音声学と音韻論の違い
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島岡・佐藤(1987)によれば、音声学は、音声の正確な観察とその記述、および音声が生じる過程や機構の解明をねらいとしている。一方、音韻論は、言語体系に占める音声の位置づけ、およびその役割や機能に関する事柄を解明することをねらいとしている。 つまり、音声学は「音声がどうやって作られ、どのように伝わり、どのように理解することが出来るか」を研究する学問、音韻論は「音声がどのように並べられ、どのように入れ替わり、どのように意味を持った上で区別するか」を研究する学問ということになる。 音声学と音韻論の分離に貢献したのが、プラハ学派(プラーグ学派)である。この学派は、ソシュールのラングとパロールの区別に影響を受け、音声におけるラングの研究として、音韻論の確立に努めた。プラハ学派によれば、音声におけるパロールを研究するのが音声学であり、ラングを研究するのが音韻論ということになる。
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音声学と音韻論の違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 04:33 UTC 版)
島岡・佐藤(1987)によれば、音声学は、音声の正確な観察とその記述、および音声が生じる過程や機構の解明をねらいとしている。一方、音韻論は、言語体系に占める音声の位置づけ、およびその役割や機能に関する事柄を解明することをねらいとしている。 音声学と音韻論の一般的な定義は以下のとおりである。 音声学普遍的で、世界中に通じる一つの音声学がある。「音声がどうやって作られ、どのように伝わり、どのように理解することが出来るか」を科学的、客観的に研究する学問。音声学的に捉えた音の最小単位を「単音」という。 音韻論言語固有の物で、それぞれの言語ごとの音韻論がある。ある言語で、「音声がどのように並べられ、どのように入れ替わり、どのように意味を持った上で区別するか」、音声学的に捉えられた音の異なりを「意味の区別に役立つか否か」という観点から研究し、音声の位置づけ、およびその役割や機能に関する事柄を解明することをねらいとする。 また、音韻論において、音声学的な違いはどうであれ、心理的な実在として、母語話者にとって同じと感じられ、また意味を区別する働きをする音声上の最小単位となる音を「音素」という。また、音声学的に異なるとされる、物理的な音を「異音」という。 例えば日本語では、「さんばい(三倍)」「さんだい(三台)」「さんかい(三回)」の3つの語において、日本語話者はこれらの「ん」を「同じ音」として認識している。しかし、実際に発音してみると、さんばい[sambai]、さんだい[sandai]、さんかい[saŋkai]となり、「ん」の音声が[m][n][ŋ]のように異なっていることが分かる。このとき、日本語において[m][n][ŋ]は同じ音素/N/の異音である、といえる。 そして、音声学と音韻論の分離に貢献したのが、プラハ学派(プラーグ学派)である。この学派は、ソシュールのラングとパロールの区別に影響を受け、音声におけるラングの研究として、音韻論の確立に努めた。プラハ学派によれば、音声におけるパロールを研究するのが音声学であり、ラングを研究するのが音韻論ということになる。 但し、音韻と音素の違いについては、研究者によって意見が異なる。音韻と音素は同じであるとする立場や、音韻の最小単位が音素であるとする立場、音韻を論じるために必要な単位の一つに音素があるとする立場などがある。
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