資本主義的自由市場システムについての主張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 00:07 UTC 版)
「ジョージ・ソロス」の記事における「資本主義的自由市場システムについての主張」の解説
投資家・投機家としてのキャリアをスタートしてから増大し続けて来たソロスの富は、2015年には過去最高の277億ドルに達した。彼の莫大な富のほとんどを形成し、半生に渡り現在も継続しているそのキャリアにも関わらず、ソロスは現在の国際金融投機のシステムについて、多くの発展途上国の健全な経済発展を阻害するものであるとし、また世界の多くの問題を彼の言う市場原理主義固有の失敗の為であると主張する。グローバリゼーション・グローバル資本主義に対しても多くの面で反対し、論争の的になっている。 ヴィクター・ニーダーホッファーによれば「とりわけ、ジョージはそれでも自己利益の過剰を罰するための強い中央国際政府のある混合経済を信じていた」。 グローバル市場において巨額の利益を得て来ながら、同時に一方ではこのグローバリズムに反対し、自己の利益を損なうことを意味する市場の規制強化を要求するという、自己矛盾的であり不可解にも感じられる彼の主張は、ポール・クルーグマンのような著名な経済学者を含めた専門家らをも困惑させて来た。ソロスの主張に対して一貫して批判的態度を取っているクルーグマンは、この主張を「私がこれ以上儲ける前に、私の行動を止めてくれ!」という意味だと揶揄を込めて語っている。 これに対し、ソロスはまず、単に市場参加者であることと、市場参加者が従うべきルールを変えるために働くことの違いを示すことで自身の主張の意味を明らかにしている。つまり、既に単なる一投資家であることを超え、広く公共的利益のために政治経済に対する主張と活動を展開している彼にとっては、たとえそれが金融市場における自己利益の縮減を意味するものであったとしても、公共の利益のためならば市場システムの問題改善を要求することにやぶさかではないということである。 ソロスは市場参加者として自己の経済的利益のために働くことに何の疑問も持たないようである一方、同時に「国境なき政治家」を自負する者として、世界的な金融システムの劇的な総点検を政治家に働きかけてもいる。イングランド、東ヨーロッパとタイを含む多くの金融危機に対して個人的に責任があるという告発に対しては端的に、「市場参加者として、私は自分の金融行動の結果に関心を持つ必要はありません」と述べた。 また、ソロスは、ノーベル経済学賞受賞者の経済学者ジェームズ・トービンが案出した国際的な金融取引に税を課するトービン税に賛同している。
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