那賀川用水

全国疏水名鑑

那賀川用水

最上流の頭首工「大西堰」 この疏水の関連情報 水土里の路ウォーキング （疎水百選認定記念第３回田園ウォークin那賀川平野）		疏水の概要
		■疏水の所在 徳島県阿南市を中心とする周辺地域　4,000ha ■所在地域の概要 流域内に日降雨量日本記録観測地点を持つなど、豪雨で知られる徳島県の南部を流れる那賀川。その那賀川からの恵みを受け、全国有数の早期米産地として発展を遂げた那賀川平野。農業以外でも、日亜化学や王子製紙など、那賀川の水を利用した工業も大いに発展している地域である。 ■疏水の概要・特徴 那賀川下流域は「○○島」という地名が多いことから分かるように、室町時代までは猛威をふるう那賀川になされるがまま、川が扇状地を縦横に流れ、洪水のたびに浸食・堆積を繰り返しており、自然水にてわずかの農作業が行われていただけであった。 しかし、江戸時代に入ってから阿波徳島藩の意向により、吉野川流域では「藍」を、那賀川流域では、「米」を作って藩の基礎を固めていくこととなった。先人の筆舌に尽くしがたい労苦の結果、那賀川には多くの堤防や堰、水路が築かれていき、明治前半までには、乙堰、大井手堰、竹原堰、下広瀬堰、上広瀬堰、一の堰、大西堰等の堰と、地区内を結ぶ長大かつ緻密な水路等が完成した。これにより、地域の田は大いに潤い、一大穀倉地帯が形成されていった。 昭和になり、旧来の堰では洪水のたびに大修復を繰り返さなければならず、大変な労力がかかっていたことから、抜本的な改修の要望があがり、南岸側では県営事業、北岸側では国営事業で、恒久的な堰と水路を造ることとなった。戦中戦後の混乱の中、地域一丸となって事業に取り組み、昭和３０年頃にはそれぞれ３つずつの堰を統合した南岸堰、北岸堰が完成し、それに続く水路も整備された。これにより、洪水による堰の破壊を心配せずに安定的な農業ができるようになり、地域人口も増加し、工業も大いに発展した。 しかし、これらの堰や水路も築造から約５０年が経過し機能低下が進んでいる。これを抜本的に改善するため、現在、かつて水争いを繰り返した北岸と南岸、加茂谷が一体となって、３堰を１つに統合した堰と水路を造る事業に取り組んでいる。この事業が完成した暁には、農業の発展はもちろんのこと、渇水を繰り返す那賀川において効率的な水使いができるため、工業等の発展にも寄与するものとして大きな期待が寄せられている。
		くわしい情報 那賀川土地改良区 http://www8.ocn.ne.jp/~nakakai/