鉛直対流とは? わかりやすく解説

鉛直対流

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 09:00 UTC 版)

対流」の記事における「鉛直対流」の解説

上層ほど密度大きな流体静力学的不安定となり、流体運動生ず対流を鉛直対流と呼ぶ。温度による流体密度変化原因となる熱対流が最も一般的な例である。 熱対流体系的な研究は、1900年フランスのアンリ・ベナール(フランス語版)による実験から始まったパラフィン鯨油などの粘性の高い流体層の下面一様に加熱すると、加熱され流体浮力により上昇するため、流体内部に半定常的細胞状の模様対流セル)が形成されることがある細胞中心付近では上昇流境界付近では下降流になっている。これをベナール・セルと呼ぶ。1916年レーリー卿は、その理論的な解析行ったそのことから細胞状のパターン生ず熱対流レーリー=ベナール型対流と呼ぶ。 ブジネスク近似熱膨張による密度変化比べて膨張圧縮による密度変化無視できる流体)が成り立つ流体におけるレーリー=ベナール型対流は、実際流体厚さには直接関係無くレーリー数 R a {\displaystyle Ra} とプラントル数 P r {\displaystyle Pr} と呼ばれる無次元物理量によってその形状が決まる。対流発生する最小レーリー数臨界レーリー数呼び、その値は(流体の上下とも固定境界の時は)約1,708である。それを超えると順に2次元円筒形対流セル3次元規則性対流セルへと対流発達するレーリー数が非常に大きくなると(流体上下温度差大きくなるなど)乱流遷移し、この時定常的セル生じず空間スケールがより小さな不規則な流れとなる。またレーリー数大き場合には、流体流れにより鉛直方向への熱の輸送量大きくなる地表付近大気などの密度成層下層ほど密度高くなる状態)、あるいは回転系における流体などでは、対流程度についてそれぞれの系に合わせた別の定義がされる雲の形成など大気中の現象では、水蒸気凝結による潜熱影響現れる惑星など中心に向けて重力場を持つ回転球体における流体では、回転軸周囲に、平行に円筒系のセルが並ぶような対流形状を取ることが知られている。 地球内部マントルにおける対流により、地球表面大規模な変動テクトニクス)が引き起こされるプルームテクトニクス理論提唱されている。この場合プルームとは、対流セルによって生ず上昇流下降流のことを意味する海洋内部においても密度によって循環生じている(熱塩循環)。ただしこの場合塩分濃度影響大きいことから、対流には含まないことが多い。

※この「鉛直対流」の解説は、「対流」の解説の一部です。
「鉛直対流」を含む「対流」の記事については、「対流」の概要を参照ください。

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