雇い入れ時の教育
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 10:46 UTC 版)
事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、遅滞なく、次の事項のうち当該労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項について、教育を行なわなければならない(第59条1項、規則第35条1項)。派遣労働者については、派遣元が実施しなければならない。1947年(昭和22年)施行の労働基準法第50条に規定され、1972年(昭和47年)の労働安全衛生法施行時に同法に移された。 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること。 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること。 作業手順に関すること。 作業開始時の点検に関すること。 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。 整理、整頓及び清潔の保持に関すること。 事故時等における応急措置及び退避に関すること。 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項 施行令第2条3号に掲げる業種(総括安全衛生管理者を選任すべき事業場のうち「その他の業種」とされている業種)の事業場の労働者については、1.~4.の事項についての教育を省略することができる(規則第35条1項但書)。もっともこの場合であっても、8.によって「必要な事項」の教育は行わなければならないため、必要事項が教育対象から漏れることはない。また8.の規定は第3条1項(事業者の責務)や第28条の2(事業者の行うべき調査等)にも通ずる包括的な規定であり、そういう意味ではこの安全衛生教育の義務は、事業者が負う労働災害防止義務の中でも最も広範囲なもの一つである。 事業者は、上記に掲げる事項の全部又は一部に関し十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該事項についての教育を省略することができる(規則第35条2項)。 雇入れ時等教育の実施体制が十分でない中小企業等における当該教育は、系列構外下請に属する事業場及び構内下請事業場については親企業又は元方事業者を中心にその実施を促進するものとし、実施に当たっては、RST講座修了のトレーナー等の活用を図らせること。工業団地、事業協同組合等の構成員で、当該教育を自ら実施することが困難であるものについては、集団所属の教育を担当する者(中小企業安全衛生指導員)を活用し共同して当該教育の実施を図らせること。また、必要に応じ当該指導員に対して実務向上教育を行うこととしている(「安全衛生教育の推進に当たって留意すべき事項について」昭和59年3月26日基発148号)。
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