重ね着
『大仏供養』(能) 悪七兵衛景清は、頼朝が奈良の大仏供養を行なうと知り、白張浄衣の神主姿に身をやつしてしのび入るが、浄衣の下に着た鎧の金物が光るのを、頼朝の重臣に見咎められる。
『日本書紀』巻13允恭天皇5年7月 殺人を犯した玉田宿禰が、允恭天皇のもとに召喚される。玉田宿禰は、衣の下にひそかに鎧を着て参上する。衣の中から鎧の端が出ているのを、天皇はみとめる。
『平家物語』巻2「教訓状」 武士を召集し法住寺の御所へ押し寄せようとする平清盛のところへ、嫡子重盛が諌めにかけつける。清盛はあわてて鎧の上に法衣を着、胸板の金具が見えるのをひき隠しつつ、対面する。
『一谷嫩軍記』3段目「熊谷陣屋」 熊谷直実は、敵将平敦盛を救うために、16歳の我が子小次郎を犠牲にした。直実はこの世の無常を深く観じ、戦の陣中にありながら、源義経に暇(いとま)を請う。義経の許しを得て直実が鎧を脱ぐと、下にはすでに白無地の僧衣を着ていた。直実は出家して名を「蓮生」と改め、小次郎の菩提を弔った。
『仮名手本忠臣蔵』4段目「判官切腹」 塩冶判官は殿中で刀を抜き、高師直に斬りつけたため、自邸での謹慎を命じられる。そこへ、石堂・薬師寺の両名が、「切腹申しつくる」との上意を伝えに訪れる。塩冶判官は黒の長羽織姿で応対し、薬師寺が「不作法だ」となじる。塩冶判官は笑って羽織を脱ぎ捨てる。下には、かねて覚悟の白の死装束を着けていた。
『平家物語』巻3「医師問答」 維盛以下の公達が、浄衣の下に薄色の衣を着て岩田河の水に戯れた時、ぬれた浄衣に薄色がうつり薄墨の喪服のごとく見えた。これは、維盛の父重盛の死を暗示するものであった〔*延慶本『平家物語』巻3-21「小松殿熊野詣事」では、浄衣の色が重服にかわって河浪に映った、と記す〕。
『鷲は舞いおりた』(スタージェス) ドイツの落下傘部隊16人がポーランド兵に変装して、イギリスの某村に降下する。その地で静養中のチャーチル首相を、ベルリンへ誘拐する計画であった。彼らはスパイではないので、ポーランドの軍服の下にドイツの軍服を着込む。戦闘になったら、ドイツ兵として堂々と戦うつもりであった。しかし事故のため1人が死に、ドイツの軍服が村人たちに見られてしまった。
『夕陽のガンマン(続)』(レオーネ) 南北戦争時代。ならず者のトゥコとブロンディが南軍の灰色の軍服を手に入れ、墓地に埋められた20万ドルを得ようと、荒野を行く。灰色の軍服を着た騎兵の一隊がやって来るので、トゥコは「南軍万歳」と叫ぶ。ところが灰色に見えたのは、軍服に積もった土埃で、それを払いのけると、北軍の青色の軍服があらわれた。トゥコとブロンディは、その場で北軍の捕虜になった。
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