遊泳速度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 22:18 UTC 版)
「悠 (人工鰭のウミガメ)」の記事における「遊泳速度」の解説
第26モデルが試された2012年11月4日、東京大学海洋研究所チームがその日の会合で、データロガーの解析結果を報告し、「ジャケット型の人工ヒレは付けても全然遊泳速度が上がっていなかった」とのべ、プロジェクトチームはショックを受けた。「ジャケットによって、ヒレのひねり運動を阻害しているのでは?」あるいは、「ジャケットの素材による抵抗や浮力が問題では?」などの原因が指摘された。また、新たな議論として、「これまで遊泳速度を向上させることを重要視してきたが、泳ぎの安定性が最も重要ではないか」という意見も出された。 ボディジャケットを着ることはウミガメの泳ぎにどんな影響を与えるのかを調べるために、同12月9日、悠と同じウミガメである「照雄」という対照個体にジャケット型の人工ヒレを装着させて泳がせ、その遊泳データを取る実験が行われた。一見すると、照雄はジャケットをつけていない時のほうが俊敏にすばやく泳いでいるように見えた。 2013年も引き続き、人工ヒレのヒレ部分の素材や形状に改良を加えて、よりよい人工ヒレを目指すことを目標に、2月11日、第27モデルの装着試験が行われた。第27モデルは、水を捉えやすいようなヒレを意識して、その素材をヒトがダイビングに用いるフィン(足ひれ)を用いた。しかし、第27モデルは装着から5時間後に人工ヒレが外れてしまい、翌朝に再装着したものの、その2日後の2月14日の夕方にはジャケットを固定している面ファスナーの外れが確認され、さらに翌2月15日に再々装着するが、これも放流直後にすぐ外れてしまった。しかしながら、第27モデルはこれまでになく悠に水を捉えた泳ぎ、すいすいとした泳ぎを与えたように見え、「今までは人工ヒレをつけてすぐダッシュで泳ぐことはなかった」との声もあり、メンバーは手ごたえを感じた。 第27モデルは左右のヒレのしなり具合が不均等だったと考えられ、そこを改良した第28モデルが3月20日に装着試験された。第28モデルもヒト用の足ひれであるが、うまく水を捉えているように見えた。ただ水を捉えられるヒレになれば、水の抵抗にヒレが耐えられず外れてしまうことも予想された。 また、この時期はウミガメの繁殖シーズンであり、悠の水槽にお見合い相手のオスを入れてすぐに、交尾活動の結果か、15日目の4月4日に第28モデルが外れてしまい、4月18日に再び装着するも、今度は13日目の5月1日に人工ヒレが壊れてしまった。5月1日の人工ヒレ脱落は、これまでの人工ヒレが外れたケースとは異なり、右ヒレの高ポリマー素材のヒレ部分の金具が壊れてボディジャケットから脱落したものであった。悠は5月1日以降、暫くの間、人工ヒレをつけないで過ごした。
※この「遊泳速度」の解説は、「悠 (人工鰭のウミガメ)」の解説の一部です。
「遊泳速度」を含む「悠 (人工鰭のウミガメ)」の記事については、「悠 (人工鰭のウミガメ)」の概要を参照ください。
「遊泳速度」の例文・使い方・用例・文例
- 遊泳速度のページへのリンク