警察の不手際
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/17 03:36 UTC 版)
「小金井ストーカー殺人未遂事件」の記事における「警察の不手際」の解説
事件発生前よりAの被害報告やBの異常行動を把握しておりながら適切な対処を取れなかった警察にも批判が相次いだ。批判対象となった事柄は以下の通りである。 Aに相談を受けたにも関わらず緊迫性は高くないと判断し、ストーカー案件を取り扱う「人身安全関連事案総合対策本部」に報告しなかったこと。 Bが他の女性に対し嫌がらせ行為をした際被疑者登録を失念し、警察署同士の情報共有がうまくできなかったこと。 武蔵野警察署はAの相談後、Bがトラブルを起こす可能性を考慮しAの携帯電話番号を110番緊急通報登録システムに登録。しかしAの自宅を事前に登録していたため、Aによる110番通報後位置情報確認を怠り自宅に警察官を派遣したこと。 これらの批判を受け金高雅仁警察庁長官は「どんな場合でも被害者の身に迫る危険を正しく判断し、守るのが警察。教訓を全国的に共有し適切な対応を徹底する」と語り、6月9日にはストーカー対策には警察本部と警察署などが一体となって対処することなどを指示した。その結果身体への危険が切迫していないと判断した場合でも専門部署に報告すべきとの方針を発表した。 12月16日、警視庁はAとその家族に謝罪したことを明らかにし、同日、「安全を早急に確保する必要があると判断すべき事案だった」とする最終の検証結果を公表した。一方、Aは同日、「殺されるかもしれないと何度も警察に伝えたにもかかわらず危険性がないと判断されたのは今でも理解できません」などとする手記を公開した。こうした警察の対応についてジャーナリストの清水潔は、「桶川事件と同じ構図」であると批判している。 2019年7月9日、Aとその母親が警視庁を所管する東京都や加害者B、所属していた芸能事務所に計7500万円の損害賠償請求訴訟を起こすと報じられた。AはPTSDの治療中であり、母親は「どうして娘の相談が軽く扱われてしまったのか。娘が後遺症に苦しんでいる状態をどう思っているのか、裁判を通じて知りたい」と話したという。警視庁の岩田康弘・生活安全総務課長は「警察で事前に相談を受けながら被害を防止できなかったことを重く受け止め、同種事案の再発防止に向け、組織一丸となって取り組んでおります」とコメントをしている。翌10日、東京地裁に提訴後、Aは代理人弁護士と共に実名で記者会見をした。代理人らによると本人が会見への出席を決めたのは直前で、自身の言葉で思いを伝えたかったこと、ストーカー被害が無くなることを望んだことが理由であるという。会見ではA自ら「テレビやネットのニュースで私の事件を知り、心配し、心から生きることを願ってくださった方々に感謝を伝えたいと思います。ありがとうございました」と綴った手記の冒頭を読み上げ、一礼した。
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