不識書院) 1997
  • 『『虚栗』の時代 芭蕉其角西鶴と』(みすず書房) 1998
  • 『六波羅カプリチョス』(書肆山田) 1999
  • 飯島耕一・詩と散文」全5巻(みすず書房) 2000 - 2001
    1. 『詩・評伝アポリネール・ダダ・シュルレアリスム・映画』
    2. 『ウイリアム・ブレイクを憶い出す詩・田園に異神あり・瀧口修造へのオマージュ』
    3. 『ゴヤのファースト・ネームは(詩)・バルザックを読む』
    4. 『宮古・さえずりきこう(詩)・三つの短篇・永井荷風論・「詩人の小説」その他のエッセイ』
    5. 『カンシャク玉と雷鳴(詩)・冬の幻・暗殺百美人』
  • 『浦伝い詩型を旅する』(思潮社) 2001
  • 『江戸俳諧にしひがし』(加藤郁乎共著、みすず書房) 2002
  • 『白秋と茂吉』(みすず書房) 2003
  • 『アメリカ』(思潮社) 2004
  • 『詩の両岸をそぞろ歩きする 江戸と、フランスから』(清流出版) 2004
  • 『漱石の〈明〉、漱石の〈暗〉』(みすず書房) 2005
  • 『白紵歌』(ミッドナイト・プレス) 2005
  • 『ヨコハマヨコスカ幕末パリ』(春風社) 2005

共著

翻訳

参考

  • 「わが「定型詩」の弁」(飯島耕一、現代詩手帖」1990年4月号)

脚注

  1. ^ a b c d e f g 飯島耕一”. みすず書房. 2022年5月5日閲覧。
  2. ^ 飯島耕一氏が死去 詩人 日本経済新聞 2013年10月23日
  3. ^ 読売新聞. (1988年11月21日~11月29日). 
  4. ^ 田村隆一『詩人の旅(隠岐)』(増補新)中央公論新社〈中公文庫〉、2019年。ASIN B087QB4V6B 


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「飯島耕一」の関連用語

飯島耕一のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



飯島耕一のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの飯島耕一 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS