貨幣の形態
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貨幣の素材そのものに価値のある貨幣は物品貨幣や商品貨幣と呼ばれ、日本では米・絹・布などが物品貨幣となった。古代から近世までは、「銭」と呼ばれる中心に穴の空いた硬貨が作られた。銭の形は円形方孔といって穴が四角く、円形が天、方形が地を表すという古代中国の宇宙観である天円地方の思想にもとづいている。この穴は、鋳造後にバリを削るときの道具を通すために用いたほか、紐を通して大量の枚数をまとめるのにも活用され、小額面の貨幣を運ぶには便利だった。銭の大きさは基本的に直径2.5センチメートル前後、質量は3グラムから4グラムほどとなる。銭は形状にもとづく名称であり、金貨や銀貨などは素材にもとづく名称である。歴史的には金や銀で作られた銭も存在した。 紙幣が存在しない時代には、高額の現金を持つためには重量が負担となった。中世の銅銭の重量が1枚約5グラムとすると、中世の1貫文(現在の約10万円相当)は1000文であり、1文の銅銭で1000枚にあたる。現在の10万円を払うには5キログラムを運ぶ必要があり、高額かつ遠距離間の取引にとって障害となった。そのため割符や替銭などの制度が発達した。羽書や藩札など初期の紙幣は縦長であり、文字が縦書きであったことに由来する。
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貨幣の形態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 06:42 UTC 版)
古代から、「銭」と呼ばれる中心に穴の空いた硬貨が作られた。銭の形は円形方孔といって穴が四角く、方孔銭(中国語版)や方孔円銭とも呼ばれる。これは円形が天、方形が地を表すという古代の宇宙観である天円地方の思想にもとづいている。この穴は、鋳造後にバリを削るときの道具を通すために用いたほか、紐を通して大量の硬貨をまとめるためにも活用された。 高額の取り引きにおいては現金の運搬が負担となり、紙幣や手形の普及を後押しした。初期の紙幣は縦長であり、文字が縦書きであったことに由来する。中国史上で最大の紙幣は大明通行宝鈔(縦338ミリ・横220ミリ)、最小の紙幣は人民幣1分券(縦41ミリ・横88ミリ)である。 春秋時代の銅貝。銭が作られる以前の金属貨幣 銭と呼ばれる硬貨の形態(永楽通宝)。円形方孔をしている 金錠や銀錠と呼ばれる秤量貨幣 縦長の紙幣。清の戸部官票
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